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N・EVER  作者: 不知火
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第十二話 夢

目が覚めると影月は元々住んでいたアパートのベッドの上で目を覚ます。

影月は軽く自分の頭を抑えていると、玄関の扉が開き桃色髪の女の人が入ってくる。彼女はカバンを片手に俺に近づいてくる。

その時咄嗟に俺の口から言葉が漏れる。

影月「琴音…?」

琴音「そうだけど…珍しいね。かげくんが私の事を名前で呼ぶの、何かあったの?」

琴音は少し不思議そうな顔をするが、瞳の奥には心配が宿っている。

影月「いいや、なんでもない…….ただ少し、悪い夢を見ていたみたいだ。」

琴音「そっか!」

琴音はすぐに笑顔に戻る。

影月「準備始めるから外で待ってろ」

琴音は軽く頷くとドアを開けて外に出る。

影月「…夢、だったんだよな….アニメの見過ぎか…」

影月は白のシャツに袖を通し、黒いズボンを履くとカバンを背負って外に出る。

影月「悪い、遅れた。行こうか」

影月が歩き出すとその隣を琴音は楽しそうに歩き出す。

琴音「影月が寝坊なんて珍しいよね?なにかあったの?悩み事?」

影月「さっき言っただろ、少し悪い夢を見ただけだって…」

影月は当たり前のように返すが、琴音は少し指をいじりながら歩く。

琴音「でもさでもさ〜、普通!悪い夢を見たら…」

琴音は足を止めて影月を勢いよく指差す。

琴音「…飛び起きるよね!」

影月は琴音の手を抑えて下げる。

影月「それは怖かったら、の話だろ」

琴音は「?」を浮かべて影月の顔を覗く。

琴音「じゃあ、その夢は怖くなかったの?」

影月「んー、怖かった。」

琴音「じゃあ、飛び起きるんじゃないの?」

影月「そういう怖さじゃなかったかな」

琴音は腕を組んで前を向いて歩き出す。

琴音「そっかー….ねぇねぇ!ほんっっとうに!悩みじゃない?」

影月はいきなりの大きい声に驚くが、すぐに冷静に戻る。

影月「悩みはない」

琴音「なら、いっか!」

琴音は影月の手を引き、学校を指差す。

琴音「ほら!見えてきたよ!」

影月「…星終高校…」

影月が呟き、高校を遠目から見ると一瞬高校の背後に流れ星が見えるが幻想のようだ。

影月「…夢の引きずりか」

琴音は影月の腕を引く。

琴音「はやく行こ!」

影月「わかったから…」

星終高校へと入って行く。


体育館に行くとパイプ椅子に促される。そこにはスーツを着た教師達、制服を纏う生徒達、そしてステージの上で話をする校長先生。

校長「みなさん、星終高校に御入学おめでとう。今年度の校長を務める。江松と申します。よろしくお願いします。」

その後も江松校長の長時間に渡るスピーチが続き、琴音は眠ってしまう。

琴音の寝息が聞こえる。

スピーチが終わるとクラスは1から5組で分けられる。

俺は1組、琴音は3組だ。

影月「今日はクラスの紹介だけでもう帰宅らしいな」

琴音「そうだね、帰ろっか!」

影月「そうだな…」


《帰宅途中》

琴音「かげくん今日ずっと不審だったよ〜」

影月「そうか、きっとまだ寝ぼけてるだけだよ」

琴音は影月の手を引くとベンチに座り、影月の頬に手を触れる。

琴音「冷たいね、夏なのに…」

影月「そうなのか…」

その時、琴音はベンチを立つ。

琴音「かげくんはいつまで目を背けるの?」

影月の目が見開く。

琴音「気づいてないとは思ってないから言うね。かげくんはこれが夢だって気づいてるよね。」

影月「っ….」

琴音「かげくんは私が死んだ時、近くにいたよね。」

琴音の瞳は儚げだ。

影月「やめてくれ…!!」

影月は立ち上がり、後ろから琴音に抱きつく。

琴音「かげくんが言ったんだよ。私の分まで『生きる』って。かげくん、君はまだこっちに来るには早いでしょ?」

影月の目から涙が溢れる。

影月「だと、しても…」

琴音は振り向き、影月を離すとまたも頬を掴む。

琴音「ほら、冷たいよ…まだ君は生きてるの。」

琴音「来るべき時に来ないと、君はまだやり残したことがある…でしょ?」

影月はまた抱きしめて涙を流す。

影月「っ….!!!」

琴音は影月の耳元で囁く。

琴音「私は大丈夫だから、はやく起きようね。お寝坊さん。」


影月は目を開く。目の前には琴音ではなく、病室。そして白上、黒雲、廃藩、琵琶が覗いている。

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