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第81話 怪光線

『バヒュウウウン!』

 何と、杖から赤い光線が一瞬だけ放たれたのだ。


魔導士ネコ 「あ!」

のじゃロリ 「い?」

ポニテ猫 「う?!」

タマキ 「えええ〜〜〜!」

タヌ娘 「おぉ〜♪」


 その光線の先には……遥か遠くに黒船が。

一同 「「「…………。」」」

 もしかしてコレ……ビームライフル?!(※1)

 

 ボクは反射的にSVDを構えて、黒船を凝視する。

「……あのぅ、船から煙が出てる気がするんですけどね?」

 はっきりとは見えないが、船のメインマスト(※2)が折れて黒煙が上がっている……ような気がする。

 

 のじゃロリも、何度も杖のスコープで確認しているが――

「信じられん! あんな遠いところまで何が届くというんじゃ!? 確かにワシにも燃えているように見えるんじゃが!?」

「さっき、火を焚く話を聞きながら黒船を遠眼鏡で見ていたら、ポンと音が鳴った途端に目の前が赤く光って、黒船に吸い込まれるように光が飛んでいったように見えましたが……。」

「……ならば、ワシも1つ試して見んといかんかのう?」

 と言いながら、のじゃロリは杖を構えマッチ棒をパチンと折る。

 今度は青白い閃光が、シュバッという音と共に放たれた。

 

 ボクがSVDのスコープで見ると……その後、一瞬で煙が消えたような気がする。

 4倍では良く分からないが、いつの間にか船の上の構築物が無くなってスッキリしたように見えるのは気のせい?


「ワシは火を消すつもりで氷魔法を思い浮かべたんじゃが……あんな遠くに、届くはずのないものが届いておる気がする。どういうことなんじゃコレは?」

「ミレイネ様に分からんことが、ウチらに分かるわけ無いやないですか?」

「う〜む。……いずれにしても、遠眼鏡と杖の組み合わせは、何故か魔法を遠くに飛ばせる、という理解で決まりのようじゃのう?」

「せやな? もうコレは、そう考えるしか無い思うで? 原理はまだよう分からんけんど、現象がそれを示しているんやからなぁ? ウチら……ホンマ、どエライもん掘り起こしとるで!」

 タヌっ娘も、あまりの奇想天外さにワクワクを隠し切れないようだ。


「いずれにしても、このコトに関しては……まだ門外不出ということで。」

「そうじゃな。他の勢力にこのコトが知れると、確実にトンデモないことに巻き込まれるからのう?」

「まぁ……言うて誰も信じはしないとは思うねんけんどな?」

「確かに。わたしなんか、魔道士のくせに気が狂ったのかと言われかねないですしね……。」

「あたしも、とりあえず知らんフリしときます。確実に嘘つき呼ばわりされる気がするし。」

 


 

 帰りの馬車の時間もそろそろだから、丘を降りて帰路に着くことに。

 港の方をチラッと見ると、チンピラ風の怪しい集団が数台の幌馬車から降りて来てウロウロしていたが……とりあえず今は構わんとこ。

 

 あの黒船は、マストが燃えて帆走は不可能のはずだから、タヌが島への輸送はしばらく出来ないはずだしね。

 しかもその火災は、奴らにとっては『原因不明』のはず。

 ましてや『海の真ん中で何らかの攻撃を受けた』ということになると、奴らは奴らでいろいろと探らないことには……再度、船を出すことなんか出来ないだろうしね。

 

 あまりに偶然すぎるが、しばらくは奴らの動きを中断させるコトが出来そうだ。

 あとはコチラも頑張って、奴らの企みの全貌を暴かないとね。


 ま、とりあえず結果オーライということで。

 ヒョウ局長やウサ警部には呆れられそうだけどね。


 ――――――――――


 ※1 日本では射撃練習用?のビームライフルも存在するが、ココではもちろん……例の白い人型兵器が持っている、戦艦を沈める威力のあるアレですw

 ※2 3本マストの帆船の場合、前側を「フォアマスト」、中央を「メインマスト」、後ろ側を「ミズンマスト」と呼ぶ。

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