ドクターとアン問題に対峙する 4。
ドクターとアンは、ハンターギルドに向かった。
ハンターギルドに着くと、そこにギルド長のゼンと、村長のグリドがいた。
ドクターは、さっき魔族から聞いた話しを、ゼンとグリドにした。
「ドクターさん! これは、お手柄ですぜ! 魔族側が、事前にハイエールを使って、こちらの弱体化を図っていた事や、ゆくゆくは、勢力拡大を考えているなんてこちら側は、夢にも思っていないですぜ!」
そ、そうなの? 良くありそうな話しだけどな。
村長が、こちらにお願いして来た。
「私とゼンは、この内容を直ぐに街へ伝えに行きます。私達も上に判断を仰がなければ行けないので、魔族の処遇が決まるまで、ドクターさんの病院で預かって頂けますか?」
「勿論! 良いですよ! 後、ゼンさん。ハンターランクの件よろしくです」
「お安い御用ですぜ!」
「では、ゼンと私は直ぐに報告に行きますので、これで失礼します」
とりあえず私達の仕事も、これでひと段落だな。
後は、街や国がどうするか判断待ちになるな。
「アン。帰るとするか!」
「ドクター所長。帰りにケラーさんの所に寄って、リハビリの進捗状況を、確認してみてはどうでしょうか?」
「そ、そうするとしよう」
流石だな、アン。
ドクターとアンはケラー宅に向かった。
「ケラーさん。リハビリは順調ですか?」
アンがケラーに聞いた。
「アンさん。おかげさまで順調です。足の可動域もかなり広がって来ました」
「それは良かったです」
「ドクターさん。アンさん。ハイエールの問題を解決し村を救ったと聞いたのですが」
「はっはっは! ケラーさん。街を救ったなんて大袈裟ですよ! なぁアン!」
「そうですね。ドクター所長。ハイエールを中和しただけですものね。ドクター所長の医術は今回は、あんまり役に立っていないですものね」
「そ、そうだな」
医術が、役に立って無いなんて言わなくても良いのに…
「まぁ、とりあえずリハビリが順調で良かった。さぁアン。今度こそ帰ろうか?」
「そうですね。今度こそ帰りましょう。」
ほっ。やっと帰れるな。
だが、ドクターとアンがケラー宅を出ようとした時、もう一人話しかけて来る人がいた。ケラーの妹のヘーラだ。
「ドクター様! お待ち下さい!」
ヘーラ! 確かかなり嫌われていた様な気がするが、何の用だろう?
「ドクター様。この前は、ご無礼を致しまして、申し訳有りません。ミーアさんにも話しを聞き、私はドクター様の事を、勘違いしておりました。」
えっ⁉︎ いきなり何の事!
隣を見ると、アンが、ニヤリとしていた。
「これからは、早計に人を判断せずに参りますので、どうかお許し下さい。償いとして何でもお手伝い致しますので、お申し付け下さい」
ドクターはもう一度、えっ⁉︎ 何の事! と思ったが、とりあえず私の人心掌握術が遅れて効いて来たのだと思った。
「ヘーラさん。気にしていないので、大丈夫ですよ」
「ドクター様。ありがとうございます」
「では、私達は帰りを急ぎますので」
よしよし、私の人心掌握術は完璧だな。
「アン。私の人心掌握術はどうだ? もしかしたら医術よりも得意かもだ!」
アンは、少し間を置いてから言った。
「そうですね」




