ドクター目を覚ます。
ドクターは、よほど疲れていたのか、一週間も目を覚さなかったのは、初めてであった。いつもは、長くて二日間ぐらいで、起きていたのである。
中々、目を覚さないドクターが心配で、アンはドクターにポーションを点滴しようとして、看護師のランとボタンに止められた程である。
アンは、それならエナジードリンクは行けるかしらとこちらも、ドクターに点滴しようとしていた。
そんな騒ぎの中、ドクターは目を覚ましたのだった。
「んっっ〜」
「ドクター所長! 目が覚めましたか! お疲れ様です」
「アン。私に何を点滴しようとしてたんだ?」
「な、な、なんでも有りません」
「なんかエナジードリンクの香りがするんだがもしかして、アン! 点滴しようとしてたなぁ!」
「し、し、して無いです」
「アン。あれ程、私がいない時は勝手に、点滴や薬等の処方はしない様にと言っていたのを忘れたのか?」
「す、す、すいません。ドクター所長」
「これは、アンの為に言っているんだぞ、薬や点滴等の処方は医者の仕事だ! その責任を、看護師達に負わせる事は出来ないといつも言ってるよな、アン!」
「はい。申し訳ございません」
ドクターは、本気でそう思って医者をやっている、どんな医療行為も大きな責任が生じる、薬の処方を間違えれば、医療事故に繋がるし、他の医療行為も同じだ。この掟は、アンであっても絶対遵守なのだ。
「アン。この掟を破った者は、どうなるかわかっているな」
「ドクター所長。お待ち下さ……」
「ダメだ!」
ランとボタンも口を挟んだ。
「ドクター所長。アン様はドクター所長の、事を思って」
「ドクター様、許してください、アン様は……」
ドクターは、力強く言った。
「わかってる! それを踏まえてもだ!」
ドクターは、アンに告げた。
「アン。看護師長を解任する。後任は、ランとボタンの二人体制で、やってくれ」
「は、はい。わかりました」
「待って下さい」 「待って下さい」
ランとボタンが、懇願した。
「アン! これで良いか!」
「はい! ドクター所長、さすがです! まさか寝起きでこれを行うとは、思ってもいませんでした」
ランとボタンは、目を丸くした。
「は、はひぃ」 「え、えーっ」
ドクターとアンは、アンの後に続く看護師が育って来ていないと、前から思っていた。それで、後任を二人に絞っていた、それがランとボタンで有る。
ドクターは、寝起きを使って一芝居打ったのだった。
アンが、改めてランとボタンに言った。
「ラン。ボタン。看護師長の仕事は大変よ! まだまだ、二人は私には及ばないけど、二人力を合わせれば大丈夫! 宜しくね!」
「アン様、勿体ないお言葉です。謹んでお受け致します」
「アン様。ありがとうございます。これからも御指導よろしくお願いします」
ドクターは、念のため言った。
「ラン。ボタン。看護師長に任命したのは、私だからな。アンでは無いぞ」
「わかっております。ドクター所長これからも宜しくお願いします」
「お願いします」
「良しこれで、一件落着だな! 所でこれからアンはどうするんだ?」
「何を言ってるんですか! ドクター所長の秘書と普通の看護師と花嫁修業です! これからは、毎日ご飯を作りますからね!」
「アン。ご飯だけは勘弁してくれ〜」
アンの苦手な事は、ただ一つ料理だった。




