第13話 ネコの谷の隠れ村
森を抜けて、それから15分くらい歩いたのだろうか。
山陰に、ポッと明かりが見えてきた。
「タマキ様、もうすぐ村ですよ! もうひと頑張りです♪」
「あ……そうなんだ……もうすぐ、なんだね。」
5分ほど上り坂が続いたので、ボクは肩で息をしながら答える。
うわあ……最近運動していなかったからねぇ、ガッツリ体力落ちてるなぁ……。
近づいていくにつれ、それが篝火であることに気づく。
そしてその側に、人影が見える。
篝火の前まで来ると、その人は薙刀のようなもので武装していることがわかる。
背の高い女性でネコミミ、明るい色の修験者のような衣装を着ている人だ。うん、徹底しているな……。
「おお、誰かと思ったら、ミーナちゃんかい。遅かったね。」
「ただいま帰りました〜! 門番いつもお疲れ様です♪」
「お疲れさん。で、その人達は?」
「あ、えと……途中で出会った『駄犬クラブ』の皆さんと――」
「あはは、そっかそっか! どっかで見たと思えば!」
するとネコ娘はボクの手を取って……
「この方は、森で道に迷って困っていらっしゃったので、お連れしたんです。」
「おおそっか、旅の方ですか。どおりで変わったお召し物だと。」
門番の目が厳しく光る。
「そうなんです! この方、実は……」
あぁもうそれ言っちゃう? ……それ君たちの勘違いだからね?
「全国を行脚している……魔道士様です♪」
一瞬の沈黙……そして……。
「お、おお! そういうことでしたか! それはそれは遠いところを、こ〜んな山奥まで!」
んんんんんん????? そんなんでいいの? あんたそれで納得しちゃってるの?
「それで、今日はウチへお泊まりいただこうかと思って!」
「おお〜それはそれは! それでは、後で酒か何かをお持ちしますよ!」
う〜む。何か知らんが、歓迎されている、のか? ……どゆこと?
最悪……囲まれてもこのAKMがあるから、まぁ何とかなるか(超楽天)。
で、ネコ門番、イヌたちにも話しかける。
「ところで、あんたたちも泊まってくんだろ?」
「あ〜いやいや俺達は……」
「家で家族が待ってるからさ!」
「また近い内に改めて!」
「な〜んだ、帰っちまうのか! また来いよ! 酒もってな!」
そしてイヌたち、ボクたちに向かって、腰から直角90度のお辞儀。
「今日は、ありがとうございやした!」「「っした〜!」」
「あ、ああ、うん、……今日はありがとう。こちらこそお世話になりました。」
「いえいえ、コレくらい何てことはないス!」
「何かあったら、いつでも俺たちをお呼びくだせえ! では、失礼しやす!」
その後彼らは、満面の笑み(なのか?)を浮かべ、手を振りながら去っていった。
「駄犬クラブのみなさーん、お気をつけて〜!」
ネコ娘とネコ門番も手を振る。
ボクも、一緒に手を振った。
「さあさ、夜も更けました。まずは中にお入りを! 私は門を閉めてまいりますので。」
「魔道士様〜、どうぞコチラですよ♪」
ネコ娘に手を引かれ、ボクは村の中へ入っていった。