第36話 温泉へGO!
門番さんとタヌっ娘を送り出したあとは、母ネコさんと後片付け。
「皆さん結構飲まれるんですね! 毎日こんな調子なんですか?」
「うーん、そうでもないのよ? 週に5日くらいかしらね?」
それってほぼほぼ毎日じゃんw まぁいいけど。
「でも、売り物のお酒なんでしょ? 自家消費分が増えちゃいそうですよね。」
「うふふ♪ アレはね、割と試作品だったり時期外れの売れ残りだったり、あとはお酒を絞ったあとに残る『酒粕』からつくった焼酎(※1)だったりするのよ。」
「なるほど〜! それは酒蔵ならではですね〜!」
まあそういうことなら、遠慮せずに飲んじゃっても……というか、杯が空く前に注がれちゃうから、もう飲むしか無いんだけど。
「片付けも終わっちゃったから、先にお風呂に入ってらっしゃいな。浴衣と手ぬぐいを出してあげるわね。」
そういうわけで温泉へ。
万が一の用心のために、ピストルベルト一式は持っていくこととしよう。
一応ダンプポーチの中身を確認してみるが、まだ増えてはいない。
……まぁ、入れてからまだ数時間くらいしか経っていないからね、そんなもんでしょ。
持ち物もあるのでピストルベルトは腰に付けて下駄を履き、小さな桶に着替えの浴衣と手ぬぐいを入れてもらって外へ。
温泉の場所は分からないので、今日は母ネコさんに連れてってもらうことに。
カラコロと下駄を鳴らしながら歩いていくと、1分もかからずお風呂に到着。
思ってたより大きい建物だね?
「それじゃあね、ごゆっくりどうぞ〜。」
さてさて。
ガラリと木戸を開けると、ムワッとした温かい蒸気がボクの頬を撫でる。
玄関を入ると、衝立の向こうは脱衣場。
広いね? 10畳位はある感じ。
カギは掛からないけどちゃんとロッカーもあるし、この村ホントは温泉旅館とかなんじゃない?
脱衣カゴにピストルベルトを入れ、服で隠しておく。
さすがに風呂の中までは持っては行けないね。
中のものも錆びるだろうし。
さあ、お風呂はどんな感じなんだろう。
すりガラスの引き戸を開けると……うわ、すっごい立派!
檜の内風呂と、その先に露天の岩風呂。
浴槽自体も大きいねぇ。
5人位は余裕で入れそうだ。
ううむ、共同風呂にしては、ずいぶん贅沢な仕様だなぁ……恐るべしネコの村。
洗い場は2人分でシャワー付き。
ん〜! トイレもそうだが、水回りがずいぶんと現代的だよね?
そういえばキッチンにある調理器具もそうだし、確か冷蔵庫っぽいものもあったなぁ?
以前に転生してきた人がこういうのを伝えたってことだったから、まぁ単純にすごいよね昔の転生者……などと考えながら体を洗う。
試しにシャワーを浴びてみる。
普通だ、あまりにも普通だ、異世界なのに。
建物や服装は結構レトロな感じなのに、こういうトコだけ無駄にクオリティ高い気が。
ま、そういう小難しいことを考えるのは後回しにして、とにかくお湯に浸かろう。
檜風呂にゆっくりと体を沈めていく。
…………ああ〜良いねぇ。
ややぬるめだが、ぬるぬるとした肌触りの良い泉質。
ああ、お湯の暖かさが体を包みこんで、身も心もほぐれていく感じだ〜。
やっぱり、温泉は良いねぇ……。
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※1 「酒粕焼酎」「粕取焼酎」などと呼ばれる。独特の風味があるが、これはこれで美味い。




