ドクターハンターカードを作る。
翌朝、ケラーの妹ヘーラに、ハンターギルドに連れて行ってもらう事になった。
ヘーラは私と同じ歳の十五歳だ。
ヘーラはとても可愛らしく、行く人行く人に声を掛けられていた。
私が十五歳の身体で、歳が近い事も有り、少しからかわれたりもした。
「本当は姉が一緒に行けると良いのですが、足を怪我してますし、あの車椅子と言う乗り物も、目立ちますので、私がハンターギルドまで、案内致します」
「ありがとう。ヘーラ」
「後、気をつけて欲しい事が有りまして、最近ハンターギルド内は、良く無い物が流行しておりまして、余り長居されるのは、遠慮して頂いた方が良いかと、思います。ハンターカードを作ったら、直ぐに出ましょう!」
ドクターは良く無い物? と思ったがこの世界の、まだ十五歳の子供がとても良くしっかりしている、事に驚いた。
私は身体は十五歳だが頭脳は四十五歳だからだ。
無事にハンターギルドに着きギルド内に入った。
ギルド内は、酒場も併設されており辺りは、酒の匂いが充満していた。
「ヘーラなんかハンターギルド内は、特に酒の匂いが
キツくないか? 酒場が併設されていると言っても異常だと思うんだが?」
「はい。最近この付近の村々に、ハイエールという強い酒が流行し、ハンター達はそのお酒を連日飲み、ずっと倒れていたり、酔いが中々覚めない見たいで、最近はずっとこんな感じなんです」
「こんな状態だったら、魔物退治等の依頼なんかままならないのでは無いか?」
「そうなんです。最近この村付近まで魔物が、出るようになり、姉が昨日襲われて怪我をしたところを、ドクター様に助けて頂いたのです」
「そうだったのか」
「ハイエールが流行する前は、ハンター達も元気で魔物退治等のクエストを連日行っていたのですが」
これはなんか怪しいなと、ドクターは感じた。
完璧にライトノベル脳になっていた。
とはいえとりあえずは、ハンターカードを作り身分証を作る事にした。
ドクターは受付の人に話しかけた。
受付の人はどうやら亜人の獣人だった。
なんで分かったかと言うと、頭に猫耳が生えていたのだ。
改めて異世界に来た事を感じた。
「すいません。ハンターカードを作りたいのですが?」
「はい。新規登録ですか?」
ドクターは一瞬何か言おうとしたが、
「新規登録でお願いします」
「分かりました! こちらの紙に必要事項を、書いて奥に来て下さい」
必要事項は、氏名や年齢等の簡単な、記述だけだった。
ヘーラに聞くと、奥に行ったら少し血液を垂らし職業の適正や、個人情報を登録するのだそうだ。
ちなみにヘーラの適性を聞いたが秘密だそうだ。
ドクターは、必要事項を記入し、奥に行った。
「こちらの紙に少しの血液を垂らして下さいね」
「分かりました。このくらいで良いですか?」
「充分です! それでは登録して来ますので、外のカウンターで少しお待ち下さい」
カウンターで待ってる間に、少しハイエールについて調べてみた。
いつから流行し始めたのか?
どの位の量を、ハンターはいつも飲んでいるか? 等思い付く限り調べた。
また、研究所に持って帰り成分を調べる為に、少しハイエールを購入した。
こちらでは十五歳からお酒が買えるそうだ。
そうこうしている内に、ハンターカードが、出来上がった。
「お待たせしました。名前や生年月日等、間違えが無いかご確認下さい。間違えが無ければ、こちらにサインをお願いします」
ドクターは、対応が前いた世界の役所の様な、対応だったので少し笑ってしまった。
「何がおかしいのですか!! たまに居るのです、亜人をバカにする人間の方が、とても不愉快です」
ドクターは、急に受付嬢が大きな声を出し、怒ったのでビックリしたが、すぐさま弁解した。
「すいません。余りにも前に居た世界の堅い仕事を、している人達と対応が似ていたので、少し笑ってしまいました。亜人の方をバカにしているとか、そう言う事では無いです」
ヘーラも援護してくれた。
「ドクター様は、姉を助けてくれたり、とても優しい方です。人を種族で判断するような方では、無いです。少し変な所がありますが」
ヘーラの援護は、有り難かったが、最後の一言は、余計かも知れないぞ。
受付嬢は、それでも怒りが収まらなさそうだったが、自分の仕事を続けた。
「ハンターには、ランクが有ります。下から順に、GFEDCBAと有り…」
ドクターは、良くあるライトノベルの説明だと、思いあまり話を聞いて無かった。
それに気付いた、受付嬢がまた大きな声で言った。
「聞く気が無ければ出てって下さい!!」
ドクターは、逃げる様にハンターギルドを、去った。
ヘーラもドクターの行為に、怒っていた。
「ドクター様が、そんな偏見をお持ちになってるなんて知りませんでした。姉を助けて頂いた事は感謝してますが、良い人だと思っていたのに残念です。今日はこのままお帰り下さい」
ドクターは、やらかしてしまったなぁと感じたが、
生粋の医術中毒のドクターは、ハンター達をあそこまで虜にしているハイエールと言う飲み物に、興味が移っていた。
早く研究所に帰って、分析をしようと、考えていたのだ。
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