第43話 ウラン山
「見て見て! コレやコレ!」
タヌっ娘に連れられて行ったのは、工房横の小屋の中。
そこには錆びた鉄屑がうず高く積んであった。
その中から錆だらけのロアレシーバーとバレルの組み合わせをいくつか出して見せてくれる。
「あ〜確かに! でもなぜこんなものがこんなところに……」
もうコレは、コチラの世界にとっては『オーパーツ』(※1)そのもの。
「これは確か……ばっちゃたちが持ってきたんと違うかなぁ?」
「その方達に、詳しく話を聞かせてもらえませんか?」
早速、その部品を工房に持ってきて、話を聞いてもらうことにする。
持ち帰った主は、さっき応対してくれた女性らしい。
でも一見したところ、おばあちゃんというにはまだ若い感じがするんだけどね。
「ああこいね? うらん山に行ってみんしゃい。 ちい〜っと掘ったらボロボロ出てくっばい!」
「え?! う、うらん山、ですか!?」
うらん山って……ウランの山?
もしかしてウランの鉱山で採れたっていうのか?コレは!
放射能とか無いだろうねぇ?
恐る恐る聞いてみる。
「ええと、そもそも……そんなトコを何のために掘ったんですか?」
「そいはね、魔石ば掘って来よったつばい! あん山ぁ〜前からよう採れっとよ〜。」
「魔石……ですか!」
「そうたい! ないどん、そんまんまじゃ使われんけん、ちぃ〜っと手ば加えて貰わんといかんとばってんな?」
うわあぁ〜〜〜!! 魔石ってもしかして……ウランが原料とか???
話の内容が今ひとつ聞き取れなかったんだけど……コレって被爆しちゃうんじゃないの??
魔石から出る『魔力』って、やっぱり『放射能』のこと?!
おいおい! 大丈夫なのか魔石って!
「あの〜、つかぬことを伺いますが……健康被害とかはありませんか? 突然具合が悪くなったりとか、髪がごっそり抜けたりとか……」
「変わったこつば聞きんしゃるね? 特に何もなかばい? たまに腰痛が痛かばってんね?」
……うん、まぁ、『腰痛』は元から『痛い』ものだけどね?
まぁとりあえず……魔石とAKの部品がなぜかウラン鉱山に埋まってるらしい、ということのようだ。
正直、その山にはあまり近寄りたくはないんだけど……真実を確かめに、いつかは行かないとなぁ。
タヌキ娘の部屋に戻ったボクたちは、さっそく錆びた部品とAKMの部品を比較してみる。
間違いなく『完全に一致!』だ。
あのガラクタの山の中には、AKMの旧型に当たるAK47の部品も混ざってたし、口径違い(※2)のAK74や短縮型のAKS74Uのものもあった。
何なんだコレは?
ロシアの武器庫が、山の中に転生したとか?
いやそもそも『銃』が転生するとか、意味わかんないんだけど!
まぁでも、部品が見つかったということは、銃弾も見つかるかもしれない。
少しはこの異世界に、希望が持てそう。
……もっとも、それは放射能まみれなのかもしれないけれど。
――――――――――
※1 『Out of Place Artifacts』、つまり『場違いな工芸品』のこと。一般的には『水晶髑髏』『黄金のシャトル』などが挙げられる。
※2 AKMの後継機は、弾頭が小さいものが採用された。AKMと比較して低反動で高初速、そして弾頭の特殊な形状により意外と殺傷力も高いとされる。




