表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/82

明日のために休息は必要ですよ。

 一日のうちに二人の美少女に詰め寄られる。


 告白まがい、いや最早告白なんですけど……正直夢ですねよ、そんなシチュエーションって。


 ですがそれらの言葉の受取手である我がご主人様は全く意図に気がついていないという体たらく。

巷によくある鈍感系主人公なのであれば私がこの子を見限ってやる!


そう思うところなのですけどねぇ……全てにおいて前提がズレていることが原因なのですよね。



「はぁー! 今日も疲れちゃったよぉ」


 私にそんな気持ちはつゆ知らず、エルフリーデはベッドに身体を投げ出しています。まぁ確かに今日一日色々なことが起こりましたからね。


 いつもは端ないと注意の意味を込めて吠えて差し上げるところなのですが、今日は優しくしてあげることにしましょうか。


 お疲れ様です。今日はゆっくり休みなさいな。


 お気に入りのソファの上から、鳴き声を上げて彼女の声に応えてあげることにします。


「でも二人ともおかしかったなぁ。どうしたんだろ?」


 ねぇ、とこちらに問いかけながらぼんやりと宙を眺めるエルフリーデ。

まぁ確かにこの子からすれば、お二人の行動は考えもしないことであったのでしょう。


その隔たりはなかなか解消することはできないでしょうね。まぁこれからじっくり時間をかけて直していきましょうよ。


 でもさすがに今日は私も疲れてしまいましたので、何もしたくありませんよ。


「もぉそんな適当な返事しないでよ」


 おっと適当な返事になってしまっていましたか?



「でもさー最近色々あったよねぇ」


 なんです。回想でもしちゃうんですか? ちなみに言いますけど、『最近』だけじゃないですよ?


 アニメでの姿を知っている私からすれば、関わってくる人たちがあまりに違って見えています。そのギャップに色々と頭を悩ませたりもしましたよ。


 しかし最近こう考えるようにもなり始めました。


 やはり創作の中では描ききれない部分があって、それを感じることができるということは、私もついにこの世界の住人になったのだということを。


 おじいさまと一緒にいた頃は、離れた場所から見ているだけのつもりだったので、全く考えていなかったのですが、今の方が存外に面白いではないですか。


 ですから私たちが意識していなかっただけなのです。『最近』ではなく、既に起こっていたことなのですから。



「さすがに思い出しちゃった時はもうどうしようって思ったけどさ」


 確かにそうですよね。

 いきなり私は犬に、エルフリーデは貴族の令嬢になってしまったのですから、途方に暮れるのは当たり前のこと。


 それでもこうしてやってこれたのは、

「ハルカさんに会えて、レオノーラ様と知り合って色んな人たちとお話できてさ、すごく色々変わった気がするよ」

 そうですよ、周りに私たちをさせてくれる人がいたからです。


 本当に良いことじゃないですか。色々と経験をすることや、人と関係を持つことは何物にも替えがたいものですよ。

もしかするとアニメの中のエルフリーデは、素直ですけど本当に世間知らずで育ってしまったが故に、嫌がらせみたいなことをするグループに入ってしまったのかもしれませんね。


 まぁそれもレオノーラ様の今の状況であれば、そんなことは起こり得ませんけどね。


「でもさ、一番良かったのはさ……」


 ベッドの弾む音に続いて耳に届くのは、ソファの軋む音とクッションのへこむ感覚。視線をそちらに向けなくても、エルフリーデが私の隣に腰掛けたことが分かります。

 この空間が心地良くて、思わずフワフワしてしまうというか……あぁ、これはもうバッテリー切れの合図ですね。


 微睡みの最中、私の隣でエルフリーデは色々と話しかけてくれているのですが、もう意識が沈みかけていて、彼女の言葉にほとんど反応できません。


 ですが一言だけ、私の耳に届いたその言葉はあまりに嬉しいものでした。



「貴女が来てくれたことが、わたしにとって一番良いことだったよ」



 私もですよ、エルフリーデ。

 貴女の側にいることが出来て、私はこんなにも満たされているのですから。







 アニメの本編からかけ離れてしまったこの世界。最早以前の世界には戻ることは決してないでしょう。


 そんな中を私たちは、自分たちの立場を理解して生きていかなくてはいけません。


 何もしなければ結局予定調和に巻き込まれ、よろしくない結末が待っていることでしょう。



しかしそうならないために私が出来ること、やりたいことはただ一つ。



 エルフリーデを決して悪役なんかにしない。


 彼女が幸せであり続けるために、そして周りの人たちを不幸にしないために頑張ってやるのです!



 そんな決意を胸に抱きますが、今日のところはもう良いでしょう。



 今日もお気に入りのソファの上で眠りにつくことにします。




 さて、明日はどんなことが起こるのでしょうか。正直楽しみでなりませんね。






「彼女を悪役令嬢にしないための10の方法 その4

               

              少しくらいなら鈍感でも面白いかもしれないですね」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ