霧の中の訪問者 第7章 「フランとの特訓」
紅魔館での準備を進める中、霊夢と魔理沙は次の異変に備えて戦力を強化しようと考えていた。戦力となる人物は、レミリアだけではない。紅魔館にはもう一人、強大な力を持つ存在がいた。彼女の名はフランドール・スカーレット――レミリアの妹であり、狂気じみた力を持つ吸血鬼だった。
「フランと特訓するなんて、無茶なこと言い出すわね。」霊夢は呆れた表情を浮かべながら、魔理沙に向かって言った。
「いやいや、こんなチャンスめったにないだろ?あいつの力は本物だし、ちょっと鍛えられるくらいじゃ済まないぜ!」魔理沙は楽しそうに笑って答えた。
二人が紅魔館の中を進んでいくと、やがて地下に通じる暗い階段にたどり着いた。そこは、フランドールが普段閉じこもっている場所――紅魔館の地下に続く階段だ。
「ここにいるのか。」霊夢は少し緊張しながらも、地下への扉を押し開けた。
暗い廊下の先に、フランドールの姿があった。彼女はおもちゃのような大きな羽を揺らしながら、無邪気に笑っていた。紅い瞳が二人を捉えると、フランは興味深そうに近づいてきた。
「お姉さまが何か面白いことを企んでいるって聞いたわ。でも、あなたたちが私と遊びに来るなんて思わなかったわ。」フランは微笑みながら、不思議そうに霊夢と魔理沙を見つめた。
「遊びじゃない。私たちは次の異変に備えて、力を鍛える必要があるの。」霊夢は真剣な表情で答えた。「あなたの力を貸してもらいたい。」
「そうそう、フラン!次の異変、ただじゃ済まないかもしれないんだ。だから、あんたの力を試させてくれないか?」魔理沙も笑顔で加わった。
フランは少し考え込んだ後、目を輝かせて言った。「面白そう!でも、手加減しなくていいの?」
「もちろんよ。そのつもりで来たんだから!」霊夢は決意を込めて言い放つ。
―――
広々とした紅魔館の地下室が、特訓の舞台となった。天井が高く、壁には古びた石が積み上げられており、空気は冷たかった。霊夢と魔理沙がそれぞれのポジションにつき、フランは中央に立って無邪気に笑っていた。
「じゃあ、始めましょうか!」フランが叫ぶと同時に、彼女の周りにエネルギーが集まり、鮮やかな光がはじける。
「くっ!すごい力だ!」魔理沙はすぐに箒で空中に飛び上がり、距離を取った。
フランは強烈なエネルギーを放ちながら、瞬時に霊夢と魔理沙に向かって攻撃を仕掛けてきた。彼女の力はまさに圧倒的で、紅い弾幕が次々と二人を狙って飛び交う。
「これ、遊びじゃないわね……!」霊夢は御札を手に取り、空中で防御の結界を張った。
「やるじゃないか、フラン!」魔理沙は笑いながら、自分の得意技を発動させた。「ラブスパーク!」
魔理沙の光線がフランに向かって直撃するが、フランは一瞬でそのエネルギーを回避し、まるで遊んでいるかのように軽やかに動き続ける。
「うふふ、もうちょっと本気を見せてよ!」フランは楽しげに叫び、さらに強力な弾幕を展開した。弾幕は狂ったように広がり、地下室の壁や天井を砕き始める。
「やばい、このままじゃ紅魔館が崩れちゃうわ!」霊夢は焦りながらも、冷静に次の手を考えた。
「ならば、私も全力でいく!」霊夢は空中で御札を複数枚取り出し、特大の結界を形成した。「八方鬼縛陣!」
霊夢の結界がフランを取り囲み、エネルギーを封じ込めようとする。しかし、フランは笑いながらその結界の中で弾幕を展開し、さらに巨大な力で結界を破壊しようとしていた。
「まだまだよ!」フランは無邪気な笑顔を浮かべ、全力を尽くして攻撃を続けた。
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特訓は数時間に及び、地下室はまさに戦場のような光景を呈していた。壁は崩れ、床には無数のひびが走っていた。しかし、霊夢と魔理沙はフランの圧倒的な力を前にしても、なんとか耐え抜いた。
最終的に、フランは満足した表情を浮かべながら、少し疲れた様子で息をついた。「ふぅ、楽しかったわ。あなたたち、なかなか強いじゃない!」
霊夢は汗を拭いながら笑みを返した。「あなたもね。これで次の異変にも備えられそうよ。」
「フラン、ありがとうな!また今度、遊んでくれよ!」魔理沙も疲れた様子で手を振った。
「うん、いつでも来ていいわよ!」フランは笑顔で二人を見送りながら、地下室の奥に戻っていった。
―――
こうして、霊夢と魔理沙は紅魔館での特訓を終え、次の異変に向けた準備を一歩進めた。フランドールとの戦いは厳しいものだったが、それ以上に彼女の力と無邪気な一面に触れることで、さらに強くなるための刺激を受けたのだ。
「次の異変がいつ来ても大丈夫よ。私たちはこの経験で確実に強くなった。」霊夢は自信に満ちた表情で、紅魔館を後にした。