第33話 魔道具
早速4人で乾杯して、酒と刺し身を楽しむ。
「お刺身美味しーい! ありがとうリュナさん♪」
「いいってことよ! いっつも夕飯ゴチになってるから、このくらいはね!」
マジでレギュラーメンバーだったんか〜い!w
「しかし、このお酒、独特な色と味ですね? 昨日のお酒とまるで違う。濃厚でクセの強い味わいですね!」
「コレかい? 今日のやつは試作品。玄米で造ってみたんだよ!」
「……え? 造ってみたって……もしかして?」
「ん? そうだよ? 奥の蔵で酒作ってるんだ。ちゃんと店にも卸してるんだよ!」
……あ! これが『売るほどある』(※1)ってやつか!(違w)
「それはすごい! いつか酒蔵を見せてほしいです!」
「それだったらさ、来週から次の仕込み始めるから手伝ってくれないかい? オレの仲間も紹介するからさ!」(※2)
「ええ、ボクで良ければお手伝いさせてください。」
「私も手伝いに行くね♪」
「おう、ありがとうよ!」
まさか酒蔵まで持っているとは……恐るべしネコの村。
……ということで、また脱線したので軌道修正。
「ところで、その『袋』について何か気付かれたこととかありましたか?」
「そうねぇ? この袋からは、確かに微弱な魔力が感じられるわ。だから、何らかの魔法の品なのは確かね。ただ……」
お酒をクイと飲み干した母ネコさんが続ける。
「容量を増やす能力だけならまだしも、お酒を冷やす能力だったり中身を増やす能力だったりが付与されているにしては、ちょっと魔力が弱すぎるのよね?」(※3)
「そうなんですね。ボクにはまだあまり理解できてはいませんが、魔法の品とはそういうものなんですね?」
「一般的には、強力な魔道具からは魔力が結構漏れ出ているの。逆にその魔力を探知して相手を攻撃する術者もいるくらいにね。」
うわ〜『漏れ出る』って何だよ。 まさか放射能的なやつじゃないだろうねぇ?
「ところで『魔力』って、人体に何か影響があったりとかは無いのですか? 健康被害とか?」
「うーん、それは聞いたこと無いわね? ああでも、ごく稀に……魔力を補充しすぎて鼻血を出したりとかはあるんだけどね?」
「え! そんなことがあるんですか? 何だかちょっと怖いですね。」
うわ〜、充電足りなくても卒倒、充電しすぎると鼻血って、リポバッテリー(※4)並みに危なくない?
「今のところは何とも言えないけれど、少なくとも伝説級の魔道具のような雰囲気は感じられないわね?」
「そうですか、ありがとうございます。もうちょっと様子を見ますね。」
「何かまた気づくことがあったら、何でも言ってね?」
そっかぁ。中身が増えたのは、単なる転生ボーナス的なアレかもしれないなぁ……。
……まぁでも、まずは実験実験。
納得できるまでは、いろいろやってみなきゃね!
そして再びいろんなものをダンプポーチに詰めると、ボクは諦めずにしばらくは観察することに決めた。
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※1 コレで更迭された大臣もいたよね?w
※2 門番ネコのリュナは、1度飲んで打ち解けた相手に対しては『オレっ娘』気質なのである。……いや、娘じゃないかw あいたた蹴らないで!
※3 コチラの常識に疎いタマキのために、母ネコさんはわかりやすい表現をしてくれいているのだ。
※4 リチウムイオンバッテリーの1種。コンパクトで高性能だが、扱い方を間違うと割と危険。




