ドクターの右手が疼いて仕方無い。
ハイエール問題が解決した後、ドクター病院には、平和な日々が続いていた。
「アン。暇だな〜 私の右手が疼いて仕方がないなぁ〜 それにしても本当に、病人は一人もいないのか?」
「ドクター所長。ケラーさんの病院は、人で一杯だそうですよ」
「何! なんでこっちの病院は人が来ないんだ?」
「ドクター所長。そもそもここに病院がある事自体、村の人達は知らないと思うのですが、知っていたとしても、村から少し離れた新参者がやっている病院には、誰も来たがらないと思います」
「そうだったのか。これは、早急に手を打たなければ、私の右手が腐ってしまうな。ムナシ!」
「はい。ドクター所長」
「ケラーさんの病院の様子を伺って来てくれ! 敵情視察だ!」
「はい。分かりました」
忍びのムナシは、ケラーさんの病院へ敵情視察に向かった。
ケラーさんの病院は、アンの言っていた通り人で一杯だった。今の季節は春先で花粉症の季節だ。この世界にも花粉症が有る様で、花粉症によく効く漢方薬を処方している様だった。
「ドクター所長。敵情視察を終えましたので、ご報告致します。春先は花粉症の季節だと伺っています、どうやら患者の多くは花粉症の薬を求めて、病院に訪れている様でした。そこで処方される漢方薬は、よく効くと評判で、連日、患者で一杯でした」
「そうか、花粉症かぁ」
ドクター病院にも花粉症によく効く薬は、有るのだが、この世界の漢方薬でも効くならば、それで良いと考えた。無闇にこちらの薬を処方し、こちらの薬の方が効くとなっても、ケラーさんの病院が困るだけだからだ。
「ムナシ。引き続き変わった事が無いか、探って見てくれ」
「はい。ドクター所長」
ムナシは、それから数日間ケラーの病院の様子を、監視していたが花粉症の患者が訪れているだけで、特に変わった様子は無かった。ムナシは、病院監視の継続を辞める様に、ドクター所長に進言しようかと悩んでいたその時、事件が起こった。
ケラーさんの病院に、ハンター達が駆け込んで来たのだ!
「すいません。道を開けて下さい! 緊急事態です!」
ケラーの父であるトルクが、何事かとハンター達に駆け寄った。
「ハンターさん達、どうしましたか?」
「トルクさん! ヤベェ事になった。クエスト中に、毒を持ったモンスターに刺されて、ハンター二人が毒に侵されてしまった! 何とかならないですか?」
トルクは困った顔をしながら言った。
「ハンターさん達も知っているとは思いますが、毒に効く薬はこの世界には、無いのです。残念ですが、ハンターの自然治癒力に頼るしか無いのです。後は、ハンターの体力が持つかどうかだと、思います。何も出来ずにすみません」
この話しを聞いていた、ムナシは直ぐにドクターの元に走った!




