第49話 雷撃の杖
ガラクタの山から目ぼしいものをピックアップしたので、まずは『のじゃロリ』さんにサビ落とし……というより『復活(?)』をやってもらった。
おかげで銃の部品に関しては新品同様になったが、銃弾に関しては撃ってみないと外見だけでは分からないね?
あと、光学機器だけど……単純なスコープは使えそうだが、ドットサイトはダメっぽい。(※1)
外見がきれいなだけに、ちょっとコレは惜しいなぁ……。
まぁ、ダメモトだけど後で詳しく調べてみるか、ということでダンプポーチへ。
あとはAKMのグリップ問題を早急に解決しないとね。
最低でも10丁分か……どうしよう。
木で似た部品を作ってもらおうかなぁ?ということで、ダンプポーチをひっくり返すと――
「えええええ!!! 何で?! また増えてる!」
「うわ〜ほんまケッタイな袋やなぁ? 詳しく調べとうなるわコレ!」
今のところ最大8倍……順調に増えてるなぁ。
金貨も魔石も4つになってるし!
……コレは『NISA』よりも儲かるかもしれないwww
しっかし、一体どんな条件で増えてるんだろうね??
ということで、めでたくグリップが2つになったので、サンプルに貸し出せることになった。
早速、黒髪姉さんのトコに行ってオーダーしてみよう。
「ああ〜なるほどな! 確かにあんさんの言う通り、木でもいけそうやね! コレを元にいくつか作ってみよか? 明日昼頃までに準備しとくさかい、また来てな!」
「応じてくださってありがとうございます。」
「かまへんかまへん! ウチらの勉強にもなるよって、こういうのは大歓迎なんよ? せやから遠慮せんでどんどん頼んでや!」
「ホント助かります!」
ピカピカになったAKMの再生部品とともに、増えたグリップを1個渡しておく。
AKMの増産は目処がついたので、ボクの元々のAKMは組み直しておく。
で、ちょうど良い機会なので、工房の横で実射することに。
昨日と同じように田んぼの畦に杭を立て、標的となる空き缶を設置する。
まずは動作試験なので、ボクが撃ってみることにしよう。
『ドン』
標的の空き缶は、問題なく吹き飛ぶ。
「何じゃ!」「何が起こったん?!」「怖いわぁ〜」「雷鳴が!!」「おそロシア!」
初めての発砲シーンを見て、皆さんびっくりたまげている。
銃弾の余裕もちょっとはあるので、皆さんにも1発ずつ試し撃ちしてもらおう。
一人一人に構え方を手取り足取り教え、実際に引き金を引いてもらう。
耳をつんざくような発砲音と、肩にかかる反動をしっかりと体感してもらった。
工房の皆さんは、一様に驚きの声をあげている。
でもまぁ結論としては――
「攻撃魔法が使えへんウチらでも、こんな手軽に雷撃が撃てるやなんて……ホンマにすごい杖どすなぁ?」
……うん、まぁ、そうだね(遠い目)。
だってコッチには『銃』の概念は無いんだもんね?
もし紫式部が飛行機が飛ぶのを初めて見たら、あれは『天狗』だ!と言うのと同じことだ。(※2)
折角なので、マカロフも撃ってもらうか。
増えたマカロフの1つをダンプポートから取り出し、サイレンサーを取り付け、まずばボクが3連射。
『パパンポン』
弾丸はもう1つの空き缶を蹴り飛ばし、その飛んだ缶にさらにヒットさせて高く撃ち上げる。(※3)
「あ!その筒をつけたら、雷鳴がちいさくなるんやね? すごい仕組みや!」
一目見ただけで、部品の役割を理解できている……うん、さすがだ。
で、コレもまた構え方を教えながら、それぞれ実際に発砲してもらう。
コレでとりあえず皆さんには、『銃』が新しいジャンルの武器であることは感じてくれたはずだ。
そして、ボクがなぜこの『銃』を量産したいと思っているのかだけでも、まずは理解してもらえたんじゃないかなぁ。
「いやホント異世界の武器って凄いわぁ! 魔法使いの修行をせんでも、パパッと雷撃を撃てるって……ホンマ革命的やわ!!」
「弓矢みたいに膂力もいりまへんし、扱いやすうて……さっきの小さい杖なんか、懐にすっと収まりますさかい、なんともお行儀よう使えますなぁ。」
「……なるほどのう?ぬしが何をやりたいかが、ワシらにもだいぶ分かってきたわい。コレを使えば、3日もせんうちに皆が戦えるようになるわけじゃな?」
「ええ、そういうことです。コレは力も技術もそれほど必要とせず、しかも相手から十分距離をとって戦える武器なんです。」
うん、皆さんさすがは職人さんだけあるよ……洞察力も抜群だね!
「ウチらが、何のためにこげなコツばしよるち分かるっちゅうのは、そいだけでん、ほんと嬉しか〜!……やけん、皆でがんばらんといかんばいね。」
「せやね! タマキさん、あんたのおかげでウチら……ちょっと自分たちの仕事が誇らしゅう思えるんよ? おおきにな!」
「いえ、コチラこそいろいろ頼み事ばかりですみません! 皆さん頼りにしてます!」
うん、工房の皆さんとは一気に仲良くなれたような気がするよ。
まぁ……ココの村人さんたちはみんな一様に、ものすっっごく距離感が近いような気はするんだけどね?w
――――――――――
※1 スコープもドットサイトも照準補助具だが、ドットサイトは基本、何らかの電源が必要。異世界ではそもそも『電気』の概念が存在しないので、魔法では電池の再生が出来なかったのである。
※2 筆者の『心の恩師』である、武田邦彦先生の談話より。
※3 そうはならんやろ!の典型例w




