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ダンジョンの救助部隊  作者: 結城一
第二章 肉塊

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11 余裕の計り方

 どれぐらい走ったのだろうか。汗が顔を酷く濡らしている。

「もう少し進んだら休憩しよう!」

「あぁ……頼む!」

 いつもよりも寡黙(かもく)なユートの顔色が酷い。

 暫く走った。背後の音もしなくなり、二人共少しずつ走るスピードを緩める。周りを確認して何もいないと確信が持てるとやっと足を止める。

 暫く安全だと思われる位置で小さな焚火を起こす。

「怪我を見せて」

 彼のシャツを右肘の部分で切り取り、怪我を見る。血は緩やかになっているが酷い状態である。全体的に熱も持っている。

 私は荷物から薬を取り出すと、少量を使って彼の怪我を洗う。すぐに新たな鮮血が滲み出てくる。

 焚火で針と小さなハンドナイフを熱する。ユートは自分の服を口に入れて噛んで私に目配せをする。

 

プツッ プツ プツッ

 

 開いた大きな傷をなるべく速く、太い糸で縫い合わせていく。針先が彼の捲れた傷淵に刺さる度にユートの体が強張る。それでも視線は冷静に私の手元で傷の確認をしながら見ている。黒い糸で縫い合わせ終わると今度は熱した刃を横向きにして浅めの部分の切り傷を一気に焼き付ける。

 

ジュゥゥゥゥウウウウッ

 

 ナイフの刃先を傷口に押し付けると焼けた肉の匂いが立つ。焼けて変色した腕は痛そうだ。最後に新しい包帯でキツく巻く。

「痛む?」

「めちゃくちゃ痛ぇ」

「痛いの痛いの飛んでけ、ってして欲しい?」

「余計痛くなりそうじゃねぇか」

 

――――まだ軽口を叩けるほどの余裕はあるか

 

 それに少しだけ安心をする。

「あの化け物がまた出たらどうする?」

「どうしようもない。逃げるしかないでしょう。私がカバー出来る所はカバーをするから」

「相変わらず惚れ惚れするほどの男前っぷりだな、シロイ」

「あんたも相変わらず惚れ惚れするほどの姫様気質だね、ユート」

 彼は笑いながら干し肉を口に含んで私にも一枚手渡す。私も小さなドライフルーツを出して彼に渡す。彼はそれを受け取るとポツリと呟く。

「ゴロノフ死んでいるな」

「ああ、多分ね」

「どうする? このまま進むか戻るか」

「あの変化する通路を戻れるか分からない。トラップだったら行けると見せかけて最後の最後に行き止まりとかになったら死ぬ。それだったらこのまま進んだ方が生存率高そうだが、ユートは戻りたい?」

「いや、正直に言えばあの広場には戻りたくねぇな。シロイは後どれぐらいで攻略出来ると思う?」

「何とも言えないね。通路が変化しているんだったら全然予測付けられない。ダンジョンのサイズ的には一日二日と言いたい所だけど実際には数日の誤差とこれから仕掛けられるのを考慮すると四、五日ぐらいか? 問題なく進められたら、の話だけど。あとはラスボスの問題もある」


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