ダンジョンに行こう!
目を開けられるようになり周囲を観察していると、スキル「鑑定」を手に入れることができた。戦闘には役立たないが、鑑定を持っているだけでギルドからスカウトが来るくらいにはレアなスキルだ。本当に0才チート様様だ。
昼間は、母親の監視があり下手なことができないが夜は俺の時間だ。
俺は赤ちゃん用ベットの上で立ち上がると柵をよじ登り脱出する。0才児とはいえやはり覚醒者、前世の覚醒前よりも体が動く。
母親と父親が寝ていることを再度確認し、机の上にあるスマホを取り電源を入れる。背が小さいので苦労する。
スマホを開くと俺が死んでから3年の月日が流れていることを知る。
あの後、あいつは捕まったんだろうか?こうして転生出来たから良かったものの俺は殺されてるわけで許せるわけがない!が今何ができるわけでもないので、昼間盗み見たパスワードを打ち込みスマホのロックを解除する。
ネットで赤ちゃんの生後どうするかを調べる。赤ちゃんとして不自然に思われない程度の知識を付けないと不自然に思われて鑑定をされた日には転生者とばれるだろう。だが今現在正体をバレたくはない。せめて5才になってから覚醒者として世間に出てチヤホヤされたい。
ある程度赤ちゃんのする行動を頭に入れ、今度は俺の死んだ事件を探す。俺の前世の名前を打ち込むとすぐに記事が出てきた。
えーと?良かった犯人は捕まっているみたいだな。てか俺の名前一回しか出てこないじゃん
記事では俺の名前よりも犯人の名前やギルドとの関係性など今となってはどうでもいい事ばかりだ。俺も犯人が捕まっているならざまあみろ!とは思うがそれ以上の感情はない。
後はこの辺りのダンジョンを探す。検索に引っかかったのは3件それも俺が求めている初心者向けのダンジョンが1つあった。しかも距離も5㎞くらいでそれ程遠くない。これなら夜中にこっそりダンジョンに行けるかもしれない。
そうと決まれば怪しまれないようにスマホを元に戻して寝床に戻る。そして今日覚えた新スキルをお披露目する。
「オンギャーオンギャー」
夜泣きである。さっき調べて赤ちゃんならよくあるらしいからな。後色々と考えていたらお腹も空いたしな。
「あらあら、こうちゃんどうしたのかな~おむつは大丈夫そうだしお腹空いたのかな~」
母親が抱っこしてくれおっぱいを吸わせてくれる。最初これをした時ギョっとしたがこの体だと、まず性欲が無くなっており邪まな感情が一切出てこなかった。少しだけ羞恥心はあるけどな。
お腹が膨れると眠くなりそのまま眠ってしまう。明日になったらどうやってダンジョンに行くか考えよう…………
朝6時半
「おはようソフィア昨日はよく眠れたかい?」
「おはよう誠さん!こうちゃんが一度だけご飯で起きたけどそれ以外はぐっすりだったわ」
朝食を作っていた母親と今起きてきた父親を横目に昨日の続きを考える。というよりは家を抜け出すにしても父親と母親の普段のルーティンを確かめておこうと思った。
7時半頃、朝ごはんと着替えを済ました父親が家を出ていく。母親は朝ごはんの片付けをしている。
それが終わると俺のオムツなどを変えてくれソファーで一休み。
洗濯機が洗い終わる音がなり洗濯を干しに行く。そのタイミングで俺も行動を開始する。覚醒者の身体能力を活かして母親の後ろについて行く。ただ洗濯物干しているだけの母親にバレないよう音を殺しながらできるだけ激しく動く。
スキル「隠密行動」「アクロバット」を取得
きたぁあ!俺が狙っていたのは新たなスキルの入手だ。もちろん昨日のネタの夜泣きではなくちゃんとしたステータスに残るスキルだ。何か俺からアクションを起こせばスキルが貰えると思った。
早速鑑定を使いスキルの詳細を見る。
隠密行動lv1 動く際に出る音に補正、他者に気配を察知されにくくなり自分の存在感を薄くすることができる。
アクロバットlv1 空中での姿勢補正、垂直な壁や建物の外壁を少しの間駆け上がることができる。
鑑定のおかげでスキルの具体的な部分まで分かる。俺が元々持っていた知識はあくまで一般的に公開されている情報だし、スキルのレア度の知識が多い。胎児の時は実際に使ってスキルの詳細を確かめてたしな。
新たなスキルを使い母親が俺の様子を見に来る時間以外ストーカーみたいなことを続ける。
しまった⁉
気づいた時にはもう遅かった。母親の行動を隠れて1日中観察した結果寝るのも忘れていつの間にか時刻は夜の7時半、父親もすでに帰って来ていた。
他にもスキルを手に入れたが今日の所は、睡魔の限界が近い。本来赤ん坊は18時間ぐらい寝るらしいしそれを覚醒者補正で起きていられるに過ぎない。成長に影響が出たら嫌だし明日からは自重しよう。
昨日と打って変わり今日は、昼間出来るだけ寝ることにした。今日の深夜こそダンジョンに行きたい。母親が夜に起きないように起きてる時間はできるだけ泣き母親の体力を削る。
その成果はあり、いつもより早く眠りについた。念のため30分様子を窺うが起きる気配はない。
ここからは時間との勝負だ!俺は隠密行動を使い家を出る。家からダンジョンまでの道のりは頭の中に入れてある。夜といってもまだ10時半、チラホラ歩いている人を見る。一般人なら大丈夫だろうけど冒険者にはレベル1の隠密行動だと気づかれる可能があるので普通の道は通れない。俺が導き出した答えは家の屋根から屋根へ飛び移り移動する方法だ。
ヒャホー
家の中では窮屈な思いをしていたが、外では最大限に動けるため解放的な気分になってしまいテンションがおかしい。ダンジョンつくまでハイテンションは続いた。
さてどうやって忍び込もうかな?初心者向けダンジョンとはいえダンジョンはダンジョン、入り口は交番みたいになっており見張りも一人いる。
(鑑定)
種族 人間 性別 男 覚醒 無
警備の人は、覚醒者ではないのなら隠密を使えばまずバレないだろう。上位のダンジョンなら覚醒者が見張りをしていると聞いたことがあるがここは大丈夫そうだ。
警備員をあっさりと突破して入口の前に着く。俺がダンジョンに入るのはこれで2回目。1人でダンジョン入ることに今さら緊張して来た。前世で入ったダンジョンに入口の穴と似ていたが赤ちゃんの姿だと随分と大きく見えた。
大きく深呼吸をした後、俺はダンジョンに飛び込んだ。
有村 コウ レベル1
職業
称号 転生者 ニート 守られし者 大根役者
スキル 感lv1 ソナーlv3 見えざる手lv2 危機感知lv1 鑑定lv1 隠密行動lv1 アクロバットlv1