ドクター病院を拡大する。
ある日、アンがドクターに、提案が有るのでお話しさせて貰っても良いですか? と言ってきた。
ドクターは、快く返事をした。
「アン。なんだ?」
「ハンターギルドに、ドクター病院の分院を作りませんか? そうすれば、ハンター達が怪我をした時にでも直ぐに対応出来ると思いますので、どうですか?」
「それだ! アン! なんて良い提案だ! 直ぐに、ハンターギルドに、お願いに行こう!」
ドクターとアンは、直ぐにハンターギルドに向かった。
ハンターギルドに着くと、ハンターギルド長のゼンが、近寄って来た。
「ドクターさん。お願いがあるのですが」
「ゼンさん。何でしょうか?」
「ハイエール問題が解決してから、ハンター達は、以前よりクエストに行っております。クエストに多く行っている弊害として、怪我をして来るハンターが多いのです。そこでドクターさん達に、ギルド内で治療をして欲しいのですが、どうですか?」
「ゼンさん! ちょうど私も同じを考えていました! ハンターギルド内に、分院を作りハンターの治療に当たらせて貰えませんか?」
「おお! そうですか! よろしくお願いします! 分院はこちらで作らせて頂きます!直ぐに作業を開始しますので、数日お待ち下さい!」
ハンターギルド長のゼンには、トルク病院との兼ね合いも含めてお願いした。
トルク病院で、対応出来る病気はそちらでお願いします。手に負えない様な病気は、こちらで引き受けますとした。
こちらに来て、この世界の病院の仕事を無くしたくなかったからだ。
無事に交渉成立⁉︎ となり、ハンターギルド内に分院が出来る事になった。
数日後にハンターから、ハンターギルド内に分院が完成したので、お願いしますと連絡があった。
ドクターとアンは、直ぐにハンターギルドに向かい、治療の体制を整える事にした。
ハンターギルド内の分院の設備は、特に無く水道の設備が付いているだけだった。
これは、ドクターが水道設備だけで良いと、お願いしていたからだ。医療機器等は、医療バックに詰め込めるし、直ぐに取り出す事ができるからだ。
医療バックから、必要な機材を取り出し診察出来る様に体制を、整えた。取り敢えずは、ドクターとアンの二人で診療にあたる事とした。
これでめでたくドクター病院、ハンターギルド分院の開業である。
ただこの一歩が、世界のバランスを崩す事になるとは、さすがのドクターやアンも夢にまでも思っていなかったのである。
開業してから、一時間も経たないぐらいに、怪我をしたハンターが来た、どうやら腕から血を流している。
アンは、ハンターに聞いた。
「どうされましたか?」
「いててて! モンスターに腕をやられた!」
「わかりました。ドクター所長お願いします」
アンは、腕の服を破りドクターが診察し易い様に、補助をし、診察を手伝った。さすがアンである。
ハンターの腕を診察すると、少し深めに切られた様だった。
ドクターは、腕の傷が深いので傷口を縫う事にした。
「アン。ハンターに局部麻酔の注射をしてくれ、少し深いから縫う事にする」
「わかりました。ドクター所長」
アンは手際良く、ハンターに局部麻酔をかけた。
「ドクター所長。準備が整いました」
「アン。ありがとう」
ドクターは、一応麻酔が効いているか確認する為、近くの皮膚に、少し針を刺してハンターに聞いてみた。
「ハンターさんこれは、痛いですか?」
「痛く無いです」
麻酔の効きを確認したドクターは、傷口を縫って行った。やはり手際が良く傷口を縫うのを見ていた、ハンターも感心していた。
傷口を縫い終わると、抜糸等の説明は、アン任せる事にした。
「アン。後は任せたぞ」
アンは、ハンターに説明した。
「一週間後に抜糸が有りますので、また来て下さい。薬を処方して置きますので、忘れずに飲んで下さい。化膿止めと痛み止めです。消毒液も、お渡ししますので定期的に消毒して下さいね。それでは、お大事に!」
そこからは、切り傷を負ったハンター達が連日連夜の様に、病院に来た。ハンター達は、腕や足等同じ様な怪我をしていた。
ドクターとアンだけでは、追い付かず、他の看護師も、手伝いに来ていた。
ふと、ドクターが気がついた。
「アン。切り傷が深い患者多過ぎ無いか? 強力なモンスターがいるのかな?」
「ドクター所長そうですね。今度来たハンターに少し聞いて見ましょうか?」
「アン。頼む」
アンは、次に来た患者も切り傷の患者だったので、ハンターに聞いてみた。
「切り傷で怪我をされる患者さんが多いですが、そんなに強力なモンスターなのですか?
ハンターは答えた。
「はい。何処にでもいるモンスターなのですが、強力なのです」
「モンスターの名前は、なんと言うのですか?」
「スライムと言います」
「ス、スライムですか! この世界のスライムは強いのですね!」
「そうなんです。強いのです」
アンはこのやり取りを、ドクターに話した。
「スライムが強い⁉︎ 私の知ってる、ライトノベルでは、弱かったはずだが? ムナシにでも、調べさせてみるか」
ドクターは、ムナシにスライムの強さを調べる様に、依頼した。
「わかりました! 調査してみます」




