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そのままルシウスに手を引かれ連れて行かれた食料品店に着いた。


ルシウスは手馴れた様子で棚にある干し肉やキャベツの塩漬け、ニシンの燻製等をどんどん籠に入れて行く。


「…ノアさんって意外と野営の知識もあるんですね。」


キャロルがそう言うとルシウスは苦笑いを浮かべる。


「一応団長だからね。

遠征なんかもあるし他の貴族よりその辺の知識はあると思うよ?」


父上以外はあまり良く思ってないみたいだけどね、と呟きレモンのはちみつ漬けの瓶を手に取る。


「…確かに野営が得意な王子って聞いた事ないですもんね。」


「ははっ。

キャロもおかしいと思う?」


「いえ、むしろ今は私に知識がない分非常にありがたいです。」


キャロルが答えるとルシウスは一瞬固まったが砂糖菓子を溶かした様な笑みを浮かべた。


「そっか。

ありがとう。」


「…何故お礼を言われたのか分かりませんが。」


「言いたかっただけだから気にしなくて良いよ。」


そう言って微笑むとルシウスは会計に向かって行ってしまった。


こいつ訳わかんない奴だなと1人考えながらキャロルもその後を追う。



「さっ次は馬屋に行こうか。

4頭借りられるといいんだけど。」


そうキャロルに言った後ルシウスは首を傾げた。


「そう言えばキャロは乗馬は出来るのかい?」


「ぶっつけ本番ですね。」


生まれてこの方乗馬などした事がない。


ルシウスはちょっと困った顔をしながら空を見上げて考える。


「…ん。

分かった。

私が金物屋に行ってる間に乗馬を体験して貰おうか。

難しい様ならその時は私と一緒に乗れば良いからね。」


「…乗りこなせるよう頑張ります。」


「そう?

無理はしないでね。」


ルシウスがニコニコと笑うが嫌な予感しか感じられない。


こいつと同じ馬なんて危険極まりない。


意地でも乗れるようになるしかあるまい。


キャロルの決心が分かったのかルシウスが苦笑いを浮かべる。


「そんなに嫌がらなくても。

大丈夫。

落としたりはしないよ?」


「いえ、1人で乗れる様にしますので。」


「それは残念だね。」


ルシウスの言葉にキャロルは轢き殺された毛虫を見る目を向ける。


ーやっぱりこいつは危険だ。


ルシウスの笑顔を見ながらキャロルは心の始末者リストにルシウスの名を追加しようか迷っていたのであった。

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