ドクターデレる。
ドクターは、ドクター病院に戻る事にした。ライトが行なっている魔石研究結果が気になったからだ。
「ドクター所長の血液検査結果も、確認しに行きましょうね」
「わかりました。アン」
ドクター病院に向かう途中、手術の噂を聞いた村人達から声をかけられた。
「ドクター様。ありがとうございます」
「キャー ドクター様よ〜」
アイドルにでもなったかな。
「ドクター所長。顔がニヤけてますよ」
「おっ、おう」
ケラーとヘーラも駆け寄って来た。
「ドクター様。お疲れ様でございます。ハンターギルドでの、ご活躍を聞きました。ドクター様に初めに助けて頂いたのがとても貴重な事なのだと改めて感じました。ありがとうございます」
「ドクター様。重ね重ねお疲れ様でございます。姉を助けて頂きありがとうございます」
「ど、どうした、二人ともそんなかしこまらなくても良いんだぞ」
おいおい、ホントに神にでもなったのかな。
「ドクター様。顔がニヤけてますよ」
「あ、ありがとう、アン」
それにしても、今回の手術の反響は思ったより大きくビックリした。少し引くくらい感謝されてるな。
「アン。そう言えば、ミーアもケラーもヘーラも元気になっていたな! アン何でわかったんだ?」
「鈍感な医療バカのドクター所長には、説明しても分からないと思いますので、説明は遠慮させて頂きます、医療行為をして元気になったとは、違うだけ事だけ申し上げておきます」
「そ、そうか。病気では無かったのだな」
アンは、話が上手かった。医療行為では、無いと言えばドクターは直ぐに興味を無くすからだ。これが恋と言う病気ですと言えば大変な事になるし、ドクター所長には、恋煩いと言う病名は、地雷だった。
行く先行く先で呼び止められ、ドクター病院に着く頃には、夜になっていた。
「アン。今日はもう休もうか? 明日でも良いか?」
「良いですよ。私も疲れましたので、明日にしましょう」
ドクターは、久しぶりに疲れた。街に行ってから気を張りっぱなしだったからだ。アンもそうだろうな。と思いながら眠りについた。
「ドクター様! ドクター様!」
んっ? 女神様? 寝たら定期的に出て来るな。
「女神様、何でしょう? また、アンが何かお願いしていますか?」
「そんな事では、無いのですよ」
「何でしょう?」
「これは、一つ忠告なのですが、これからドクター病院にとって最大の危機が訪れるかも知れません」
「と、言いますと何でしょうか?」
「未来予知能力の無い、私にも詳しくは、分からないのですが、ドクター病院で起こる最大の危機です。くれぐれもご用心なさってくださいね」
「わかりました。肝に銘じ用心致します」
「本当にわかっているのですか! 頼みますよ」
「はい。では、私は寝ます」
ドクターは、病院にとっての最大の危機については、ピンと来ていなかった。そして凄く眠かったのだ。
「女神様は、ああ言っていたけど、病院のセキュリティーは、万全だし、核爆弾を落とされても、びくともしない建物だしなぁ」
ドクターは、この軽はずみな言動を、後々に後悔するとは、この時は、思ってもいなかった。




