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第47話 警察を騙せ

 まぁとりあえず、流れはコレでイイとして……そもそも誰が動けるのか、ということだ。

 まず、被害者である隣村の住人を動かすのは、得策ではない。

 単純に報復で動いたことがバレバレになるからね。


「キミ達イヌの村の住人には、やって欲しいことがあるんです。」

「何でも言ってくれ! それは俺達でも出来ることなのか?」

「まず、警察に『被害届』を出すこと。あくまでも素性が分からない『ゴロツキ共』に突然村を襲われた、という体でね。」

「さっきも聞いてたと思うが、そんなコトしても何の役にも立たねえぜ?」

 リーダー犬がちょっと不満そうに言う。

 

「いやいや、まずはそれで十分なんです。何しろ今のところ、その議員と警察のつながりが今ひとつわからないからねぇ。もし彼らがつるんでいたら、今回の拉致も警察は知ってて黙認しているのかもしれない。……そんな時に突然議員先生が死んでたら、誰を初めに疑う?」

「それはもちろん……俺達だな?」

「そう。……でも、もしその犯行推定時刻に誰も村から動いてなかったら、どうだろうね?」

「あ!」

「つまりキミ達の第1の任務は、警察にキミ達の存在をしっかりアピールして引き付けておくこと。もし上手くいくのであれば、警察に『村を守ってくれ』と泣きつくのもイイのかもしれない。」

「なるほど! つまり俺たちは警察の奴らを足止めする『おとり』みたいなもんだな! ああでも、俺達にももっと何かやらせてくれよ!」


「ええ、まだ仕事はたくさんあるんですよ。ハニーダたちの情報を集めて欲しい。メンバーの顔ぶれや特徴に、特技や戦法、そして拠点や潜伏先、人脈や金の流れ……とにかく全てが必要なんです。」

「それなら任せてくれ! あの界隈は俺達の庭みたいなもんだからな!」

「あとは警察の動きや組織の規模、武装、町の巡回状況とか。それと町で今、どんな事件が起こっているのかも知りたいですね。」

「そう言うことか。分かった!」

「あと大事なのが、そもそも何のために女性を攫ったのか、攫った人たちをドコに隠しているのか。ただの嫌がらせだとは考えにくい。何らかの大きな利益があるから、わざわざ攫っているはずなんです。これは噂レベルで構わない。……あまり深く突っ込みすぎると、キミ達が捕まる羽目になるから。」

「ああ確かにそうだ。気をつける。」


「とにかく情報が全てを決めるから、情報収集は大胆に繊細に。他の皆さんも気づいたことがあったら情報共有をお願いしますね。」

「「了解!!」」

「とにかくまずは警察に連絡して。それと死亡した剣士の葬儀も普通にやってください。あと、ネコの村に相談に来たことや、ボクのことはなるべく他人に話さないようにね?」

「う……まさか俺の村に内通者がいるかも、って考えてるんスか?」

「ありえない話ではないでしょ? 念の為の用心だよ。」

 

 すると、門番ネコが口をひらいた。

「オレたちネコの村の動きはどうするんだ?」

「極力普通どおりで。代表者は葬儀に参列したりとか、いつもどおり買い物に行くとか……隣村との付き合いも普通にして欲しいです。警察に目をつけられないように、あくまでも普通にね。」

「そうか! オレたちも監視されているかもしれない、ってことだな?」

「そういうこと。あと実行部隊はこの村のメンバーになるから、訓練も普通に行ってください。」


 次はタヌっ娘が聞いてくる。

「ウチらはどうすればいいん?」

「うーん、正直まだ方針すら固まっていないけど……武器の量産をお願いすることにはなると思うんです。」

「ってことは、今日やったヤツ?」

「そう。しばらくしたらあの武器の使い方も訓練することになると思うので、それまでに最低でも10丁は欲しいですね。」

「『チョウ』? あ〜10本てことな? ちょうちょのことか思たわ〜。 任せとき!」

「詳細はまた後で伺ってから。あの倉庫にはもっと掘り出し物があるに違いないから。」

「オーケー! ほんじゃ工房で待ってるで!」


「今のところはまだ情報が少ない。情報が集まり次第、今後の計画を立てましょう。それでは皆さんよろしくお願いします。」

「すまねぇ、俺達の村のために動いてくれて。」

「うふふ、それはお隣同士の絆というものだわ。これからもよろしくお願いね。」

 で、やっぱり3イヌは土下座……マジで慣れてんな。

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