公園の木
今回短めになってます、後活動に書いてるのに投稿遅くなってすみませんそれでは本編どうぞ。
今回の主役はアライド、いつもは総統もしくはエンクランスの近くで雑魚戦闘員として活躍……しているが、そんな彼が公園で水犬とアラネ、サリィと遊び終えて、一人でぶらぶらしているところからこのお話は始まった。
アライドはアラネのように能力はなく、水犬のように肉体的力はない、まさに今の戦闘員の立ち位置がピッタリのアライドだが。
「W団のなかで正義と戦ってないの僕だけなんだよね」
総統は一度もアライドを戦闘に出したことはなかった。
「戦闘員なのに戦わない……自分はW団に必要なのだろうか……」
そんな不安を抱えながら歩いていると、公園内の綺麗に舗装された道の左右に植えられている花を手入れしている女性が一人、小さなリボン二つついた帽子を被らないで近くの木にひっかけて、手を土まみれにして黙々と作業していた。
アライドはどこか不思議な雰囲気を感じたが、邪魔したらあれなのでそのまま通り過ぎることにした。
ひとしきり歩き回ったらもう夕暮れ。
「アライド、総統さんがそろそろ帰ってくるから私アパートに帰るね」
サリィが一足先に帰って行った、水犬もそれに続きアラネは工場に向かって消えていった。
「一人ココにいたって仕方ないし、帰ろっと」
しかし、アライドはあの花壇の女性も帰っているのか気になり、帰り道の途中でとおるからついでに見に行った、すると……
「あれ…あの人帽子を忘れて帰ったのかな?」
昼間に見かけた女性はいなかったが、木にひっかけていた帽子は残っていた。
「どうしよ、このまま置いといたほうがいいのかな…」
アライドの考えた結論は。
「明日も来るし、いちよう持って帰っとこう」
アライドは帽子を木から取り、手がかりのようなものがないか帽子の裏を見てみたら名前が書かれていた。『野花 緒伊江』
「……なんて読むんだ?」
そして、時間は夜の8時、場所はW団の基地にしているお借りしているアパート。
「のはなおいえさんだと思うよ、でも聞いたことないな」
「総統さんが知らない人か、それは珍しい、町内の人はたいてい覚えてるんですよね総統……あれ?いつの間にかライフが減ってる」
『余所見はだめですエンクランスさん』
「まあ、たいていねたいてい」
食事が終わり自由時間、それぞれ好きなことをしているが、大半はデジの置かれている居間に集まっている。
「中之島さんに聞けばすぐなんじゃない?あの人のお父さん町内会のトップなんですよね?」
「天満さんのこと?たしかにそうだけど…どうするアライド君」
「大丈夫ですよ、そんなに大きな話にする事ではないですし、明日いなかったらそん時はお願いします」
「だあ!また負けた…」
『フフフ、私に勝てると思ったのですか?昔とは違うのだよ、昔とは』
「デジ口調変わってない?」
『あまいあまい、クチョウナンテイツでも変えれるっすよよよよよ』
「あれ…デジ?大丈夫か?おーい」
「総統、デジが口調の変えすぎで何やら奇怪音になってます」
「デジ!!自分を取り戻せ!帰ってこい!カムバック口調」
『ガーピーピピ…はい?どうしました皆さん?』
翌日……
アライドは帽子を持って公園の花壇に向かった、花壇に到着したアライドは昨日の女性が作業していた場所に別の誰かが何かを探していた。
「いったいどこで落としたんだ…」
もしかするとこの人は昨日の人の落とし物を捜しているのでは…。
「すみません…もしかしてこれをお探しですか?」
「君は…ちょっと失礼」
男は皮の手袋をつけていて、アライドの持っていた帽子を手にとって名前が書いてある場所をすぐに確認した。
「これだ、これを探していたんだ、よかったよかった」
男はもう離さないような強さで帽子を抱きしめた、顔は被っている帽子と分厚そうな服で見えない、むしろ皮膚が見えないぐらい服で覆い隠している。
「それでは僕はこれで…」
アライドが逃げるようにその場から去ろうとしたら。
「君、ちょっと待ってくれ」皮手袋の男がアライドを呼び止めようとした。
その時のアライドの心情。
「呼び止められた……どうしよう、このままにげようかな…明らか怪しいもの、全身服で見えないし、かかわったらどうなるか見える…軽く昔話で一時間くらい立ち話を強要されるに違いない……あれ?でもこれおばちゃんがする事だよね、でも総統もにたようなことしてるし……」
「君、ちょっといいかな?」
「はい!」
アライドはいい声で返事をしてしまった。
「君はこの帽子をどこで拾ったんだい?」
アライドは嘘をつく理由もなかったので正直に答えた。
「そうか……」
皮手袋の男はため息混じりの呼吸で帽子が引っかけられていた木に近寄った。
「この木は彼女と私にとって付き合いの長い木なんだ」
「やっぱりこうなるのね」
「彼女は花が好きでね、いや…花だけでなく植物全般が大好きなんだ、この木は私達が若かった頃に苗木から植えて成長した木なんだよ」
「若い頃ね…」
植物の成長や寿命を知らないアライドでも、その木は軽く数十年成長していそうな木だった。
「それじゃあその彼女とは小さい頃からのお友達だったんですか?」
「いや…彼女とあったのは婚約者選びの時…」
男はふと年季の入った時計を胸ポケットから取り出すと焦った様子で話しかけてきた。
「そうだ君、ちょっと手伝いを頼めないだろうか」
「手伝い?」
「簡単な手伝いだ、礼はタップリするだから付いてきてくれないかい?」
「こういったらなんですが怪しいおじさんについて行くほど僕は馬鹿じゃないですよ」
しかし、総統がいつもいっていた事を思い出す。
定例会議の時…
「いつもいっていると思うが、困っている人がいれば助けてあげるように……」
「でもここはキッチリと人助けをしましょう」
「助かるよ、それじゃあ付いてきてくれ、場所は近いから」
男は四歩、歩いたとたん思い出したようにアライドに自己紹介をした。
「そうそう、私の名前は野花大杉だ、ひらがなで書くと言葉になるから大杉で頼むよ」
こうしてアライドは大杉という男について行くことになった。