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第20話 新しい朝が来た

 異世界で初めての朝ご飯。

 とはいえ、日本古来の食事とあまり変わりはない。

 玄米雑穀飯に味噌汁と、お漬物……うん、むしろコチラの世界のほうが日本人らしい食生活をしているようだ。

 まぁ日本人というか、ネコミミさんだけどね……。


 漬物をコリコリ食べながら聞いてみる。

「あの、コチラの食事って……ボクたちの暮らしていた地域の伝統的な食事に似ているのですが、どうしてですか?」

「うふふ、そう思うわよね? 実はね、それはこの「ネコの谷」特有の事情があるの。」

「特有……ですか?」

「それじゃ、このあとゆっくり、この谷のコトをお話しましょうか。」



 

 食事の後片付けが終わり、自分の荷物の整理をしようと部屋に戻ると、ネコ娘が服を持ってきた。

「タマキ様、コチラもお使いくださいとお母さんが。」

 見ると、小豆色の作務衣っぽい服だ。

「それとね、着替え終わったら、隣の道場まで来て欲しいって言ってましたよ。」

 道場? ってことは、この服は道着? んー空手とかするのかな?

 それともラジオ体操的な何かとか?

「あ、私も一緒に行きますので、着替え終わったら玄関まで来てくださいね♪」

「うん分かったよ、ありがとう。すぐ着替えるからちょっと待っててね。」


 服を着てみると、サイズはピッタリ。でも帯は無いね?

 あ、浴衣の帯が使える? キュキュッと……コレでよし!

 とりあえず、もしものためにピストルベルトを付けていくか。

 マカロフを簡易チェックしてホルスターに収め、準備完了。


 玄関にいくと、ネコ娘が待っていた。

 服は昨日と同じ和風メイドさん。

 

 うん、この雰囲気だと、空手とかじゃなさそうね……ま、そらそやろな。

 あのおっとり系な母ネコさんが空手など……いやいやいや、実は意外と歴戦の猛者だったりするかもしれんぞ?

 ボリューミーな体を白い空手着に包み、凛々しく黒帯を締めると、気合とともに鋭い正拳突きや回し蹴りが炸裂……などとアホな妄想でいっぱいになるボクの手を引き、ネコ娘は道場に案内してくれた。


 隣りにあるというその道場も、やっぱり神社にあるような平屋の建物。

 辺りを見回してみても、ほぼ平屋ばかりのようだ。

 ただ唯一、火の見櫓のような木造の塔が、一番高い建物っぽいな。

 

 さて道場という建物の中に入ると、道場とはいえそんなに広いわけではなく、せいぜい16〜20畳程度の畳張りの間。

 多目的スペースといった趣だ。

 その隅には、黒板と座卓に座布団少々。

 

 そして、その黒板の前には母ネコが座っている。

 まるで大正時代から『転生』してきたような、淡い桜色の矢絣の着物に小豆色の袴といった出で立ち。

 ポニーテールにして真っ赤なリボンつけたら、もう『◯クラ大戦』(※1)まっしぐらだね?


「さあ、コチラへお座りになって。授業を始めるわよ。」

 ん? 授業って? 学校なの??

 

 ――――――――――


 ※1 大正時代っぽい世界観のドラマチック・アドベンチャーゲーム。筆者的には、あのスチームパンクな『歩くドラム缶』で戦うのだけはゴメンだよ、と思ったものだが。

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