きっとそういうものですよ。
当たり前という感覚ほど、恐ろしいものはない。
当然に自分の手の届くところにあって、いつでも触れる事ができる。
それは掛け替えのないものの筈なのに、有難いものと思えなくなってしまうから。
だからこそ、出会った頃は少し距離を置いておこうと思っていた。
しかし不思議なもので会うたびに、話すたびに、知っていくたびに私の中で、存在が大きくなっていった。
私は夢中になってしまっていたのだ。
彼女という存在に。
しかしいつまでも同じではいられない。
私が感じた、『当たり前』でい続ける事はできない。
きっと彼女の周りが変わり始めたから。
そして彼女も、私も同じように変わり始めてしまった。
私は、彼女の自分のものだけにしたいと思い始めるようになっていた。
それはあまりに傲慢で自分勝手な事であるはずなのに。
私は、私を抑える事が出来ない。
願わくば、この暗い感情が彼女の前で詳らかにならないように。
私は今日も、自分の気持ちに鍵をかけるようとする。
しかし周囲の変化がそのままでいさせてはくれない。
染まっていく。
私の心の中が……
彼女を独占したいと、その思いに染められていってしまう。
それがあまりに罪深いことと理解しながら、もはや私はこの思いを止められないままにいるのだ。




