伝書鳩
困っている人、動物を見つけたらたすける、それが悪の組織W団。
ハトの話しを聞いて翌日……。
「それじゃあみんな朝食を食べ終わりしだい調査開始じゃ」
「お願いします…お雑煮残ってます?」
「ありますよ、どうぞ」
朝食をハト、総統、サリィ、アライド、水犬、アラネで皿を囲み夕飯の残りとパンを出して、今日の作戦は開始された。
ハトは空を飛び回り見落としがないかを見て回り、総統達と水犬、アラネと二組に分かれ捜索、伝書を郵便局のコピー機を使って複製、それぞれに渡したのち10時ぐらいに作戦は開始された。
「作戦名、忘れられた家宝とハト捜索決行じゃ」
ハトはすぐさま飛びどこかえ消えるように飛んで行った。
「さすが4ヶ月世界を飛び回っただけのことはありますねハトさん」
「そうじゃな、しかしこちらはこの街に住んでいるんじゃ、だから負けられないぞ」
「でも私と水犬はいつも散歩してるから、この周辺の街を見てきます、いこう水犬」
アラネは水犬に糸を巻きつけ屋根にのったあと糸をとり、屋根を足場に走って行った。
「さすがアラネちゃん、私達に出来ないことしてますね」
サリィが話している時、総統はいつもの原付バイクではなくママチャリを出してきた。
「総統……なんでママチャリなんですか、原付でなく」
総統はそのまま奥に置いていた自転車を二つ取り出し、ヘルメットを二人に渡した。
「原付バイクの二人乗りはダメだよ、だから今日の朝に近所の人から、捨てられる自転車をもらってきたんじゃ」
「さすが総統さん、でも総統さん……ママチャリはちょっと……」
「なに言ってるの物は大切にしないとダメだよ」
「分かりました、でも総統…」
総統はすでに、ヘルメットをつけてすぐさま行きたがっていた。
「ヘルメットはやめて下さい」
総統は指でグッドサインをして。
「安全第一じゃ、二人行くよ」
こうして捜索が始まった、総統はまず公民館に行き昔の地図を見せてくれるか交渉……、しようと思ったが交渉するまでもなく従業員の人に。
「関心します、我が子に街の歴史を教えるなら協力しましょう、まったく自分の子にも教えてあげたいぐらいですよ」
と言うことで普通に見せてくれたが、出てきたのはやけに新しい綺麗な地図だった。
「これ…最近の地図ですか」
「いいや、正真正銘この街の地図だよ、古い物は保管されて見れないから、こうして一般に見れるように新しく複製したのがこれなんだ、さすがに物が物だけに、当時の本物そっくりには出来なかったらしいけど」
「そうですか…ちょっとお借りします」
「どうぞどうぞ」
総統達は席に座り、伝書と照らし合わせてみたが、なかなか合わない。
「駄目なのか」
総統達は諦めず次に向かおうと公民館に地図を返した。
「そうですか…何かお役にたてれば良かったんですが…」
アライドは礼をして、外に出ようとしたら、先程地図を見せてくれた人が走ってきた。
「待って下さい、私少しはこの街に詳しくて、お役にたてば良いのですが、この街昔っから公共施設の場所や神社とかは、変わってないんです、警察やお寺とか」
何かの役にたつのかは分からないが、聞いて損はなかったと思い、もう一度礼をして次に向かった。
アラネと水犬は屋根づたいに走っていた、水犬は自分の脚力だけで飛び移り、アラネは指から糸を出しながら、飛び移る時にはアシストに回していた。
「なんだか水犬と競争してるみたい」
そう、二人はいつの間にか捜索より、負けたくないと競争に力を入れていた。
「水犬、こうなったらこの先にある工場まで競争よ」
「ワン(負けないぞ)」
そして、いつの間にか対決になってしまった。
二人は次第に捜索時より速くなり、屋根で最短距離で走る水犬、アクロバティックに糸を出しながら飛び移るアラネの戦いは、総統の指示した時刻まで続いた。
「クルックー」
「そうですか…あなたはどうですか?」
「クルックー」
「はあ、なるほど」
ハトは総統から貰った豆を使って、公園中の鳩を集めていた。
ここからクルックーの翻訳開始、ハトによる鳩の翻訳。
「あたしらに聞かれてもその時生きてないしね〜」
「マジっすかアチシラのスミツイテルマイタウンに宝アルなんてマジパネー」
「そんな事聞かれてもYOー分からないYOー」
「それわ私はわかりかねます」
「それより聞いてよーまた男に逃げられたー」
「クククそ…そんなことククク…聞かれてもねククク」
「てめーは黙ってろ、ハトさんって名前かい、ちっと聞きだい事が…」
出てきたのはグラサンをかけた強気の鳩で、後ろに何羽か鳩を連れて飛んで来た。
「あんさんもしかして、あのbluebirdの娘さんですか?」
「はい…そうですが…何でしょう?」
相手はグラサンを外し鳴き声をあげながら聞いてきた。
「まさかbluebirdの姉御……逝っちまったんですか?」
回りは急に静まり返って、正直に答た。
「はい…4ヶ月前に…」
何かが切れたのか、涙を流しながら大声で泣き出した、後ろにいた鳩も声に出さないように泣き、すぐに数羽が駆け寄った。
「頭、お気を確かに」
「ウオオオオー姉御ーー」
ここまで母のことで泣いてくれるなんて……。
あらかた私も泣き終わり数分後……
「実は頭の頭が大変危険な状態を姉御に助けていただいたんです」
「それで若頭がその恩をかえそうとこちらに赴いたんですが……」
「頭の話しによると姉御も見つけてないとか」
「でもきっとこの街にあるはずです」
地元の鳩の応援で元気が戻ってきた、鳩の応援を裏切らないために、もう一度飛び回ることにした。
「皆さんありがとう、私頑張ってみます」
「うん、頑張りよ」
「チョーガンバ」
「成功を祈ります」
「が…頑張るんだな」
私は見送られ再び捜索を開始しようとしたら。
「ハトさーん」
先程のグラサン鳩の若頭が追いかけてきた。
「少し考えてみたんですが、ハトさんの家系の仕事に関係があると思うんですが…」
家系の仕事といえば配達……
「それじゃ引っ越しセンターでもいってみようかな、それじゃね」
結果その後の収穫はなにもなく、総統の指示した時刻がきてしまった。
日が沈もとしている、総統達は待ち合わせの郵便局に集まった後、みんなは諦めてアパートに帰宅途中に、アライドは話をまとめていた。
「この街昔っから公共施設の場所や神社とかは、変わってなんです、警察やお寺とか……」
そして、ハトから聞いた話し。
「ハトさんの家系の仕事に関係があると思うんですが…」
ハトの家系の仕事は情報配達……。
アライドは手に持っていたコピーの伝書を見て、空を飛び回る鳩を見た。
「情報…配達…伝書…配達…鳩…!?」
アライドは歩くのをやめて総統にある提案をした。
「総統、平和郵便局に戻りましょう」
「ん?忘れ物したの」
「違います、もしかしたら平和郵便局にあるかもしれないんです、なんかゴロ合わせみたいで変に聞こえると思いますが、ハトさんの話しから家系の仕事は情報配達、そしてこの伝書、そして名前を繋げて読むと」
配達伝書、伝書ハト。
「伝書鳩?」
「そして、なんで平和郵便局なのかは、鳩は平和の象徴で郵便局の名前にも使われていて、なによりこの街は公共施設の場所は変わらない、ちょっとした永久保存ですよ」
「そうだとしても郵便局にあるとは思えないな」
「とにかく行ってみましょう、もうあてはないんだし」
もうあてがないハトはアライドの提案に賭けていた…若干きたいはしていないが。
「でも、これで郵便局に行くの三回目だよね総統」
急いで郵便局に引き返し、総統は平和さんを探した。
「平和さんなら先程、部屋に戻って行きました…家族ですか?」
「はい!そんなもんです」
郵便局に着いた時、誰から見ても家族にしか見えない並び方だった。
総統はそのまま平鳥鳩和のいる部屋に全員で向かい、扉をノックした。
「平和さん…いいですか」
「ハハハ?総統なのかい?どうぞどうぞハハハ」
総統は部屋に全員で入ると、始めはにこやかな顔の平和さんの顔が、人数が増えるたびに焦り始めた。
「ハハハ、何だい?家族全員で来て、何か怖いじゃないかハハ…ハ…」
「平和さん、お聞きしたい事があります」
そして、ハトが手に持っていた伝書を見せようとしたら、平和さんの表情が懐かしい人を見るような柔らかい表情になった。
「ハハハ、君はハトちゃんだね、待っていたよ」
日は完全に沈み夜がきた、平和さんは窓のカーテンを閉め、薄暗い電気をつけた。
「平和さんはお母さんと知り合いなんですか?」
「ハハハ、知り合いと言うより平鳥家と君の家とは身近な関係なんだよ、ハハハ、話すと長くなるから言わないけど、君がここに来たということは…、お母さんは亡くなったんだね」
平和さんはなんでも知っているようにハトの親の事を話し、なぜハトのこと、この場所にハトが来るのを知っていたのかを教えてくれた。
「君の家と平鳥家はずっと昔っからここを拠点とする運び屋だった、鳩と人を使った郵便配達だね、しかし、時代が変わるにつれ役割が変わった、それで、鳩はどこかえとんで、平鳥はその情報で配達をするようになった」
「平和さんはなぜハトさんのこと知ってるんですか?」
「まだ私が若かった時に、幼い君をつれてある代物を渡しにきた時にしったんだ」
「ある代物?」
平和さんは机の引き出しから正方形の箱を取り出した。
「昔っから続いている試練のようなものだ、ここの昔の地図を使いこの街に伝書を届ける、まさに」
「伝書鳩ですね」
「君のお母さんが亡くなり、世代交代がきたんだ、これがその証のプリズムだ」
ハトは平和さんから渡された箱の中には、ひし形にコーティングされたプリズムが入っていた。
「キレイ、これはいったい?」
「私はそれを渡して、それで終わり、そのプリズムに関して何も知らない、けどねハトちゃん」
平和さんは立ち上がりハトの目の前で止まり手を出して、ハトはその手を握りしめ握手をした。
「君はこれで、立派な伝書鳩だ、これからはどこに飛んで行こうが何をしようが君しだいだ、おめでとう」
どことなく真面目な平和さんを見て、総統は驚いていた。
「おめでとう、お姉ちゃん」
「おめでとうハトさん」
「皆さん…ありがとう」
平和さんは自分の椅子に座り、いつもの笑顔に戻った。
「ハハハ、けれど総統がハトちゃんを連れて来るとはね、何かお礼をしないと、ハハハ、そうだ!皆さん夕飯はまだでしょう、ならば食べに行きませんか?こちら持ちで、でも決めるのはハトちゃんだよハハハ」
「そうですね、私は……」
ハトは悩む事なく総統の方を向いた。
「私は総統の作った豆料理が食べたいです」
「ハハハ、決まりだね、私は食材でも買って来ようその間に総統、つまみでも作っておいてくれ」
「平和さん僕も食材買い手伝います」
話しがまとまりアパートに戻った総統は、大きな文字で世界征服と書いたエプロンをつけて。
「それじゃ、ハトさんのために頑張ってみようかな」
その日は真夜中まで飲んでは食べが続き、終わった時は2時過ぎだった。
数日後・・・
「やっぱり、旅は続けるんだね」
「お母さんのように世界の情報屋にやっぱりなりたいんです」
早朝、総統の弁当を持ち平和さんからもらったリュックを背負い旅立つ準備をすましアパートの前で見送りをしていた。
「平和さんにはだまっていくの?」
「はい、あいさつはまた今度にします」
ハトは翼を広げ空に、まだ日が登らない空に飛び上がった。
「バイバーい、またいつかねー」
「バイバーイ」
その時、ある程度飛び上がったハトがこっちを向いて大きな声をだして、総統に話を持ち込んだ。
「総統さん、私、W団に入りたいんですけどいいですかー?」
「いいのかいハトちゃん?」
「はい、私みたいに困っている人を見つけ出して、総統さんに伝えるぐらいしかできませんけど」
「総統…」
みんなと話し合わなくても、そう言われたらもう返答は決まっている。
「ようこそ、ハトちゃん、我等W団はきみを歓迎する」
「ようこそー」
「これからよろしくね」
「みんな、ありがとう」
「それじゃ」
総統達、空に飛んでいるハトはポーズをとり朝日が昇ると同時に叫んだ。
「我等W団」
こうしてハトは、そのまま情報を手に入れるため旅立った。
「いつ会えるんでしょうかね…」
「また豆でもおいといたら帰ってくるよ」