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ライト、天狗になる2。


 ドクターとライトが、机を並べ分析を始めた。


「ドクター所長。何かわかりましたか?」


 ドクターからの返事は無い。少し時間が経ってから、ライトはまたドクターに話しかけた。


「ドクター所長。何かわかりましたか?」


 また、返事は無かった。ライトは、ドクターが自分ライトに先を越されてしまうのが怖くて返事をしないんだと思った。なんせこの分析も、先に分析してしまえば、自分ライトの方が上だと、認めざるおえないからだ。


 ライトは、そう来るんだったら自分も、数日間研究した糸口の事は、黙っている事にした。


 だが、さすがのライトもこの分析は、そう簡単に、出来なかった。時間が経つに連れて疫病が流行り、多くの人が無くなる可能性が有るので、焦っていた。たまらず、ライトは、またドクターに話しかけた。


「ドクター所長。何かわかりましたか?」


 やはり返事が無い。ライトは、何回話しかけても返事が無いドクターに怒り、精一杯の大きな声でドクターに話した。


「ドクター所長! いい加減にして下さい! そりゃ私より先に分析を終わらせて、力を誇示したいのかしれませんけど、多くの人の命が掛かっているのです! ここは、情報交換しましょう!」


 この響き渡る大きな声を聞き、アンが慌てて入って来た。


「ライト! どうしたのです?」


「アン様。大きな声を出しすいません。けど、ドクター所長が、話しかけても無視をするのです。多分、私より先に分析されたく……」


 アンは、ライトの言葉を遮る様に言った。


「ライト! 黙りなさい! ふぅ〜 ライトは、この状態の、ドクター所長を見るのは、初めてでしたね」


「アン様。この状態のドクター所長とはなんでしょうか?」


 アンは、ライトにドクター所長の、『この状態』の事を説明した。


 今のドクターは、集中力が極限状態で、どんだけ、大声で叫ぼうが、全く音が届か無い状態である事や、ドクター本人が言うには、血液の中に入って行く感覚で、その中で自分は万能細胞であり、スペシャルな存在だと言う事を教えた。


 最後に、この状態が世界一の医者と呼ばれる様になった最初きっかけだと言う事を、付け加えた。


 ライトは、それを聞いてもピンと来ていなかったが、直ぐにその感覚も無くなった。ドクターが、分析を、終えたからだ。


「ふぅ〜 今回はまだ、楽だったな」


 アンがその言葉を、聞いてドクターに言った。


「ドクター所長。お疲れ様です。私達、看護師一同は、すでに予防接種を受ける準備は整っています」


「さすがアンだな! では、直ぐに、疫病に効く成分を調合するから、それを持って看護師一同の予防接種に移ってくれ。それが終われば、疫病が流行しそうな地域に行き、村人全員に予防接種を、頼む」


「ドクター所長。わかりました」


「ライトは、成分の調合を、手伝ってくれないか?」


「わかりました」


 そこからは、一瞬にして成分調合を、終え予防接種を行い、疫病の流行を抑えた。


 この分析によって、疫病の流行を抑え多くの命を救ったのだった。


 ライトは、初めてこの状態を見た時から、ライトは、この状態になったドクターの事を、こう呼ぶ事にした。


 『スペシャルドクター』


 ライトは、この疫病の件が無事に片付いたら、ドクターに、研究分野の世界一は、自分に譲って下さいと言おうとした事を恥じた。


 自分が数日間どんだけ、分析しても出てこ来なかった、成分を数十時間で発見し、人々をいとも簡単に救ってしまったからだ。


 ライトは、数日前にアン様が、言っていた言葉を思い出した。


 「心はしっかりと持つのよ」


 正直言って、ライトはアン様が言ってくれたこの言葉がなければ、研究者としての実力の違いに心が折れいたと思った。


 実際に、前に働いていた研究者も天才だと評判だったが、この状態のドクターを見て辞めてしまっていたのだった。


「アン様〜 ありがとうございます〜」


 こうして今のライトが、出来上がったのである。


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