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第40話 魔石は万能

 何だろう、この感覚。

 暖かく柔らかいものが、ボクの前にあるような感じ?

 寝苦しいことこの上ない。


「……ん、ふうん……タマにゃ……。」

「!!!」

 違和感を感じて、ボクは咄嗟に目を覚ます。

 目の前がもふもふ???


「んなあぁぁぅ……」

 なあぁんだ、ニャンコのお腹か。

 つまり、ボクの顔のトコで三毛猫『タマ』が寝ていたわけだ。

 ……でもそれにしては、もっと別の感触もあるような気が。


 そっと起きてみると、三毛猫の隣にはネコ娘と母ネコが眠っている。

 いつの間に川の字で寝ることになったんだろうね?……まぁいいけど。

 

 しかも2人とも微妙に浴衣がはだけて、アチラコチラがチラチラと……。

 ってか、改めて見ても……コレって絶対格差社会だと思うのよ?

 格差社会反対〜〜! ペタ胸にも夢を〜!

 …………ううう、言ってて微妙に悲しくなってきた。

 もうあまり深く考えないようにしよう、うんそうしよう。

 

 ボクの心のデモ活動が伝わってしまったのか、母ネコさんを起こしちゃったようだ。

「うふ、おはよう〜♪ よく眠れたかしら?」

「あ、はい。ずいぶん深く眠れていた気がします。」

「でもまだ明け方だから、あなたはもう少し寝てていいのよ?」

 そう言いながら布団から抜け出して、ササッと浴衣を直している。

 

「あ、そういうわけにも。何かお手伝いします。」

「うふふ、ありがとう。でも気を使わなくていいのよ? そのうち、あなたの役割は降ってくるはずだから。」

 とりあえずボクも、見様見真似で浴衣を直す。

 もっとも、下手すぎて……帯と腰紐を解いてほとんど着直している感じになったけど。


 朝餉の準備をしながら、いろいろな話を聞く。

 旦那さんとの馴れ初めや、結婚後の村での生活のこと。

 5年毎にやってきた転生者たちの話などなど。

 その中で一番気になったのが、10年前の転生者。

 

 その人は20歳くらいの女性で、『サユ』と名乗っていたそうだ。

 どうやらこの村やこの地域の生活を、その手腕で劇的に進化させたらしい。

 『サユ』さんは戦いを好まず……事実、戦闘能力は皆無。

 しかし、生活に関するさまざまな実用品を提案し、タヌキ人たちと共に開発に明け暮れていたようだ。


「サユはね、私たちの考えが及ばないような不思議なものや機械を、異世界から召喚できる魔法が使えたの。」

「それってある意味、すごい魔道士だったんですよね?」

「ええ、私もそう思うわ? でもほとんどの場合、コチラの世界ではそのままでは使えなかったのよ。」

「あ、それってもしかして……力の源、つまり『電気』の問題とかじゃないですか?」

「そうなの。サユも『デンキ』とか『ガス』とか、そんなことを言ってたけど……コッチの世界にはそういうものが無くってね〜。」

「じゃ、この台所にある機械って、どうやって動いているんですか?」

「不思議に思うわよね? 私も詳しい仕組みは全然分からないけど……全ては『魔石』のおかげなのよ♪」


 つまり『魔石』は、魔法使いの魔力バッテリー代わりだけではなく、あらゆる機械の動力源にもなっているというのだ。

 これはすごい! 何とすごい設定だ! もうコレって『ミ◯フスキー粒子』(※1)的なアレじゃん!

 

「今日の午前中はマレッタの工房へ行く約束でしょ? あの子も一緒に機械を造っていたから、サユの話がいろいろ聞けると思うわよ?」

「そうですね! どんな話が聞けるのか、とても楽しみです。」

 

 ――――――――――


 ※1 通称ミノ粉。ガン◯ム世界を創造するために生み出された、ご都合主義の極みとも言えるアブナイ粉。何しろこの粉の存在だけで常温小型核融合炉を実現させただけではなく、巨大な戦艦を空中浮遊させ、誘導兵器を無効化して人型兵器の存在意義を作り出したんだからねぇ……。

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