ドクター、国境の街に向かう 3。
ドクターは、村長と村民に連れられ枯れた木に向かった。パークも一緒だ。
前の世界では、病気は治る様になっても病気の発生原因が暫くわからなかった。病原菌の素がわからないまま患者数は、一定の数をずっと保ったままだったのだ。
これでは、真の根治とはならないと考えていた、ドクターは、周辺の森に入りくまなく原因を探り枯れた木が原因だと突き止めたのだった。
この功績で、医学会の賞を貰い一つ星の勲章を得たのだった。
前の世界では、医学会の功績が認められると賞を貰え、その賞によって星の数が増える仕組みになっていた。
勿論ドクターは、世界一の医者と呼ばれただけ有り過去最高の数の星を貰っていた。ドクター自身は数を覚えていないが、公式記録ブックには百二十五個と書かれている。
ドクターに天才だと言われているライトでさえ二十八個しか星が無いのだから、ドクターの異常な、功績がわかると思う。
ドクター達は、枯れた木の所に着いた。そしてドクターは、直ぐに医療バックから液体を取り出し、液体を注射器に注入し、枯れた木にそれを注射した。
「皆さん、これで大丈夫ですよ! これで枯れた木も元気になります。病気もこれで発症しなくなるでしょう」
「ドクター様! 本当に病気は無くなるのでしょうか?」
「村長。勿論ですよ! このドクターが保証致します」
それを聞いた村長は、嬉しさの余り涙を流した。
この病気が村に広がった為、若者は村を離れる事しか出来なくなり、病気が発症する前は、街に昇格しようかと勢いのあった村が今ではさびれて行ってしまっていた。
それもこの病気のせいだった。村長は、今後の村には希望も無くなり、後は短い人生を淡々と何事も無く過ぎて行くだけの人生だと思っていたが、ドクターが現れ希望の無かった村を一瞬にして救ってくれたのだった。
「ありがとうございます! ドクター様! 今後は村の復興の為、力を尽くします!」
「村長。そんなに感謝される様な事はして無いですよ! 医者として当たり前の事をしただけです」
こうして帰路に着いたドクター達は、村に帰り酒宴の続きをした。村長や村人達はとても喜び皆んな酒に酔っていた。
そこに村の娘が目を覚ました様で、昔、村のハンターギルド長をしていた父親と一緒に酒宴に参加した。
父親と娘は直ぐにドクターを見つけドクターの所にお礼に来た。
「ドクター様。娘を救って下さりありがとうございます! また、村まで救って下さったと聞いてどんな感謝をすればわかりません。ほら、お前も早く言いなさい」
「ドクター様。命を救って下さりありがとうございます」
「そこでドクター様宜しければ娘を嫁に貰って下さらないでしょうか? 娘ももう二十歳です。この村では遅いくらいなのです」
「いえいえ、私はこれから兵役に行く身ですので‥‥」
それを聞いても父親は、懇願した。
「兵役に行く身とは、重々承知しております。それでもどうか、兵役が終わった後この村に立ち寄り娘をどうか貰って下さい。ほらお前も!」
「ドクター様に救われたこの命、ドクター様の為だけにこれから生きて行きます。宜しくお願いします」
ドクターは、余りにも切実な要求だったので、ここでキッパリ断れなかった。兵役が終われば気が変わるだろうと思い、保留する事にしようとした。
「わ、わかりました。取り敢えず、兵役が終われば考える事にしましょう」
「考えて頂けるのですか! てっきり断られるのかと思っておりました!」
えっ⁉︎ 直ぐに断っても良かったの⁉︎
「ドクター様が、お帰りになるまでドクター様にふさわしい様な娘にして見せます!」
あぁ〜 ハリキッてしまったなぁ〜 どうしょうかなぁ〜
ここで困っていたドクターを見かねたパークが助け舟の出してくれた。
「まぁ、その話は置いといて酒を楽しみましょう」
ありがとうパーク!
このまま夜更けまで酒宴は続き、翌朝ドクター達はまた国境の街に向かったのであった。