第45話 赤いキツネ
いやぁしかし、この工房は何だかスゴイね〜!
何でも叶っちゃいそうな万能感に満ち溢れている。
10年前の転生者がココの技術者たちとタッグを組んで、いろいろなものを作り出したっていうだけあるよ。
さて、マカロフも4丁になったことだし、そうなるとホルスターも増やさなきゃね。
もし作るとなると……カイデックス(※1)とかはコッチにないだろうから、皮革製になりそうだなぁ……。
……もしかしたら、こういうのもココで出来るんだろうか?
すると――
「革とか布とかのヤツ? もちろんウチらで対応できるで? 今から行って聞いてみる?」
どうやらココはホントに万能なようだw
もちろん会いに行ってみよう!
今度は赤っぽい着物を着た、ほっそり体型でも何とな〜く妖艶な雰囲気の人。
よく見ると、キツネ耳でキツネしっぽだ。
話を聞いてみると、元タヌガ島住人の2割はキツネ人だったらしい。
「あらあら、けったいな形してはりますなぁ、その魔法の杖。でもこんなん包むもんなら、ウチやったらなんぼでもこしらえられますえ? どないします?」
「ホントですか! ぜひお願いします。」
5分くらい仕様の説明をしてみると、内容を理解してもらえたようだ。
型合わせのために、マカロフのマガジンを抜いて本体を渡しておく。
抜いたマガジンはもちろん、ダンプポーチへ。
ついでに、AKM用の布製スリング(※2)もお願いしてみた。
金具類は似たものがコチラの世界にもあるらしいので、そこはお任せで。
オーダーも終わったので部屋を出ようとするボクに、キツネさんはスッと近づいてきて小声でコソコソ話。
「ところであんさん、お胸のトコに少し隙間がありはしまへんか?」
「ええっ! ななな、何でそんなコト分かるんですか?」
するとボクにウインクしながら――
「うふふ……それはウチと体型がよう似とるからやわぁ。次来た時には下着も作ってあげるさかい、楽しみにしといてな♪」
「ええっとぉ……あ、ありがとうございます。でもボクと初対面なのに、なぜそんなことを?」
「同じ境遇にある者は、いつでも手を取り合って協力するもんどす。それが自然の摂理というものどすえ?」
そしてボクたち2人は同志として、固い握手を交わすのであった。
……って、何の話なんだコレは?
まぁしかし、この短時間でいろんな職人の方にいろいろ頑張ってもらったよ。
皆さんに感謝だね!
しばらくはコッチ向きには足を向けて寝られんってやつだw
で、再度タヌキ娘の部屋に戻って、帰り支度をしながらしばらく3人で談笑していると……慌てた様子の門番ネコさんがやってきた。
「タマキさん、ちょっと大変なことが起こった! すぐに来てくれないか!」
「ええ、そろそろ帰ろうと思ってたんですが……何があったんですか?」
「それがさ! 駄犬クラブの奴らが言うには、隣村の住人たちが数名攫われたようなんだ!」
「え? どゆことそれ?」
「オレも詳しいところはまだ聞いていないんだけど……あいつらは、『ハニーダ』がどうとかこうとか言ってたぞ!」
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※1 加熱によって軟化し、成形できる耐衝撃樹脂。最近のホルスターやナイフのシース等は、コレで作られていることも多い。
※2 負革。銃を担ぐ時に使う、太めのストラップ。布製だったり皮革製だったりといろいろある。




