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第54話 隣の村にて

「タマキさん、ちょっと待って?」

 家を出る前に母ネコさんが、ボクの頭に付けてくれたのはカチューシャ。


「え? この格好で……ですか?」

「コレはね、ネコ人に化けられる魔道具よ? 獣人の格好じゃないと、他の土地ではどうしても目立ってしまうわ。」

「あ! それは全く考えていませんでした! ありがとうございます。」

 鏡が無いのでどんな姿になってるのかは予想つかないけど、ちゃんとネコ人になれてるのかな?

 ってか……コレってもしかして、ただのネコミミカチューシャだったりしてw


 外に出ると、今日一緒に出かけるメンバーが集まってきた。

 さっき会ったポニテ猫さんと『のじゃロリ』さん、そして狐さん。


「いってらっしゃい! みんな気をつけてね!」

 と言いながら、母ネコは出かけるメンバー1人1人に軽くキスをしていく。

 もちろんコレは、『通信魔法』を発動させるアクション。

 まるでフランス人が頬を触れ合わす挨拶みたいなノリで、ちゅっちゅと。


 で、最後にボクの番。

 ニッコリと笑いかけてキスしてくれたのだが……ちょっとちょっと!みんなより長めじゃない??

 耳まで真っ赤になって、はわわと狼狽えるボク。

 やっぱ慣れないよコレは……。

 

【うふふ♪ そんなに恥ずかしいのかしら?】

 もう、モノローグに入りこまないでくださいよ〜

【あまりに離れすぎると意思疎通は出来ないけれど、町くらいまでだったら全く問題ないから。何かあったら呼びかけてね?】

 この通信手段が、もし『電波』みたいな特性だったら……もし室内に入ったとしても、通信は可能なんだろうか?

【『デンパ』が何のことか分からないけど……戦場でも十分通用したし、もし魔法障壁があっても全く問題なく発動するから、そこは心配しなくて大丈夫よ。】

 ……『魔法障壁』ってのが何なのかが分かってないけど、どうやら効果は最強レベルらしい。

 


 

 まぁそういうことで、ボクを含め4人で隣村を目指す。

 舗装すらされていない、轍の目立つ山道を下っていく。

 15分も歩くと、村が見えてきた。

 

 村の規模自体は、ネコの村よりもだいぶ大きい。

 恐らく、この山の中の拠点なんだろうね?

 小規模だけどお店もありそうだし、飲食店らしき看板も目に付く。

「まだ馬車は着いておらんようじゃから、しばらく茶屋で休憩でもするかの?」

「あたしも賛成! 早く行きましょう!」

 のじゃロリさんに皆さんついていくので、あわててボクもその後を追う。

 

 まるで時代劇にでも出てくるような、町家風の2階建て屋敷が立ち並ぶその一角に、その店はあった。

 暖簾をくぐると、畳敷きの小上がりが衝立で仕切られている。

 でも、何だか雰囲気が……焼き鳥屋さんぽいな?


 みんなでちゃぶ台を囲むと、作務衣を着た女性が注文を取りにやってきた。

 よく見ると、イヌっぽい耳にくるりと巻いたモフっぽ……ってことは柴犬系イヌ人ってことかな?

 それにしては――


 ちょっと疑問が湧いてきたが、まぁとりあえず飲み物でも注文しよう。

 メニューを見ると、ちょっと待て!居酒屋っぽくない?……おいおい、『茶屋』に行くんじゃなかったの?

「給仕さんや。枡酒4つに、胡麻豆腐に枝豆を2皿ずつお願いできるかのう?」

「ぅえ? 朝から飲むんですか?!」

 

 皆さんちょっと不思議顔。

「ふふ? タマキはんは、朝からはお酒はお召しにならへんお人どすか?」

「あ〜いや、そんなこともないんだけど……」

「ならイイじゃないですか? どうせ御者(※1)付きなんだし……あたしらみたいな辛党には、甘味はどうも性に合わなくって。」

「あはは……まぁ皆さんそれで問題なければ、ボクもお付き合いしますよ。」

 どうやらネコ村の皆さんは、揃って呑兵衛体質らしい……w(※2)


 2〜3分もしないうちに、ちゃぶ台の上に升酒が並んだ。

 乾杯すると、皆さん結構な飲みっぷり……。

 のじゃロリなんか、一気にグイッといっちゃったし!

 いやぁ……さすがのボクも、朝からコレはちょっとついていけないなぁ。


 おつまみの豆腐と枝豆をつつきながら、ボクは先ほどの疑問を聞いてみる。

「あの、ちょっと気になったんですが……さっきの給仕さんはイヌ人ですよね?」

「ああそうじゃが?」

「いや、ボクが思うに……イヌ人って『駄犬クラブ』の皆さんみたいに、もっとケモノっぽい感じかと思ってたんで。」

 

 しばらく顔を見合わせていたが、皆さん何かに気づいたようでいきなり笑い出す。

「あたし、聞き違えたのかと思ってましたが、やっとタマキさんの仰ってる意味が分かりましたよ。」

「ウチもようやっと意味が分かりましたわ。他の世界から来はったお人やったら、そら不思議に思わはるやろなぁ?」

「ワシらがおぬしに驚愕の事実を教えてやろう!『コチラの世界』では基本、男と女の姿には『決定的な差』というものがあるのじゃよ。」

 

 3人の話を総合すると、女性は人間にケモ耳としっぽがついただけのような雰囲気なのだが、男性はかなりケモノっぽいらしい。(※3)

 だから同じイヌ人でも、男はイヌっぽく、女は人間に近い見た目なのだ。

 種族により若干の差はあるらしいが、おおむねこの法則で間違いないようだ。


 ってかさ、コレって……むちゃくちゃご都合主義だよね?

 こんないい加減なルールで良いのか〜作者!w


 ――――――――――


 ※1 今風に言うと運転手だね。

 ※2 お前もな!w

 ※3 (主に画的な理由で)そういう仕様です!(キッパリ)ww ……まぁ裏設定では、もっと明確な理由があるのですが。

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