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晩御飯はバケットとキャベツの塩漬けにレオンがとって来たマスの炙り焼きとトマトのソース。


バケットに好きな物を乗せる食べ方でレオンが大喜びしていた。


ニンニクとオリーブオイルで軽く表面を焼いたバケットはそれだけで食欲をそそる。


レオンとキャロルでこっそり運んだ麦酒を見てリアムとルシウスは苦笑いしていたがワインを賄賂に手渡すと諦めて笑っている。


「ん、そろそろだね。」


夜も更けてきた頃ルシウスはそう言うとワインを温めてレモンの蜂蜜漬けを入れた簡易ホットワインを皆のマグカップに注いだ。


リアムも急いで鉄鍋に墨を入れていく。


何の音もしない真っ暗な痛い位の静寂が広がった。


キャロルは何となく不安になりホットワインの入ったマグカップを両手で抱える。


まるで自分達以外生者がいないのだと言わんばかりの自分の体さえも溶けて行く位の完全な暗闇。


キャロルが無意識に目を閉じているとレオンの惚けたような声が聞こえた。


「…なんだこれ。」


キャロルが目を開けると青白い火の玉がそこかしこに漂っていた。


百とも千とも分からない淡い青色の火の玉が吸い寄せられるかの様に湖に向かって進んでいる。


「彼らはウィル・オー・ウィプス。

…亡くなった魂の最後の光だよ。」


ルシウスが誰に聞かせるともなく呟いた。


その言葉を聞いても幻想の様な青白い光に照らされた景色から目を離せない。


吸い込まれるように湖へ視線を向けると湖には1人の青年と少女が水の上に立っていた。


青年が少女に微笑むと少女は大きく息を吸い込み、青年は自分の背丈程ある杖を掲げる。


白銀の髪の少女の口からはどこの言葉なのか、そもそも人間が発音出来るのかさえ分からない音が紡がれる。


あまりに美しくて透き通った硝子の様な歌声。


歌声が響くと足元に咲いていた花々の花弁が舞い上がり淡く輝く。


息をする事さえ忘れてしまいそうな程美しく儚い光景。


見惚れていると青年の杖の先に月の光で出来た天使の梯子がかけられる。


「あの少女はニクシー。

湖に住む歌声の綺麗な妖精。

そして彼はアドニス。

死と再生を司る神だよ。」


ルシウスが見惚れているキャロルに囁きかける。


「ポピーの花言葉は慰め、マルベリーは共に死のう。


そしてフェアギスマインニヒトは私を忘れないで。

…ここは鎮魂の場所なんだよ。」


そんなルシウスの言葉と幻の様な光景に包まれながらキャロルはいつしか眠ってしまっていた。

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