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ドクター、本気出す1。

次々と怪我をした兵士達が運ばれて来る。ドクターの予想していた人数よりもかなり多くの兵士達が運ばれて来ていた。流石の『スペシャルドクター』も怪我を瞬時には治せない、ポーションとは違うのだ。


 このままどんどんと患者の数が多くなっても『スペシャルドクター』の状態になって治療に当たっている限り死亡する兵士は無いと言っても良いが前線の兵士達の数が減っているのでこのままだと、防衛線が突破されるのでは無いかとドクターは不安に感じていた。


 それでも患者は次々と来る。このままではと思っていたドクターだがこの時ドクターの身体には異変が起きていた。


 患者を次々と治療して行くにあたり自分の身体からオーラみたいなものが出ている感じがしていた。そしてその異変が何かわかるまでそう時間も掛からなかった。


 それは、ある酷い外傷を負った兵士を治療している時だった。その患者は足に深い傷を負っていた。このままの状態だととてもじゃあ無いけど出血多量や不衛生な状態で合併症等にかかり死んでしまう状態だった。ドクターは直ぐに兵士の足の治療を行った。


 先ずは足の消毒をする為、消毒液を足にぶっ掛けた。普段ならばガーゼ等に消毒液を染み込ませ丁寧に消毒をするのだがこの緊急事態ではそんな事はしていられない、ドクターは瓶を逆さまにして大量の消毒液を掛けたのだった。


 消毒液を雑に掛けられた兵士は、「うぁーー」と痛さでうめき声を上げたがドクターはその流れで麻酔もせずに兵士の足をを縫合していった。痛さを感じていると言う事は良い傾向でもし痛覚が無くなっていると言う事は神経がやられている事の裏返しだ。痛覚が無いと最悪は足が動かなくなる事もあった。


 そしてドクターは素早く止血し縫合を行なった。ただこのまままだとこの兵士は暫く動けなくなるので戦力的にはマイナスだ。これはとうとう死をも覚悟しなければならないなと思っていたドクターだがこの時何かオーラが手から出て行く感じがした。そして縫合が終わったばかりの兵士の足にその手から出たオーラが包んだ。


 そして縫合している間もずっと「うぁーー」とうめき声を上げていた兵士が急に静かになり何か不思議そうな顔をしていた。程なくして兵士はある事に気づき急に立ち上がり足の状態を確認し出した。少しジャンプしたり屈伸をしたりし足の痛みは勿論のこと足の動きも完璧に治っている事に気づき直ぐに戦場に戻っていた。


 当の本人であるドクターは縫合し終わったら直ぐに違う患者の元に向かったので、兵士の足が完璧に怪我する前の状態になった事は気付いていなかった。


 ドクターがそれに気付くのは、モンスターの大群を退けた日から何と一年後だった。



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