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ダンジョンの救助部隊  作者: 結城一
第三章 えぐるような連鎖

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19/33

19 こだまする音

――――このダンジョン……趣味悪い!

 

 私は無言で倒れた肉体を穴から引きずり出し、ゆっくりと石の隙間を通って反対側へと行く。

 ユートは青白い顔をして石の下敷きになっている。暫く彼の体を見渡す。

 足は大丈夫だ。頭も打って額から出血しているが表面的な傷だろう。軽い脳震盪ぐらいは起こしているが、まぁ、大丈夫だろう。

 問題は腕だ。

 無事だった左腕は歪な場所で折れて曲がっている。骨は皮膚から突き出ていないが折れた骨が皮膚を下から押し上げている。触れなくとも数か所で完全に折れているのが分かる。

 右腕は傷で使い物にならない。

 

――――どうしよう。さすがにこれはマズイ。でも今の奴が復活するより先に移動しないと! だが、応急処置なしで移動したら……間違いなく彼から剣術()を奪う事になっちゃう

 

カタ…… ン

 

 私が今抜けてきた穴から音がする。躊躇がなくなり、歪な腕のユートを無理矢理担ぐ。折れた腕の骨が擦れ合って気持ち悪く軋むのが聞こえる。

「……ごめん」

 重い体を引っ張っていく。

 次の一歩を踏み出す時に石床に違和感を感じてその場所を飛ばす。

 

――――本当にトラップだらけじゃない。出口はどっちよ

 

 少し離れたがまだ聞こえる背後からの音でまた歩を進める。

 暫く歩き、音が聞こえなくなるとユートを静かに地面に下ろす。

 

ゴリュ パキ

 

 もうすでに腫れてしまっている腕を思いっきり引っ張り、骨を真っ直ぐにする。シャツの裾を少し裂いて出来る限り固定する。指先から伝わる熱は非常に高温で火傷をしそうだ。

 

――――頑張って、ユート。私を置いて逝くんじゃないよ

 

 応急処置が終わるとすぐにまた彼の腕を首に回して引きずって行く。

 何もなかった通路に少しずつ乾いた血痕が見え始める。更に進むと小さな肉の塊。

 更に進む。

 辺り一面は血、脂、そして腐臭。

 そして、音。

 辺り一面から先程のカタカタ音が反響するように聞こえ、壁で跳ね返り、まるで耳を壊そうとするかのように激しく音が空気を震わす。


カァタ カタカタ カァタ カァタ カァタ


 耳が痛くなるほどの大音量だ。

 そして、人影。

 彼がいた。

 音と血脂の中で慎重に足を進めていると、全身を血で染めた冒険者が背を向けて立っている。剣先から地面へと血が滴る。

 黒に近い焦茶色の髪。

 ゴロノフの髪色と髪型だ。

 ユートをゆっくりと地面に下ろし、ナイフを構える。

「……ゴロノフ」

 

カタカタ カァタカァタ カタッ!


 うるさくこだましていた音がぴたりと止まる。前のゴロノフはゆっくりと下げていた頭を上げる。

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