水犬VS正義の見方
遂に始まった、悪と正義の戦い、水犬の攻撃により傷ついた正義は腕時計を使い変身する。
「見せてやる、総統、これが正義の見方だ、変身!!」
注意事項、今回正義とある方が技を叫びますが、作者とは一切関係ありません、これは技名を考えた人の……なのであしからず。
「正義の見方、変身!!」
正義の身に付けていた腕時計を天にかざし針が回り強烈な光、飛ばされそうな風、立っている地が揺れる、雲が正義を中心に渦をつくる。
「うおーーー!!」
声は公園内に響き渡る、腕時計に四匹の獣の絵柄が浮かび上がり、光は正義を包み込んだ。
「何なんですかあれ、あれが変身なんですか?」
アライドが耳を塞ぎながら、微動だにせず腕を組んでいる総統が答えた。
「そうじゃ、長い間封印していたものを全て吐き出す勢いじゃ」
総統は正義に負けじと正義に負けないように声を張り上げた。
「さあ!かかってこい正義!我等W団は逃げも隠れもしないぞ!!」
「うおーーー!総統ー!!」
「正義ーー!」
正義を包み込んだ光ははじけ、その衝撃波がW団にぶつかり、水犬は後方に少し飛ばされ、総統はアライドをエンクランスはサリィの盾となり、フードの人は一歩も動かず立っていた。
「あれが…正義の見方……」
そこには微妙な私服から、全体的に赤、青、緑、白が程よく色分けされた服に首に巻かれた黄色のスカーフが特徴の格好になり、腕にはあの腕時計が。
「水犬!今までどうりにいかないかもしれんが、行け、その牙でもう一度正義を倒すのじゃ」
水犬は先程と同じ動き方で正義に襲いかかった。
「ウーッ(変身ぐらいで強くなるはずない、すぐに決めてやる)」
水犬は正義に飛びかかったが、水犬は正義にあっけなく上空に投げ飛ばされた。
「………」
「ワ!!(なに!)」
投げ飛ばされた水犬は地面に着く前に身をねじり、キレイに立て直した。
「水犬、油断するな、先程の正義とは別人じゃ」
その後も水犬は正義に襲いかかったが、そのたびに投げ飛ばされ、始めはキレイに着地していたが、次第に立て直す力がなくなり地面に叩きつけられるように落ちていく、それでも水犬は総統のために闘った。
「ウーッ(まだ…まだ…)」
「水犬!」
「スイ!もうやめて、総統このままじゃスイが…」
「そうですよ、エンクランスさんも止めてください」
しかし、二人は止めようとしなかった。
「総統、エンクランスさん」
するとエンクランスが総統に代わって代弁した。
「水犬は投げ飛ばされてから一度も総統を見ていない、諦めてないからだ、そこに私や総統にやめろといわれたらどうなるか、さぞ悔しいだろうな」
「さすがはエンクランス、そのとうりじゃ」
今にも水犬にやめるように指示したい総統だが、必死にこらえている。
「水犬がこっちを一度でも振り向いたらやめるように指示する、しかし水犬はそれを今、望んでいるのか、だから止めないのじゃ」
「総統……」
また、水犬の体は高く上がりそのまま地面に叩きつけられた、表面の水が少しずつ流れ落ちている、犬の原型を保つのも厳しくなり、倒れ込んで動かなくなった、四季蜘蛛の時よりひどい状態に。
「クーッ(ダメだこのままじゃ)」
その時、無意識に水犬は総統の方を見てしまった。
「水犬……分かった、よく頑張ったね」
W団メンバーは水犬の負けを認めようとしたその時、顔の右耳が潰れ、尻尾もなくなった水犬が立ち上がった。
「ウーッ(総統、まだです、まだいけます)」
「水犬!」
「アウゥ(だって…約束したから)」
前日、正義に手紙を送り、夜中に戦闘メンバーの順番を決める際、一番に名乗り出たのが水犬だった。
「やってくれるのか?」
「ワン!」
「それじゃあ順番はこのとうりで正義を倒そう、我等W団が必ず勝つ」
「我等W団!」
その後、みんなが寝ている中、水犬はアラネが寝ている木があるアパートの庭で空を見上げていた。
「フアァー(明日は決闘か…)」
「水犬、こんな所にいたのか、自力で水筒から出れるようになったんだね」
総統がアパートの外から庭に通じる道を使わず、部屋から直接庭に出れる窓から出てきた。
「ハウ(総統…)」
「水犬…今日君が積極的に名乗り出てきてくれて、正直に嬉しかった……水犬」
総統は水犬の冷えた頭を撫でながら小声で頼んだ。
「正直に言うとアラネちゃんには戦ってほしくない、まだ小さな女の子だ、そんな子に生死をかけた戦いをしてほしくはない」
水犬もそこは理解していた、アラネはあんなに強がっているけど、あの時の四季蜘蛛のような怪我をさせたくはない。
「だから水犬、無茶は承知の上で頼む、正義を倒してアラネちゃんに回さないようにしてくれ」
僕が負ければアラネが傷つく、アラネが負けるとは思わないけど、負ければW団は壊滅、サリィは救出という形でもう会えない……総統やアラネにも……。
「ワオォー(イヤだー!!)」
「水犬!もういい、十分頑張った、正義の体に傷を付ければもう十分じゃ、だからもうやめるんじゃ」
「総統の言うとおりだ、もう下がるんだ水犬」
しかし水犬は下がろうとしなかった、水犬はフードをかぶった顔を隠した人を一度見て、崩れ落ちた体を少しずつ治した、全力で飛び上がるために。
「水犬…頑張って」
「総統!水犬は玉砕覚悟のつもりですよ総統!」
もう何を言っても止まらない水犬を見て、覚悟を決めた。
「アライドくん、見届けよう……水犬の最後の一撃を」
足の形を治し終え変身したその場から一歩も動いていない正義に向かって雄叫びをあげた。
「ワオォー(正義ー!)」
水犬は走り出し、高く、空高く飛び上がった、あのまま飛びかかった所で投げ飛ばされる、だったら先程出したこの技で、変身前にとめられたが、もうこれしかない。
牙を極限まで鋭くし、前脚に爪を尖らせる、すでに体の大半は飛び上がる時にただの水になり流れた、もう後ろ脚はない。
「……(一撃…たった一撃だけでいい…深い傷さえつければいいんだ、そのために僕は……)」
水なのか、はたまたそれは涙なのか、潰れた片方の眼からでた水滴は崩れる体と共に落ちていった。
「哀しいね…」
水犬の体は落ちる、正義めがけて爪と牙を向けて、落ちる。
「水犬…君はよく闘った…」
落ちてくる水犬に対して構える正義。
「でも……負けるつもりは…ない!」
力を込めた正義の拳が水犬めがけて放たれた。
『正義の見方奥義・正義の裁拳』
水犬は正義の奥義を避けることなく直撃、体はまた空に昇り、地面に一度叩きつけられ、再び浮いてからゆっくりと倒れて落ちた。
「水犬ー!」
総統達は倒れ込んだ水犬に走り寄ったが、フードの人は動かずに正義をにらんでいた。
すでに体の半分は流れ落ち爪と牙はなくなり、片方の前脚と半分の胴体、氷が溶けるように形を失ってゆく顔、その水滴は地面を濡らしている。
総統はすぐに自分のマントを地面に敷き、これ以上崩れても水犬だった水を回収出来るようにした。
「総統…水犬は大丈夫なんですか?」
「分からない…ここまで崩れた水犬は見たことがない、もしかしたらこのまま」
「スイ!返事して、スイ」
水犬は片方の前脚をフードの人がいる方に伸ばし、口を動かして何かを伝えようとしている。
「カ…クッ…クッ(アラネちゃん…ゴメンね…負けてしまった…少しでも…力になれたら良かったのに…)」
フードの人は水犬を見ていなかったが、正義の睨みをよりきつくし震えていた。
「クッ…カ…(総統…ダメでした…すみ…ま…せん……)」
そして、恐れたことがおきてしまった。
「水犬……」
総統が触ろうとした体は、触れられる前に崩れ、音を立てて透き通った清いただの水になった。
「ス…イ…」
初めて総統が連れて帰ってきた新しいメンバー。
「水…犬…」
無茶な命令もなにも言わず従った。
「水犬…」
いっつも外に散歩する時はついてきてくれた。
大切な我等W団のメンバーが今……。
倒れた………
「水犬ーーー!」
しかし、戦いはまだ終わっていない、正義を倒さない限り戦いは終わらない。
「アラネちゃん…もうフードをとってもいいよ、水犬はよく頑張った、でもこんな姿になるまで戦わなくていいよ」
「総統…それは……」
フードをおもいっきり投げて出てきたのは、動きやすいようにカットされた紫の着物を着て膝までのびた黒髪の小さな女の子が出てきた。
「今の私には出来ません」
アラネ、言うことを聞くんだ
「総統!私はあの時の会話を聞いたんです、その時に水犬と約束したんです、あんたが負けても私がなんとかする、だから無理はしないでねって、それなのに…それなのに!」
アラネは指先から糸を出し、正義の腕に絡ませた。
「正義、かかってきなさい、私の名は四門アラネ、蜘蛛使いであり四門家現女王、大切な仲間、水犬の仇を討つため正義の見方、あなたを倒す」
正義に絡ませた糸をほどき、アラネは林の中に入っていった。
「ついて来なさい正義、あなたをこの林に住んでいる蜘蛛の餌にしてあげる」
アラネの姿は林の中に消え、正義もゆっくりと入っていった。
「アラネちゃん…無茶だけはしないでくれ」
「総統、私とアライドで戦いの行方をみてきます」
しかし、既に戦闘は始まり、アラネの技が正義の身動きを封じていた。
「さぁ正義の見方、どうするの、負けを認めてもいいのよ」
だが、アラネは気づいていた正義の異変に、正義がボソッと何かを呟くとあの腕時計が青く光り、次第に大きくなっていることに、そしてまた大きく光る。
「哀しいね………」
水犬が倒される数分間、蛍池では水犬の健闘を祈る蛍姫と多数の水犬、そして、あることを感じ取ったのか座っていた水犬が各々立ち上がり鳴き出した。
「そうですか…負けてしまったんですね、よく頑張りました、あとはアラネさんに任せて、今は深く休みなさい」
しかし、アラネは正義にかてるのかそして、サリィの身柄はどちらにとられるのだれうか。
次回、正義VS悪、勝利はどちらの手に。