第28話 新たな謎
「どうですか? もう少し話せそうですか?」
母ネコさんが落ち着きを取り戻したタイミングで、声をかけてみる。
「ええ、さっきはごめんなさいね。……あの光景があまりにも懐かしくて、あの人の姿があなたと重なって見えてしまったわ。」
「そうですか。……この武器は『ピストル』といいます。」
「確かに、あの人はそのような名前で呼んでおりました。もっと大振りのものでしたけど。」
多分それは、SOCOM MK23のことだろう。
そう、熊さんがよく使っていた、あのバカデカい拳銃。
何しろあの人、サバゲーの時はいつもアレ1丁でビシバシヒットを取ってたからなぁ。
つまりボクは、彼もコッチに転生していたんじゃないか、と思ったのだ。
しっかしスネイクと名乗るなんて……異世界リテラシー高ぇ!(※1)
……ああしまったー! こんなことなら、ボクも何か違う名前を名乗っときゃ良かったよ!
「そうでしょうね。もしかしたらボクの知り合いかもしれません。……ちなみにその、スネイクさんの写真か何かはお持ちですか?」
「……シャシン? シャシンとはどのようなものかしら?」
「ええと……その人の姿を写し取った、絵のようなものです。」
3人ともしばらく考えていたようだが、ネコ娘はアッと声を上げる。
「それってさ、『光画』(※2)のことじゃない? お母さん!」
「あーもし光画だったら、村のみんなと写っているものが道場に飾ってあったんじゃないかな?」
「そうね、確かに道場の壁にあるわね。」
「あの、それ見せてもらってもいいですか?」
というわけで、今日の射撃デモはこれでおしまい。
マカロフからマガジンと弾を抜き、サイレンサーと一緒にダンプポーチへ。
そして銃に新たなマガジンを装填するとホルスターに収めておく。
地面に落ちた薬莢は拾って、これもダンプポーチへポイ。
しっかし、いい加減ダンプポーチも整理しなきゃあなぁ。
さすがにアレコレ、いろいろと押し込みすぎだからねー。
後で新聞紙か何かを貰おう。
中身をひっくり返したら、砂とかゴミとかもいっぱい出てきそうだし。
でも逆に、あれだけ放り込んでるのによく入ってるものだよなぁ。
もう中身がはみ出てきても良さそうなものなのに。
ま、でもそろそろ限界のはずだから、今夜は頑張ってアイテム整理だね。
いつの間にか、もう日暮れ時だ。
標的となった木杭や空き缶は門番さんに片付けてもらうこととして、ボクはその『光画』というものを見せてもらうことにする。
きれいな夕焼け空の中を、3人で歩いていく。
ボクは歩きながら考えてみる。
もし母ネコの夫が熊さんだったとして……1年以上もどうやってピストルだけで戦ったんだろう?
転生時にどんなに大量に弾薬を持ってたとしても、せいぜい100発くらいのはず。
何しろアレは12発がみっちり詰まったマガジン1本あたり、だいたい300gはあるはずだから、普通は2〜3本、頑張って装備していても6本位だと思うんだよなぁ……。
何らかの方法で弾薬が手に入るんだったらイイんだけど……コッチではそもそも銃というものが存在しないようだから、確実にアウトなんだよねー。
つまりボクの銃もこのままじゃ、あっという間に使い物にならなくなってしまうわけだよ。
それとも、弾薬は魔法でなんとかなる……とか?
いやそもそも、弾じゃなくて『気功』みたいなパワーを撃ち出せたとか?
まさか、ガン◯ムのビームラ……。
うーん、また謎が増えてしまった。
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※1 ある異世界帰りのおじさんは、異世界で名乗るときには偽名を使ってたらしいぞw
※2 『写真』という言葉が一般化する前は、『光画』『ホトガラヒ』などと呼ばれていたらしい。




