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ダンジョンの救助部隊  作者: 結城一
第二章 肉塊

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16/33

16 追い詰められていく

「……ぅ、ぁ……あああ!」

「ひっ……っ!」

 二人共、目の前の光景に悲鳴を上げる。

 あの夢に出てきた目鼻の無い能面のような顔が浮かび上がってくる。

 そしてまるで私達を弄んでいるかのようにゆっくりと肉塊からせり出してくる。浮かび上がった白い顔の粘液が糸を引きながら肉塊から離れ始め、宙に浮く。

「く……そぉぉぉ!」

 私はユートの腕をきつく握り締めたままとっさに左足でその白い顔を蹴り込む。

 足裏が顔に当たった瞬間、顔が真っ二つに割れる。そして恐ろしい事に私の足を咥え込む(・・・・)

 

ポキン

 

「……いっ⁉」

「シロイ⁉︎」

「小指を折やがった!」

 

ポキンッ

 

「っ! ……こ、の、化け物! 離せ!」

 足を力一杯引っ込めようとするが、全く動かない。

 

――――引くのが無理ならば押す!

 

 今度は何度も足ごと肉塊の奥へと叩き込む。無理な姿勢でどれほどの威力があるかは不明だったが、不意に締め付けていた力が緩み、足が抜け落ちる。

「ユート、一か八かだ! 死んだら後で文句を聞く!」

 ユートの手を掴んだまま、私は穴の中へとずり落ちながら飛び込んだ。

 

 カラン カラカラ コツン

 

 暗い穴に飛び込んだのと同時に見えたのは更に別の階層の床だ。

 その穴は数階繋がっているかのように真っ直ぐと下へと向かっている。私はすぐに腕を伸ばして下の階層の開いた通路へと飛び込み、体をひねってユートを床の縁に引っ掛ける。彼は穴に落ちていく前にしっかりと床を掴んで自力でよじ登る。

 

はぁ はぁ はぁ はぁ

 

 無言のまま二人共乱れた呼吸で古びた酸素を吸い込む。ここの壁には蔦は少なく、まだ静かなダンジョンのようだ。

「……てめぇ……今、本気で飛び降りただろ」

「当たり前でしょう。あれ以外に選択肢あった?」

「お前はもっと自分を大切にしやがれ」

 ユートが少し怒った口調で文句を言う。だが最後にぎりぎり聞き取れるほど小さな声で呟く。

「……ありがとう」

 松明も私の剣も上の階層に置いてきた。ユートのは穴に落ちて行った。だがこの階層の壁には等間隔に僅かな明かりを伴う仕掛けがあるらしく、何とか足元が見える状態だ。

「どういう事? あれが最下層じゃなかったの?」

「いや、俺もあれが最下層って認識だったぞ。ここを含めてまだ数層ありそうだな」

 周りを見回しているユートを横目に床に座り込んで靴を脱ぐ。能面に噛まれた足の小指はものの見事に嫌な方向へ曲がっている。

 

――――マズイな。スピードを失った

 

 ゆっくりならば痛くとも歩けるだろうが、問題は戦闘か逃走の時である。どちらも踏み込む時に体重がモロに足の指にかかるのだ。それが折れてしまったのならば、無意識に身体が踏み込みをためらうが為に反撃のタイミングがワンテンポ遅れてしまう可能性がある。トラップも健康体で命ずくだったのがもう致命的だ。最悪な弱点を負ってしまったのだ。


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