第59話 協力
「話は変わりますが、そもそもハニーダという議員は何者なんでしょうか?」
すると皆さん、明らかに苦々しい表情になってしまう。
「彼は確かにこの町の実力者だし、政治家としても中央には顔が利く。しかしなぁ……」
「そうだねぇ……。ただ、私たち警察からみると、少々厄介な相手ではあるんだ。」
「ああ確かに。大物過ぎるがゆえに、あいつのシッポを掴むのは容易なことではないのだよ。」
なるほど、ありがちな話だよね。
……それよりもボクは、あなたたちのそのモフモフなシッポを掴みたい♡
「先代さんは土建業で財を成した地元の名士で、情にも厚いお人だったのですが……。」
「その親父さんが10年前に亡くなった後、2代目のハニーダはいろんな事業に手を伸ばし成功を収めた。……確かに会社規模は10倍にはなったが、目先の利益ばかりを追求して労働基準ギリギリの経営を行っているとも聞くな。」
「裏でもいろいろとやっているようで、黒い噂も絶えないのだが……新聞社やラジオ局も持っているからね、情報操作はお手のものらしい。」
「そうだわねぇ。しかも少しでも嫌疑を掛けようものなら、周りの有力者たちが黙っちゃいないでしょうし。それで干された人間も山ほどいるらしいわ。」
ふぅむ……どうもこの様子だと、正攻法では太刀打ちできそうにもないね。
余程のスキャンダラスな出来事が明るみに出るか、あるいは……。
「まぁとにかく、村としてもボク個人としても、この一連の誘拐事件を放っておくわけにはいかないと思っています。」
「ああその通りだよ。我々も引き続き捜査を続けるし、出来るだけのことは協力させていただくよ。」
「ハニーダが率いるグループの犯行だという確証はありません。が、全く無関係ということもないでしょう。ボクとしては、まず相手方の人的情報・拠点や潜伏先・人脈など、基本的な情報だけでも押さえておきたいところですが……いかがでしょうか?」
「承知した。もはやコレは、キミたちだけの問題ではないからな。皆にも協力してもらって、ギルドの責任で直ぐにでも資料をつくらせよう。今日の夕方までに間に合わせるから、もう一度ココに寄ってはくれまいか。」
「ありがとうございます。では夕方に再度お邪魔させていただきますね。」
ウサ警部さんもウサ理事さんも、申し訳なさそうな表情。
「ああ……我々警察がもっとしっかりやらなければならないところなのですが……皆さんにはご迷惑を掛けてしまってます。」
「まぁまずは、自分たちで出来ることをしっかりやっていきましょう。必ず糸口はあるはずですから。」
「ええ、みんなで力を合わせて頑張りましょう!」
今のところはこんな感じかな?
合法的な部分は皆さんにお任せすることとして、ボクたちは「その他」の部分を練らないとね……。
【ウフフ♪ さすがはタマキさんね!皆さんの協力を上手く取り付けてくれたわ。ありがとう♡】
わわわ!ココでの会話、全部聴いてたんだ!?
【基本的には、あなたがちゃんと伝えてくれているのよ? 私はちょっと感度を高めて『受信』していただけだわ♪】
……うーむ、感度ねぇ。ボクにはイマイチ仕組みが分かってないんだよなぁ?
【すぐに慣れるわ。私も普段は感度を上げていないから、よほどあなたの『ココロ』が動かない限りは、私も『探知』はできないわよ?】
探知? コレってレーダー的な何か?
まぁよく分からんが……うまくいってるんだから、それでいいかw




