第30話 魔石と銃弾
「まぁとりあえず……魔法ということにしておきましょう。ホントは違うけど。ところで――」
とにかく、やっと本題に入れる。
「この『弾薬』がないと、銃やピストルは働かないんです。」
「たしかにそのようね。それは理解できるわ。魔石のない魔法の杖のような感じでしょうから。」
「……え? もしかして魔法の仕組みって、そういうことなんですか?」
ありゃりゃ、伏兵が現れた。
またもや脱線の危機!
……でもまぁ、異世界のことを知るには大事なトコのようだからね。
母ネコは続ける。
「ええそうなの。魔法を使うには普通……魔力が詰まった『魔石』が必要なのよ。」
「……ということは、魔石がないと魔法使いは魔法を使えない、と?」
「そんなことはないんだけど……魔石がないと魔力がすぐに切れてしまうのよ。特に威力の高い魔法だと、魔石なしでは1日3回も使えないの。」(※1)
「あーそういう仕組みなんですね? もし魔力が切れたらどうなるんですか?」
「魔力が回復しないと、もちろん魔法は使えないわ。しかも完璧に魔力切れすると、しばらく昏睡状態になってしまうのよ。」
うわ、魔法使うのも命がけだな? 戦闘中に昏睡状態になったら目も当てられない……。
「実はお酒を飲んだりとか、いろんなやり方で魔力を回復させることもできるんだけど……でもその分酔っ払って仕事にならなかったりとかで、いろいろ大変なのよね……。」(※2)
「あはは、確かに飲酒魔法は危なそうですね。」
「だから普通は魔石の魔力を使って魔法を使うの。もし魔石の魔力が切れた場合は、杖の魔石をその都度交換したり、外せない場合はお店で魔力の補充をしてもらったり、2週間ほど月の光を浴びさせて魔石の魔力を復活させたりしているのよ。」
え〜〜〜!! コレが異世界の真実! 魔石って『魔力のバッテリー』みたいなものなのか!
「魔法と魔石の関係は何となく理解できました。……そうなんです! 『銃と弾薬』の関係も『杖と魔石』の関係に似ていて、できるだけ大量に必要なんですよ。」
「それはあなたのさっきの説明でも分かるわ。それでその『弾薬』って、どうやったら手に入るのかしら?」
「そう! それをボクも知りたいんです。スネイクさんはどのようにされていたのですか?」
母ネコさんはしばらく考えていたが……答えを見つけたようだ。
「あの人はたしか、……不思議な鉢巻をしていたわね。たしか『ムゲンハチマキ』(※3)とか呼んでたわ?」
………………!
………………。
……ああダメだ! それはダメなやつだw
それマジで『チート技』じゃん!!!
「そんな便利な物、たぶんボクは持っていませんよ。」
「そうよね? あんな反則技があるなんて、私も聞いたことがないわ?」
あはは、母ネコさんもそれは反則だと思っているわけねw
あぁ、でもコレで……ボクの『異世界ストーリー』は詰んだようだ。
弾薬も無いし火薬も存在しない、弾薬を無限供給する術もない……さあ、どうする?
そもそも『転生モノ』ってさ、「あたしゃ神様だよ〜!」とか言う瓶底メガネのジジイ(※4)が現れて、何かスゴイの貰えるんじゃなかったんだっけ??
ボク、今までそんなイベント無かったよ???
そもそも知らんうちに、勝手に『転生完了』してたんだからね?
あーもしかして、ボクのアパートの隣の神社に全然お参りしてなかったから、怒って何もくれなかったのかなぁ神様。
そうかぁー、バチが当たったのか……。
まぁ『一般人』枠で、ゆるゆると村人Aで暮らせばいいのかなぁ?
……いやいや、この『ネコの島』自体が危機に晒されている以上、安穏と生きていける訳はない。
さてさて、どうしたものかねぇ……。
――――――――――
※1 確か、昔やってたTRPG(テーブルトークRPG)でも、こんな感じだったよ……懐かしいなぁ。でも、魔石で魔力を担保するシステムではなかったから、ガチで1日3回しか魔法は使えなかったけどね。
※2 飲酒の他にも方法はあるのだが、ネコ娘がいるので言及しなかったのだ。詳しくは言わないが、魔法使いがちょっとエッチな格好をしているのは、たぶんそういう意味なのだよ!w
※3 これは無限バ⚪︎ダナってやつだね? コレさえあれば撃ちまくり♪ そんな便利なもんがあったら苦労せんわ!w
※4 タマキはドリフで出てくるアレを神様だと思っているらしい……ってか、お前は何歳なんだw




