ドクター、街の町長を治療する。
「少し失礼します」
ドクターは、マトの診察を始めた、咳の原因は何かと先ずは喉の診察をし、身体の触診から、胸部のX線写真を撮った。喉は少し咳で腫れていたが、此処までなるほどでは無い、胸部のレントゲン写真を、読影したが不審な所は無い。となると、胃が原因の可能性が高いと、考えた。
「マトさん、最近お腹の辺りが痛い事は無いですか?また、空腹時に特に痛む事は無いですか?」
「ドクターさん、診察ありがとうございます。そう言えば、最近お腹の辺りがキリキリと痛みます。空腹時は特に痛いです」
ドクターは、それを聞いて触診をした。そして、マトのお腹辺りを押さえた。
「マトさん、この辺りは痛いですか?」
「いててて! ドクターさん痛いです!」
「ありがとうございます」
ドクターは、これで病名がもうわかったと考えた。
「マトさん。胃カメラを行いますので、少し横になって下さい」
「胃カメラ? ですか?」
「今は痛く無く直ぐ済みますよ!」
最新の胃カメラは、極細で麻酔無しでも直ぐに挿入出来る優れ物だ。ドクターは、マトの口に直ぐに胃カメラを挿入し食道から胃そして十二指腸まで観察した。
「これは酷い潰瘍ですね。親指ぐらい迄大きくなってますね」
ドクターは、直ぐに胃カメラを抜き、状況の説明を行った。
潰瘍は胃と十二指腸まで計五個有り大きい物で親指の爪ぐらいの大きさだった事。また、胃から出血が見られる事を、伝えた。
マトはドクターが何を言っているのか、わからなかったが、説明を良く聞いた。
「ドクターさん、私は相当良く無いのでしょうか? 私はこれからどうすれば良いのですか?」
「マトさん。潰瘍の中では、とても良くない部類に入りますが、直ぐに良くなります。とりあえずは、薬を処方しておきますので、お飲み下さい」
「ありがとうございます。ドクターさん」
「後、薬が足りなくなったらドクター病院の方にお越し下さい、話は通して起きます。また、潰瘍の原因ですが、ストレスが大きいのが原因ですね。街の町長の仕事は色々と大変だと思いますが、少しでもリラックス出来る時間を作られた方が良いかと思います」
「そうなんです! ドクターさん! わかってくれますか! 町長の仕事というのは‥‥」
ここから一時間以上、マトの愚痴を聞いていたドクターは、真剣にマトの、話を聞いて相槌を打っていた。これによりマトのストレスが解消し病気が少しでも良くなって欲しいからだ。
ドクター所長。医者の鏡ですね! 何処かでアンの声が聞こえて来た気がして、少しクスリと笑った。
そのやり取りを見ていた、街のハンターギルド長のパークは、堪らず口を挟んだ。
「町長。そろそろドクターさんは、国王命令の兵役に、行かないとと思うのですが‥‥」
「そ、そうだった、そうだった! お引き留めして申し訳有りませんでした! ドクターさん、兵役よろしくお願いします。この借りは絶対にお返しします」
「マトさん。少しでもお役に立て良かったです。それでは、行って来ます!」
ドクターは、医療行為をした事によってすっかり気分が良くなっていた。あれだけ行きたく無かった兵役も行っても良いかなと思えるぐらいに回復していた。
さすが、医療中毒のドクターである!
紆余曲折あったが、今度は街のハンターギルド長であるパークに連れられて、兵役場所で有る国境に向かった。




