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「…まぁこれは冗談ではないんだけど、君が嫌だと思った令嬢とは別に交流しなくても良いからね?」


そしてまたキャロルの頭を撫でた。


けれどその笑顔に憂いを感じキャロルは戸惑う。


「…嫌だと思うであろう令嬢がいるんですか?」


「…分からないけどね。」


ルシウスはまた困った様に少しだけ微笑んで小さくごめんねと呟いた。





夜も更けた頃、キャロルは1人展望車に来ていた。


夜空には空を埋め尽くす様な天ノ川。


それを見上げながら手元のジョッキを揺らす。


この国では婚姻を結ぶ為の成人が18と定められているが、葉巻や酒に関しては年齢制限はない。


昔まだ水道の設備が整っておらず安全に水分を取る為ワインや麦酒を飲料水替わりにしていたのが原因らしい。


今では勿論推奨はされていないがかと言って禁止もされていない。


キャロルはのんびりと麦酒と葉巻を楽しんでいた。




「…歳若い令嬢が1人で酒盛りって言うのはどうかと思うよ?」


その声の主に視線をやるとルシウスがクスクス笑いながらキャロルの向かいの椅子に腰掛けた。


そして給仕に自分もワインを頼んでいる。


「…歳若い王太子が飲酒も褒められた事ではないと思いますが。」


「そう?

じゃあ内緒にしててね。」


事も無げにそう言うと届いたワインに口を付ける。


「そう言えば3年後を目安に15歳以下の喫煙と飲酒を禁止する法律が施行されるんだよ。」


「…私達が16になってからですね。」


「そうだよ。

狙ったからね。」


この王子はなかなか腐っているらしい。


後輩に勝手に規則を作って押し付ける先輩そのものである。


「ねえワインスト嬢。」


「なんでしょう?」


「星、綺麗だね。」


そう言われキャロルはまた天ノ川に視線を戻す。


そのまま暫く両者共星空を見上げていたがルシウスがポツリと呟いた。


「ねえ、キャロルって呼んでもいい?」


「嫌です。」


「ごめんね。

でも呼ばせて?」


即答したにも関わらず無視してくる。


「ワインストで別に困らないのでそのままでお願いします。」


「…ごめんね。

多分困る事になるから。

ね?」


眉尻を下げて言ってくる王子に訝しげな視線を送ってしまっても仕方ないだろう。


「…ごめんね。

私にもう少し力があれば良かったんだけど。」


「よく分かりませんが…。」


そう答えたキャロルにルシウスはやっぱりごめんねと呟いた。


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