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ダンジョンの救助部隊  作者: 結城一
第二章 肉塊

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14 多動トラップ

「……お前……太っただろ」

「うるさい。私のお陰で体が蜂の巣みたいな隙間だらけにならなかっただけ、感謝しろ」

 彼の上から慎重に退く。連続したトラップがあったと言う事はもっと仕掛けられている可能性が高いと言う事だ。

 傷付いた腕を動かしてみると心配していたほどではなさそうだ。今は私達の弱点を増やしたくないので良かったと胸を撫で下ろす。

 無言でユートの顔に触れる。物凄い高温で変な粘り気のある汗をかいている。彼の白目が僅かに赤っぽいような黄色っぽいような色合いで血走っている。冷静に自分の体調を分析したのだろう、彼も無言で私から目を逸らす。

 

――――マズいな。しっかりと休ませたいけど

 

 来た道を確認すると遠くの方でスパイダーの足音が僅かに聞こえる。まだ目視で確認出来ないがもたついているとすぐにまた追いつかれてしまうだろう。

「私が最初に行く」

「分かった」

 剣と投げ出した松明を持ち直してゆっくりと立ち上がる。


――――……影が多過ぎる

 

 石の凹凸に加えて蔦の盛り上がりであまりにも視界が悪い。トラップのヒントになるような物も暗過ぎて気付けなさそうだ。

 慎重に足の置き場を見ながら歩き出す。

 影の中で何かがうごめき出す。

「……またスパイダーだと思うか?」

「分からないけど、連続して来られるとまた逃げ道を誘導されそうね」

「シロイ、後ろ!」

 来た方角の奥の方角から小さな大群が見え始める。

 

――――くそ! 考える時間もない!

 

 剣と松明を前に突き出し、走りたい欲求を無理矢理押さえ付けて慎重に歩き出す。彼は私のすぐ後ろで、私が踏んだ場所に足を置いて進み始める。

 

ピキピキピキ ピキ

 

 スパイダーの近付いて来る音が徐々に大きくなってくる。

 

――――くそっ、体力持たなさそう!

 

 一度深呼吸をしてから剣を高めに構える。大きく踏み出し、すぐに次の一歩も踏み出す。


カチ

 

 右の壁が作動をした気配がする。剣を高速で私達の右側面に沿って左右に振り回す。

 

カンカン カラカラララ

 

 半分に切った黒い矢じりが硬い石床の上を滑っていく。再び大きな一歩を踏み出す。

 

カチッ

 

 下の床が振動をした気がする。急いで真後ろのユートの方へと飛び跳ねる。急なスピードで床が抜け落ちる。たっぷりと十秒以上落ちてからどこか下方で石が底に激突する音がする。

「トラップが密集し過ぎている!」

「マジで俺達を殺しに掛かってきやがる!」

「……ユート、燃やしてみるか?」

「確かに生で溶かされたり卵産み付けられたりするよか、酸欠で死んだ方がマシだな。やれ!」

 私は近くなったスパイダーの方向へと体を向け、松明をユートへと渡す。鞄から小さな瓶を出すとそれを少し口に含める。ユートは無言で松明を返す。


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