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第25話 田園風景

 ……ご都合主義はともかくとして、この地に日本人ばかりが転生していることは分かった。

 いや、そもそも『転生』って何なんだ! というのを小一時間問い詰めたくはなるんだけどねぇ?

 

 まぁしかし、それを言っても始まらない……事実目の前に、ネコミミさんたちがいるんだから。

 もうそれはそういうもんなんだ、と受け止めるしかないのかもしれない……。

 壮大な規模のドッキリカメラの可能性は捨てきれないけど……そもそもボクは、ドッキリを仕掛けられるような有名人でもないしねw

 

 とりあえず、次の話題に行ってみよう。

「ところでボクって、他の転生者のような『特殊な能力』って、あると思いますか?」

「え、だってタマキ様は昨日の夜、『雷撃魔法』を使ってたじゃありませんか?」

 ネコ娘は不思議そうな顔でそう言う。


「あーでも、アレはちょっと違うと思うよ? あれは魔法というより……武器、かな?」

「だって、呪文を唱えて『ドーン!』って杖から雷撃を放ったじゃあないですか!」(※1)

「ええ、私もひと目見てちょっと変わった形の魔法の杖だなぁと思っていたけど……良かったら詳しく説明してもらえるかしら?」

 母ネコも、興味ありげな眼差しでボクを見つめる。


「そうですね。まず実際に見てもらったほうが早いかもしれませんね。屋外のほうがいいのですが、どこか広いトコはありますか?」

「ええ、それだったら田植えがまだなので、田んぼは広く空いているわよ。もう水は張ってしまってるんだけどね。」

「分かりました。たぶん大丈夫だと思います。それと、『標的』になる木の板とか木の杭とかがありましたら、頂けますか?」

 ……とまあこんな感じで、即席で銃の実射を披露することになった。


 部屋に戻り、AKMを手に取ると、ガチャリとボルトを引く。

 中を覗くと、チャンバー(※2)がポッカリと大きな口を開けている。

 うん、今日もちゃんと実銃だ。

 ……とりあえず、1日限定のボーナスとかじゃなかったということだね。

 そして、プレートキャリアのマガジンポーチから1つマガジンを取り出し、ダンプポーチに放り込む。(※3)

 そして母ネコさんから脱脂綿を少々貰い、みんなで田んぼに出かけることとした。


 すると、どこからともなく昨日の門番ネコが現れる。

「やあ、こんにちは! 木杭と板と、あと空き缶を持ってきたよ! なにか面白いことやるって聞いたけど?」

 あからさまにワクワク顔。わかりやすい人だ……。


 3人のネコさんの先導で田んぼへ向かうボク。

 あまり他人のお尻をジロジロ見るのもどうかと思ったので、今までは見ないふりをしていたんだけど……ボクの前を歩く3人のモッフモフなしっぽが、目の前でゆらゆら揺れている。

 うーん、コレってどう見ても、作り物には見えないんだよなぁ……。

 

 しっぽをグイと掴みたい衝動を抑えながらしばらく歩くと、目の前が開けてくる。

「うわ! これは広い! すっごいですね!!」

 

 思わず声が出てしまった……見渡す限りの田園風景。

 水を湛えた田んぼが、陽光を浴びてキラキラと輝いている。

 パッと見てどのくらいか分かんないけど、東京ドーム5個分とかそんな感じ?

 いやーこの広さを3日3晩で開墾したって……ホントありえん、伝説級だ! って、伝説かw


 まず、奥の山側に誰もいないことをよく確認してもらう。

 流れ弾が当たるとまずいからね。

 その後、みんなに協力してもらいながら田の畦道に杭を打ち込み、その杭に板を打ち付けたり空き缶を置いたりしながら、標的をつくっていく。

 

 そして立て終わったら、その標的から30m程離れたところにみんなを集め、準備完了だ。

「とても危ないですから、ボクが良いと言うまでココから前には行かないでくださいね!」

 そういうとボクは、自分の耳に丸めた脱脂綿を突っ込み、耳栓代わりとした。(※4)


 ――――――――――


 ※1 『止まれ! 撃つぞ!』などと発砲前に唱えていたのを『呪文』だと思っているのだろうw

 ※2 薬室、銃腔とも。銃身の末端部で、弾薬が収まる部分。

 ※3 ダンプポーチは普通はピストルベルトに取り付けてあるパターンが多い。筆者とタマキの場合は左後方。

 ※4 射撃時には耳栓は必須。専用のイヤマフや、ウレタン製の耳栓をオススメする。筆者は、散弾銃での射撃時に耳栓をするのを忘れて、10分ほどひどい耳鳴りになったことがある。

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