灼熱体操!!
灼熱工場の夜間警備員として雇われたアラネ、しかし夜間だけでは強くなれないと思い、朝早くからアラネは工場に出かけた、そして弱点の克服に一歩近ずく。
大勢の灼熱工場の工場社員が朝早くから一カ所に集まる。
「ここか…」
その時、アラネは第一灼熱地獄工場の屋根裏の鉄骨に隠れていた。
ここは灼熱工場の中では一番デカく作られ、社員三千人は軽く入る。
「何をするんだろう?まさか悪巧み?それに何?この黒い箱は?この工場の中だけに四方におかれてるのは」
アラネは黒い箱を叩いたり引きはがそうとしたが、びくともしない、その代わりどこかで聞いたことある声が聞こえる。
「じゅ…は…るのか…マイク…わる…テストして…みる」
「銑三の声?まさか銑三…あまりにも太ってるからって長方形の箱にならなくてもいいのに、痩せようとして失敗したの?」
アラネは黒い箱に抱きつき元銑三の声を聞こうと、スピーカーに耳をくっつけるかたちになった。
そんな事をしていたら、木製ステージ端から銑三がマイクを持ちながら歩いてステージの中心で朝の挨拶が始まった。
「マイクテス、マイクテス、ああ、それでは…」
銑三が急に大きな声を出し、耐えきれなかったマイクを通してスピーカーから強烈な音が。
マイクの使い方を失敗したときになる耳を刺す強烈な音が工場内に響き、社員は耳を塞いだ。
「おっと、音量下げて」
マイクの音量が下がったが屋根裏では蜘蛛一匹が確実に倒れていた。
「は…は……」
アラネである。
「どうも使い方がまだ解らん、まあいいか、誰が倒れるわけないし、それでは朝の体操からスタート」
その後…
「ん…気分悪い…今何時……20時…夜!」
見事に最長昏睡状態更新。
次の日……
「二度とあんな思いはしたくない、破れたかと思ったわ!」
今度は工場の中心にきて、四方のスピーカーから一番遠いと思われる場所に待機、ついでにスピーカーには蜘蛛糸で二重巻きしておいた、布を間に入れて。
「それでは、朝のあいさつはここまでにして、体操のたいけいに開け」
「ハッ!」
「どこの学校の運動会?」
すると、スピーカーから聞き覚えのあるあの体操第一の曲が。
「両手を前に出して背伸びの運動…1…2…3…4……5……6………7…………8」
「間が長い!どんだけ背伸びさせるきなの!」
といったツッコミどころまんさいの体操は十五分かけて終了。
そして、銑三の衝撃の一言。
「それでは、再度体操します」
「もう一度するの?!さっきの…あたしの勘違いだったかな?」
だが、ある社員は喜び、社員の気の引き締め用は先ほどとは段違いだった。
「準備はいいか!」
「ハイ!」
「声が小さい!」
「ハイ!!」
「よし、構え!」
すると、社員三千人が寸分の狂いもなく同じ動きをした後、先ほどながれた第一の曲のアレンジなのか、太鼓の音がメインの激しく暑苦しい曲に、それもそのはず工場内の機械が急に動き出し熱気が閉めきられた工場を包んでいるのだから、なのにピクリと動かない社員に銑三。
「は……は…これはヤバい、水…水を」
アラネは暑さについていけず脱水され干からびた蜘蛛になりかけていた。
「なるほど、たしかにこれについて行ける暑さを持たないとダメだわ…は…」
そして、銑三が歌って収録した歌が始まり、太極拳のような何かの武術を踊りだした。
「銑三…銑三はどうして……」
ステージに立っている銑三を見て驚愕した、なんと暑苦しいを通り越して、体中に炎をまとい踊っていた。
「銑三!それ熱いを通り越して燃えてる!」
こんな状況がもう十五分続き、曲の終わりと同時に工場の出口が全開され、涼しい風と共に清々しい顔の社員がそれぞれの持ち場に平然と歩いてゆく、それを手を振って見送る銑三。
「行ってらっしゃーい」
社員全員が出て行ったのを確認したアラネはステージに立っている銑三の所に降りた。
「どうだったアラネちゃん」
そこには平然と短い葉巻を吸う銑三がいた。
「あの夜のことを理解したとだけ言っとく」
アラネは汗だく状態。
「すぐに水分補給した方がいいよ」
「うん…そうする……近くに海もあるし…」
「まさか海水を飲むつもり?」
銑三は衰弱したアラネを食堂までつれていった、そして、銑三が立っていたステージには円を描いた木の焼き後が残っていた。
数日後……
アラネはあの暑さに慣れるため日々、工場に通った。
ある時は自分で踊ってみたり、熱唱したり、氷を持ってきて何分耐えれるかなどなど、いろんな事を試した。
結果……
「アラネちゃん!大丈夫かい」
屋根裏から落下、その後は普通に社員の中に組み込まれ、朝の体操参加者の一人となった。
W団本部アパート夕方
「そうか、朝早くから起きて体操なんて偉いね、でもなんか変な方向に走ってない」
「大丈夫ですよ総統、最近じゃあ皆さんと同じぐらい熱くなれますし、コーンポタージュをすぐに飲めるようになりました」
「前は冷やしてたよね」
コーンポタージュを飲み終えたアラネはいつもの着物を着て庭にある蜘蛛糸ハンモックで一休みした。
「この後バイトだから少し寝てから行くんだって、今日は工場長がいないから大変な日になるっていってたよ、すごいよね、我が団員ながら感心、家計簿も大助かり、見て久しぶりの黒字」
「ギリギリだったんですね総統」
「さすがに全員養いながら仲間探しの旅費もバカにならないからね」
「といいつつ今日はステーキですか、しかも特別ソース付き」
「少しは奮発しないとね張り切って仕事できないでしょ」
「そうですね」
使い終わった皿を片付ける総統、その手伝いをするサリィとアライド、しかし今度はいつも水筒に入っている水犬がいない。
「家庭の悩みは解消されてないなまだ、こんどは水犬がいないよ、仕事でも探してるのかな?」
「さすがに水犬を雇う人はいないでしょ」
水犬はこの時何をしていたのだろうか、それはまた別の話。
場所は変わり灼熱工場出入り口。
「今日もいい仕事が出来た」
「帰ったら風呂に入って寝よ」
「もう少し別のことしないか、雀荘にいくとか」
「なら太鼓しに行こうよ」
日が落ちて帰宅時間になった灼熱工場から煙は消えそれと共に炎も消え、社員はそれぞれの家路に向かっていたが。
「そういえば今日は工場長外出してるんだってさ」
「じゃあ誰が工場を守って…ああ彼女がいたか工場長が認めた」
「だったら大丈夫だろう」
そんな社員が外に出ようとしたら出入り口を陣取っている三人トリオがいた。
「あねき、聞きましたか?」
一人は自分の身長と幅ぐらいある鉄パイプを片手で持ち。
「チャンスですね鉄板」
一人はサンタクロースの袋みたいな物にネジを入れた袋を持ち。
「鉄板いうなチビ、でもこれはチャンスねあのガキ相手なら勝てる、それに今回は人質付きで強力な助っ人もいるしね」
背中に鉄板を背負っている女の合図と共に出入り口の死角からぞろぞろと武器を持った集団が出てきた。
「さあみんな、やっちまいな!」
こうして、銑三がいない時に襲撃された灼熱工場、そうとも知らず出勤するアラネ、今三人トリオの復讐が始まる。
大変更新が止まってしまって申し訳ありません。
ですがこの夏休み中もう少しだけ休ませて下さい。
次回予告
三人トリオにより占領された灼熱工場、到着したアラネは早速三対一のハンデ戦をすることに。
次回灼熱工場、アラネVS三人トリオ