ドクター最初の患者に遭遇する。
目覚めると自分が築いた病院のベットの上だった。
「んっ 夢だったのか? けどあれは夢というレベルの話では無かった気がするな。ましてや、私は死んだ筈だし。まぁとりあえず外でも確認して見るかな」
ドクターは、ベットから起き上がり窓のカーテンを開けて外を確認した。そして驚く事に周りは森林が広がっていたのだった。
ドクターは、「おっ!」と声を出しここが前の世界とは違う世界なんだと理解した。なんせ前の世界は科学が発展し尽くしており森林が広がっている景色なんてもう残っていなかった。もう何年も前に森林と呼ばれる様な緑地帯は無くなったと新聞で読んで知っていた。
自分のいた世界からは千年ぐらい前の世界に似ているだろうか? 千年前の世界は、昔の文献でしか見た事が無くそんなに知らなかったがそんな感じに見えた。
そしてドクターは異世界に来た事を冷静に理解して行った。そしてある感情に行き着いた。
ドクターは全く違う世界に来て不安も多少あったが、そんな事よりもこの世界では医者がまだ必要とされている事にとても嬉しく感じた。 そしてヤル気に満ち溢れていた!
「とりあえず病院の機材チェックからするか!」
女神様にお願いした通り、病院ごと転生して頂いたので、病院の機材や医薬品等全てが転生する前の物か確認した。
確認をしたドクターは転生前の物がそのままこちらの世界に来ている事に安堵した。また幸いな事にこの世界に必要な物も少しは揃っていた。女神様が気を遣ってくれた見たいだ。
その中の一つに、現在地からの周辺地図があったので確認して見た。どうやら約四kmぐらい先に村が有る見たいだ。徒歩で一時間くらい掛かるだろうか?
「とりあえず医療機材も揃ってるし、近くの村に
挨拶も兼ねて行って見るか!」
多少の医療機器を医療バックに詰め込みドクターは、村に向かい第一歩を踏み出した!
この第一歩が、これから待っている長くて波乱の、異世界医療冒険譚の始まりだった!
ドクターは村に向かい三十分くらい歩いていた。そして程なくして怪我をしている人が見えた。
「おっ! さっそくか!」
やっぱり漫画や小説みたいな展開が待ってるんだなと思い少しクスリと笑った。
その人は女性で、歳は十八歳ぐらいの容姿端麗な顔立ちをした細身の人間に見えた。
外見から見た感じは、緊急性のある怪我では無さそうだったが、足を怪我していてどうやら動け無さそうだった。
ここで本来は、女神様から貰ったチート能力か何かで颯爽と女性を助けこの世界の為に、魔王を倒す物語が始まりそうだがあいにく私はただの医者。
ドクターは、外傷等の怪我はポーションや回復魔法で、治せるし今回は医療の出番は無いかなと思いながらもその女性に声をかけた。
「大丈夫ですか? ポーションがあれば、飲ませましょうか?」
突然現れたドクターに、怪我をしている女性は驚いた!
「きゃ! いきなり何ですか! 貴方は! この土地の人では無いですよね? その不思議な、格好はなんですか?」
ドクターは、医者の正装で有る白衣を着ていた。
流石に見た事も無い、格好をしている人を見て警戒心を強く持っている様だ。
だがドクターは、医者という職業を極めただけ有り警戒心を解く事はお手の物だった。
子供の警戒心を解いたり難しい手術をする前の患者の警戒心を解いたりと、幾らでも経験があった。
ドクターは、得意げに女性に話した。
「これは医者が着る白衣だ! まぁ医者の正装みたいなもんだよ」
女性はドクターが、何を言っているのか分からなかったが質問を続けた。
「ポーションなんて、高価な物は持って無いです! けど、この近くに村があるので連れて行ってくれませんか? 足がこんな状態で歩けないのです」
あれ? ずいぶんと早くに警戒心が薄れたなと感じたが、特にその時は何も感じなかった。
ドクターは、それではと医療バックから、簡易診察室を取り出し治療を始めた。
最新の医療バックには何でも入る。
医薬品は勿論で小型のレントゲン機やエコー等の、身体の内側を確認する機械や、大型の物に比べれば性能は落ちるが、CT装置やMRI装置も有る。
それに、取り出しも自由だ!
「少し痛みますが我慢して下さいね」
ドクターは、足を消毒しレントゲン撮影を始めた。
「う〜ん。足がやっぱり複雑に折れていますね。外傷も酷いですし手術が必要です」
怪我した女性は、何をされているか何を言っているのかわからなかった。
ただ、ドクターの手際の良さが際立っており感心していた。
「手術には原則として、患者の同意が必要です。直ぐに手術をする事をオススメしますが、どうされますか? 手術しますか?」
女性は、何を言われているか考えてもわからなかったが、返事をしていた。
「は、はい」
ドクターは、簡単な手術とはいえ久しぶりの手術に心が踊った。
顔がニヤけて居ないだろうか?
ニヤけていたらどうしよう?
これでは、患者に警戒心を与えてしまうなと、考えながら仕切り直して真剣な顔立ちをしながら言った!
「それでは手術を始めましょう!」
ドクターは、手術前に少し疑問に感じていた事があった。女性の怪我の度合いからすると、痛くて気絶してもおかしく無いくらいの怪我だったのだが、その女性は痛そうにしていただけで、意識はしっかりあったのだ。
麻酔が効きにくい身体かも知れないので、この事をを計算しながら麻酔をする事にした。
ドクターは、簡易手術室を取り出し患者をベットに寝かせた。
そこから部分麻酔をし手術を始めた。
まず複雑骨折をしている骨を繋ぎ合わせ接着して行く、パズル見たいな要領だ。それが終わると周りの組織を修復して行った。
そして、全ての医療行為を手際良く、無事に手術を終える事が出来た。
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