ドクターとアン問題に対峙する 5。
魔族の騒動から数日たった日、ハンターギルドから呼び出された。
どうやら、魔族の処遇や今後の方針が上から示達された様で、それを聞きに来いという事だと思う。
「アン。ハンターギルドに行こうか!」
「ドクター所長。わかりました」
ドクターとアンは、ハンターギルドに向かった。
ハンターギルドに着くと、ギルド長のゼンと村長のグリド、そして、村長の上役の方がいた。
「ドクターさん。初めまして! 私は、街の町長をしている、マトと申します。今回は、あらためてお礼申し上げます。ありがとうございます」
「マトさん。ご丁寧にありがとうございます。私の隣にいるのは、私の秘書兼看護師のアンです。アンも、今回の出来事について、とても良く協力してくれました」
「これは、失礼しました。アンさん。ご協力いただきありがとうございます」
「いえいえ、私などそんなに役には立っていないです」
「そんなご謙遜なさらずに……」
「町長。杓子定規みたいな挨拶は、ここまでにして本題に入りましょう」
村長のグリドが、たまらずに言った。
「グリド。すまんすまん。ドクターさんそれでは、本題なのですが…」
町長のマトは、本題に入りこれからの対応について話してくれた。
話の内容を、要約すると。
一.魔族の処遇については、街でも取り調べを行いたいので、こちらに引き渡して欲しい事。
二.魔族の侵攻に対しては、魔族の話から緊急性は無いと判断し、魔族に感づかれ無い程度に国や街、村の防備を、強化する事。
三.周辺の村にも、少しハイエールが出回りアルコール依存症の患者がいるので治療をして欲しい事。
四.ハンターランクについては、この活躍でCランクに上がる事。
五.国王からもこの件について、お礼を言って置いて欲しいと伝えられてる事。
上記の一と三に着いては、直ぐに行う事を了承し実行に移す事にした。
「ムナシ! 魔族を連れて来て、町長のマトさんに引き渡して来れ」
「わかりました! 直ぐに!」
「アン。周辺の村に一緒に行ってアルコール依存症の患者の治療に当ろう!」
「ドクター所長。わかりました」
ムナシは、無事に魔族を町長に引き渡し、ドクターとアンは、周辺の村のアルコール依存症患者を治療した。
これにてハイエールから、波及したこの事件は一応の収束を見たかに思えたが、もう一つ問題が出て来た。
数日後、ハンター達がドクターの所に来た。
「ドクターさん、お願いが有るのですが」
「いきなり何ですか?」
「ハイエール何ですけど…」
んっ?
「ハイエールが呑みたいので、作って来れませんか?」
えっえ〜
「私達ハンターの体にはもう、ハイエールが流れています! もう、毎日酔い潰れるまで飲む事は無いと思いますが、呑みたいのです!」
そんな強く真顔で言われてもなぁ。
成分分析も100%終わっており、液体を調合するだけなので、ライトに言えば直ぐにでも作れると思うけどなんだかなぁ。
「ドクターさん! タダとは言っておりません!
ハイエールを作って頂いた分は、こちらで買い取りさせて頂きます。値段は、1樽辺りこのくらいでどうでしょうか?」
提示された金額を見て、元手を差し引いても、結構儲かる金額だった。
「よし! わかった! この値段で手を打とう!」
人が増え、病院のお金もかかる様になり、幾分お金が寂しくなりそうだったが、これで解決だ!
「で、月に何樽ぐらい欲しいんだ?」
「月に千樽ほどお願いします」
「呑み過ぎだ〜」
ハンター達の、ハイエール依存症の治療はまだ、かかりそうだった。
ちゃんちゃん。
まだまだ、ドクターの異世界冒険譚は続きますので、お付き合い下さい。




