第10話 情報収集
そんなこんなで、ボクたち5人は夜の森を歩く。
……もう10分くらいは歩いたと思う。
松明イヌを先頭に、棍棒イヌとリーダーイヌが続く。
そしてその後ろからネコ娘とボクがついていく形だ。
まぁとりあえず、安全に泊まれそうなトコも見つかりそうなんだけど……ホントについて行って大丈夫なのかなぁ?
そもそも、4人とも得体が知れないし……寝込みを襲われることも十分あり得る。
まずはその村に着くまでに、ちびちび情報を集めなきゃね。
「あのーとりあえず、名前とか聞いていいです?」
「あ、そうでしたね! 私、ミーナっていいます。巫女の見習いしてるんです!」
「巫女さんなんだ! 神社にお仕えしてるとか?」
「ああ、うちが祈祷師というか陰陽師というか、そういうことやってて。」
「あーなるほどね! 何となく分かるよ、そっかそっか〜」
「村のけが人とか病気の人とかも診たりすることもあって!」
「うわー何でも出来るんだ! スゴイね〜!」
「あ、でも私は見習いだから、ちょっとした傷を治したり、薬を作ったりくらいなんですけどね、えへへ♪」
……なるほど、しかし何だなぁ、設定にしては複雑だな?
もっとこう……『巫女のバイトしてまぁーす♪』的に簡単にしときゃいいのに。
「で、こんな夜に森で何を?」
「あ、それはその……山を降りて、町に薬の材料を買いに行ってたんですけど」
「ああなるほど。」
「それで、ちょっと帰りが遅くなっちゃって、暗くなった山道を歩いていたらその方たちに捕まっちゃって……」
「あーそういうことか。それは災難だったね……。」
……んーまぁ一応筋は通ってるね。
「ああそうなんスよ、全部俺達のせいっス!」
「ゴメンな猫ちゃん、悪いことしちまったな!」
「いえいえ、でもおかげで、ウマシカ様に会えましたし……」
「意外と、嬢ちゃんプラス思考なんスね!」
……何だこのほっこり加減は?
今さっきまで脅し脅されしてたくせに、どういうコト?
まぁいいけど。
「で、君たちは?」
「あーすいやせん、申し遅れやした。俺がリーダーのカツヒトで」
「リョーヘイといいやす!」(松明イヌ)
「シモンです、どうぞお見知りおきを!」(棍棒イヌ)
……あ、うん、何かそれって”◯チョウ倶楽部”(※1)っぽいなw
「そかそか、で? 何で君たちは人攫いみたいなことをしてたんだ?」
「あ、いや、それはそのう……」
「いろいろと事情がありやして……」
……まぁそうだろね?
「いや、ウマシカ様には本当のことをお伝えするっス!」
「兄貴?」
「大丈夫っスか?」
「救世主様には嘘はつけねえぜ。……実は……」
「ん〜まぁボクは『救世主』でも『ウマシカ』でもないけどね。」
「あ、すいやせん! 『タマキ』様って設定でしたっスね!」
……いや、設定とか無いからね? ボクは。
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※1 ホントは一瞬『ダケン倶楽部』と名乗らせようと思ったのはナイショw