ドクターとアン問題に対峙する 1。
ハイエールを中和し、ハンター達に平穏が、戻ってから、約一週間たった。
ドクターとアンは、ここ最近は、事が起きるまで、村のカフェで優雅に待機していた。
「アン! そろそろかな?」
「ドクター所長。そろそろ、ハンター達から連絡が、有ると思いますよ」
そう言っていると、ハンターの一人が慌ててカフェまで来た。
「ドクターさん! ハイエールを売りに来ていた、旅の商人を捕まえました!」
「わかりました。ハンターギルドに村長を呼んで来て置いて下さい」
ドクターは、アンに声を掛けた。
「よし! アン! 行くか!」
「さぁ、最後の仕上げですね。ドクター所長」
ドクターとアンは、旅の商人が捕まっている、ハンターギルドに向かった。
ハンターギルドに着くと、ローブで全身を、隠している旅の商人が、ハンター達に、囲まれていた。
ハンターギルド長の、ゼンがこちらに気付き、声を掛けて来た。
「ドクターさん! お待ちしていました。ドクターさんの、予想通りこちらに接触して来ましたので、捕まえました!」
旅の商人は、これまではハイエールを、売ると直ぐに、何処かに行き、話を聞く事も出来なかった。
捕まえようにも、大勢で待ち構えていると、ハイエールを、売りにこない状態だった。
ドクターは、ハイエールを中和し、ハンター達がそれを飲み続ける事で、旅の商人を捕まえようと考えていた。
それを続ける事で、旅の商人は絶対に、ハンター達に接触を、計ると思っていた。
何故かと言うと、ハイエールを飲んでも、ハンター達が酔い潰れないからだ。
旅の商人の目的は、ハイエールの成分を見る限り、明らかにハンター達を、酔い潰れさせ、ハンターギルドの機能停止を目的としていたからだ。
ハイエールを飲んでも、酔い潰れず普通に、ハンター達が仕事をしていたら、おかしいと思いハンター達に、接触すると思っていた。
多分、ライトノベルでよく見る、魔族の仕業だろう。
「ゼンさん。旅の商人のローブを、はいでくれ」
「ドクターさん。わかった!」
ゼンが、ゆっくりと、旅の商人のローブを、剥いで行く、そこに現れたのは、顔の額に何か紋章が、入っている、男だった。
顔の額に紋章が入っている以外は、人間と変わらない感じだった。歳は二十歳ぐらいのだろうか?
ドクターとアンの、旅の商人を見た反応は、こんな感じだったが、ハンター達や周りの反応は違った。
ハンター達や周りの人は、額の紋章が何を、表しているか、知っていたからだ。
「こ、この紋章は! 魔、魔族! なんで、こんな所に魔族が!」
そうでしょうとも、魔族でしょう!
ライトノベルの展開ですからね。
「ドクターさん。こりゃこの、村のハンターギルドでは、手に負えない案件ですぜ」
えっ、そうなの?
「魔族が出てくるとなると、話しが大きくなりますぜ!」
周りが騒ついている隙に、魔族が抵抗し、魔法を、唱えようとしていた。
それに気付いた、ドクターは、咄嗟に忍びのムナシを、呼んだ。
「ムナ……」
ドクターが、呼ぶ最中にもうアンが、叫んでいた。
「ムナシ! この者を眠らせなさい!」
呼ばれたムナシは、颯爽と現れて魔族に、眠らせる薬品を嗅がせた!
それを嗅いだ魔族は、直ぐに眠りに落ちた。




