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誕生

………温かい…あれ俺死んだんじゃなかったか?ってことはここは死後の世界?確かに温かくて心地よくてずっとこの場所にいたいと思えるそんな感じだ。天国ってこんな感じなのかな?


 体は動かそうと思えば動かせると思うが、なぜか動かせてはいけない気がした。


スキル 感 を取得


突然俺の脳内に声が響く。


スキル感だって?ってことは俺まだ生きてるってことか?…まあ死後の世界にスキルがなければの話だけど。


「ステータス」そう頭の中で唱えると


名前


レベル1


職業


称号

転生者


スキル

感lv1


 名前がないと思ったら称号転生者だって!…ってことは俺は死んで転生したってこと!?マジかよ、俺童貞のまま死んだのか…まあそれは置いといて転生したならここは結局どこだ?


 温かく、居心地も良く、目は開かないし声も出せなければ動きたくもない…まさかまだ産まれてすらいない胎児ってことかよ⁉よくある転生系の小説でも生まれたての赤ちゃんからなのに…


称号 ニート を取得


ってなことを考えているとまた頭の中に声が響く。


 今度は称号、確か「感」はEランクで「ニート」はFランクだったかな、レアではないけれどそもそもこんな簡単にスキルも称号も手には入れられないはずだ。


 考えられる理由はやはり転生して0歳になったから、冒険者は年齢が低ければ低い程レベルアップしやすい。それはスキルや称号にも当てはまるという研究結果がでている。つまるところ俺は精神的には20歳だが肉体的には0歳、正確にはまだ産まれてすらいないからマイマス1歳判定で成長速度がアップしているってことだ。


 そして覚醒は5歳から19歳まだしか確認されていない、つまり俺は最年少の6歳も若く覚醒していることになる。


 前世ではレベルを上げることなく死んでしまったが今世では最速でレベルアップできるんだ!


っと意気込んでみたが今のところ胎児の俺には何もできない。スキルや称号は取れてもレベルだけはモンスターを倒さなければ上がらないからな


結局のところ気長に産まれるを待つしかなかった。


……


 あれから数ヶ月程経ちもうそろそろ産まれてもおかしくないくらいには育った。体も少しは大きくなったが一番の変化はスキルが増えたことだ。


名前


レベル1


職業


称号

転生者 ニート 守られし者


スキル

感lv1 ソナーlv3 見えざる手lv2  危機感知lv1


そう3つもスキルを手に入れたのだ。


ソナーは周囲の状況を把握できるスキルで目の見えない俺にはかなり重宝している、ランクB


見えざる手は簡単に言うと念力で2メートル以内の物を動かすことができる、ランクC


危機感知はそのままの意味で危険が迫れば知らせてくれるが今のところスキルが発動したことがない、ランクC


しかも3つともCランク以上のレアスキルで、複数持っているのは中級者冒険者以上がほとんどだ。


俺は毎日魔力が続く限りソナーを使い続け、周りの様子を調べていた。


 どうやら今日は、母親1人で出掛けるみたいだ。俺がもうすぐ産まれそうと言うのに大丈夫なのかよとは思うがこの母親、割と1人でよく出かけているのでそこまで不安はないがこの日は違った。


 横断歩道で信号待ちをしていた母親が青になって渡ろうとしていた時だ。俺のスキル危機感知が脳内に警報を鳴らす。危機感知が作動するのは初めてだがここにいるとヤバいと感じている。


 俺は、ソナーで周りを限界まで探るが特に危険な物はない。


 だがここは横断歩道だ。恐らく車だろう!だが今の俺に車を止めるをほどの力はない。どうする?考えているこの瞬間にも危機感知はヤバいと伝えてくる。


 そして、母親が横断歩道の真ん中にさしかかった時それは現れた。ソナーに写ったそれは大型トラックでこちらに向かってくる様子だった。


 冒険者特有のスローモーションの世界で俺はすぐさま見えざる手をトラックに向けて発動する。もちろんトラックを止めることは不可能だ。だがハンドルとブレーキを動かすのは簡単だ。見えざる手でブレーキを押しハンドルを切るが距離が近すぎてトラックは母親に向けて猛スピードで向かってくる。


 しょうがない…あまりやりたくなかったが母親に向け見えざる手を使う。急いでいた為優しくは出来なかった。突き飛ばすように母親を押しギリギリのところでトラックを避けれた。


 ふう…危機感知がようやく止みひとまず安心だ。…あれ?いつまで経っても母親が起きないのだが…


地面に倒れたまま苦しんでいる。強く押しすぎただろうか?だが回復能力のない俺には出来ることがない。


 幸い近くにいた人がすぐに救急車を呼んでくれ、病院に搬送され始めは怪我でもしたのかと思っていたがどうやらそうでもないらしい。外の様子が慌ただしくなっていくのを感じていた時、急に周囲が明るくなった…


 急激な光に目が開けられない。状況を飲み込むのに時間がかかったがどうやら俺は産まれたらしい、誰かに背中を叩かれて理解した。


「オンギャーオンギャー」


 怪しまれないように必死に泣いた。


称号 大根役者 取得


……称号さん?誰が演技下手くそやねん!てか大根役者なんて称号聞いたことないわ!と誰にツッコミをいれているのか俺にも分からないが周りの人間は騙せているみたいなのでよしとする。


その後は急激に眠たくなりそのまま眠ってしまった。


 この体になってからは、すぐ眠たくなるせいで時間の間隔が分からないが何日目かに母親と父親以外の面会者が訪れた。今はまだ薄目しか開けられないのでソナーで周りを見ている。


「おじいちゃんででちゅよ~」


今俺を抱いてるのは50代くらいの男で俺の祖父にあたるらしい。普通の赤ちゃんがどうだかわからないが軽く笑ってサービスをしておく。


「おお、笑った!笑ったぞ」


祖父以外にも祖母らしき人と若い女性の3人で俺を囲んで喜んでいる。


「ホントに可愛い~お姉ちゃんおめでとう!!」


俺の母親の妹でしたか、俺からしたら「叔母」にあたるのか。


ゾワ


「ん?どうかした?」


「うんん?誰かが失礼な事を考えていたような気がして」


こえぇ~俺も一瞬背筋が凍ったかと思った。考えが読まれてるはずないのに?この人の事を叔母と呼ぶのはやめておこう…


そんなエピソードもありながら俺と母親は退院できた。目も少しづつ開くようにもなった。ここから俺の赤ちゃんライフが始まるのだ。


ステータス

名前

有村 コウ


レベル1


職業


称号

転生者 ニート 守られし者 大根役者


スキル

感lv1 ソナーlv3 見えざる手lv2  危機感知lv1 鑑定lv1

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