総統VS紀子
皆さんお待たせさせてしまいました、ついに決着です。
あれから一週間、半信半疑の呪いを解くために走り回った総統達だったが…。
「時間が…」
「エンクランス、もう時間がない…」
「わかっています」
しかし、ガドの一直線タックルは真っ直ぐだけにしか移動出来ない、紀子はガドの道筋から外れるだけで、簡単に避けることが出来る。
紀子は避けた際に何かを拾い上げた。
「だめだ、全然あたらない、このままじゃ…」
「まだです、この技があります」
『ガドレール』
両手のシールドを紀子のそれぞれ真横を通り越して射出、ワイヤーでつながれたシールドは壁にめり込んだ。
「当たってないよ…」
「これでいいんですよ、見てください」
紀子はワイヤーの外に出ようとするが、エンクランスの操作でワイヤーは上下に振られなかなか出ることが出来ない、そこにワイヤーを引き戻さず、ガド自身がシールドの元まで猛ダッシュ。
ワイヤーに挟まれた紀子の目の前から列車のようにガドが突っ込んでくる。
「もう一度、あの技にかければ」
ガドが紀子に接触、紀子はガドを止めようと押さえ込むが火花を散らしながら壁に近づく。
「今度は勝つ!」
猛烈なスピードで壁に近づく紀子、覚悟を決めたのか、壁に激突する手前でガドを飛び越えた、すぐにシールドを取り付けに入るガドに紀子が何かをガドの背中に投げつけた。
「終わりだ、シールドプレス・粉砕機バージョ・・・」
「エンクランス、ガドの背中に手が」
紀子の投げつけたのは潰されたはずの片腕、その片腕がガドの背中にある弱点にぴったりとくっ付いていた。
「外すことはできないのか?」
「ガドは背中にまで手が届きません」
『釘刺しショット』
紀子の潰された片腕が動き出しガドの弱点に釘を刺し込んだ、その反動でシールドの構えが解かれ、落ちてきた紀子がひるんだガドの装甲が壊れた顔面部分に手を当てた。
「終わった…」
デジの顔か紀子の顔が笑っている…勝利の一撃が放たれた。
『急転直下釘刺しショット』
ガドが負けることは、W団全員の敗北となる、時刻は十二時を過ぎ去っていた、紀子の呪いがアライドに今にも迎えを送りつけてもおかしくない。
「どうしようもないのか?」
エンクランスがキーボードから手を離し、席を立った時、総統が説明書を読んで、ある事に気付いた。
「いや、まだ手がある」
「でも、全員負けたんですよ」
「アライドくん我々のもっとうはなんだい?」
「W団のもっとう?」
総統が席についてもういちど、プロトを選択、これが最後のチャンスとなった。
「負けても負けてもチャンスがある限り、今度はこっちが相手を負かすまで諦めない、それが我等W団の不屈の精神」
ゲームスタートのゴングが流された。
開始早々攻める総統、しかし跳躍で簡単に避けられプロトの関節部分に反撃、総統を苦しめた釘刺しショットをどう防ぐかが総統の勝つ唯一無二の勝利えと繋がるが、時間をかければかけるほど呪いはアライドの命を奪うかもしれない、短時間かつ一方的な試合運びが絶対のこの試合、しかし、そうはさせないデジ。
跳躍からプロトの右肩に飛びつき手を関節の隙間にねじり込む、それを総統は両肩についているミサイルで防ごうと被弾覚悟で発射。
結局デジに当たらず被弾しただけ、だが釘刺しショットを防げた。
「このままで試合を進めても総統は既に両肩被弾により動きが鈍くなってしまった」
総統はどう攻めるか考えに入った瞬間にデジはアライドの戦闘で見せた速攻に転じた、ガードが遅れて懐に拳を数撃浴びせた後、両足で胸部を蹴り距離をいとも簡単にとられ反撃に移れない、総統が攻めるとデジは逃げの一手、なにも考えづに拳を出せば、すぐに開いた脇を攻められ、下手をすれば片側全部に釘刺しショットを食らって勝てなくなってしまう。
圧倒的、八方塞がり、なにをしようが裏目裏目で返ってくる、しかし、時間がたてばプロトは有利になる技が一つだけあった。
必殺技であるブラスター、デジを一撃で消し去ることの出来る技なのだが、モーションが長い上に真っ直ぐしか発射出来ない、デジならこれだけで軽く避ける上に更に問題が、このゲームシステムのジャストガード、単発でしか出せないが成功すれば技の無力化に敵機の膠着、まさにデジ専用技のようなこのシステムのおかげで、もしデジを動けない状態でブラスターを撃ったとしてもジャストガードで簡単に目押しされ、とどめには反撃ダウンの可能性が。
「どうしようもない、どうやって勝てと……」
そんな中、総統は時間を気にせずにブラスターにエネルギーを溜める、デジの急転にも対応するが、着実にダメージば蓄積している、しかし、デジの攻撃を防いでいるおかげで無駄となった釘刺しショットは数を増やしていた。
残り時間五分……
ブラスターの充電は完了、デジの釘刺しショットは残り数発、追いに回っていた総統が最後の賭けにでた、総統はみんなの闘いをただただ観ているだけではなく、説明書に書いてある記述に一つの賭けを仕組み込んでいた。
「総統、もう時間が!!」
チャンスは一回、もう一度するぐらいの余裕はない、この作戦に総統は賭けた、仕掛けるタイミングは……。
デジが急転して懐に飛び込んだ。
「この瞬間を待っていた!」
総統はデジとは反対方向に体を向けミサイルを放った、もちろんデジに背中を無防備にさらした結果は。
『釘刺しショット・ショルダー二段刺し』
「総統!」
プロトの両肩は動かすことは出来なくなったが、肩の動きを制限された両腕でも十分デジを捕まえることは出来た。
デジを正面に無理やり放り投げた総統はブラスターのモーションに入った。
空中に投げられたデジは避けることは出来ない、しかし……
「総統!駄目です、あれではジャストガードで防がれてしまいます」
それなのに、総統はコントローラーから手を離して画面を見ていた、そして口を開いた。
「ジャストガードは確かに無敵の防御システム、しかし単発でしか出せないし防げるのは一つだけ…」
プロトの体から光が漏れ始めた。
「つまり二方向の攻撃には対応できない、さらに片方には無防備になる」
「確かに片方の攻撃には当たるかもしれませんが、威力の強い方を防ぎますよ誰でも」
『粒子ビーム・ブラスター全開砲』
「それは選択できた場合、それに格ゲーをしている人にはよく分かるはず」
デジはブラスターの攻撃判定に合わせてジャストガードを繰り出した……ハズだった。
「誤爆だ」
ブラスターが当たる寸前に総統は一つのボタンを押した。
総統はデジに背中を見せて撃ったミサイルは誘導系の弾、大きく旋回してデジの後ろに回り込み、ブラスターが当たる場所に合わせ誘導弾を爆破、無論攻撃判定は優先的に誘導弾の方に。
結果、デジはジャストガードを誘導弾の方にプロトのモーションは既に終わっているのでブラスターは続行、単発でしか出せないこと攻撃判定の優先、ジャストガードの裏をかいた総統の策は無事成功した。
『ギャアアアア………ザザザザ……』
「これが現実の実戦で、さらにジャストガードに似たような技があったら、わしらは完璧に負けていた…ジャストガードを多用しすぎた紀子の負けだ、恐ろしい敵だった」
デジの体は消し飛び、プロトのモーションが終了、無事ライフは残り、画面に大きくこう描かれた。
『あなたは見事世界を再生するただ一つの方法にたどり着きました、娘を頼みます』
「娘?」
すると、画面にイエスかノーの選択、その内容は。
『……PCに残された残留データをアップデート、および修復しますか?』
「どうしま……」
「ポチッと」
総統は考えずにイエスを選択。
「なにやってるんですか!?何も相談せずに」
「だってアップデートだよ、前より使いやすくなるんだよ」
「それでももうちょっと考えてから…」
「決定権はワシにあるはずだ」
「確かに勝った総統にあると思いますが……そのどや顔やめてくれません?」
そんな総統とエンクランスがケンカしている間に勝手に進行しているPC。
『……アップデート完了時間推測六時間……』
「なが!!」
………数分後
「なので、本当に朝になりそうなのでワシとエンクランスは寝ずの番でみはるからみんなは寝ること、終わったら起こすから」
「ハーイ!」
こうして、朝まで寝ずの番で見張る総統とエンクランス、朝になると何が出てくるか、そして呪いは解けたのか、娘とはいったい、その謎はPCに映し出されたこの名前が教えてくれるかもしれない。
『デジデータ修復中……』