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「はあ、まあそうなんですかね?」


「けれど今回殿下の婚約者候補の中に王族と同等量の魔力を持つキャロル様が既にいらっしゃいますでしょう?

ですから王妃様が魔力量を求めるなら既に代わりがいるのだからと、聖女様と第二王子様を婚約させると仰ってらっしゃるそうなんですの。」


「はーなるほど。」


まあ確かに王妃様の意見は最もな話だ。


聖女様と婚姻を結ぶ理由を満たす存在が既に候補にいるのなら必要ないだろうと言う事なんだろう。


それならば婚約者候補もいない第二王子に宛てがうというのは当たり前だ。


「…でもそれって殿下にとっては不味いんじゃないですかね?」


キャロルの言葉にレオンが苦々しげに頷く。


フワリー嬢も表情が暗い。


「第二王子様は血筋は素晴らしいですが実力が劣る事で今までは殿下が王太子として確立していらっしゃいましたわ。

…けれど伝説とも言える聖女様と婚姻となると逆転の可能性も視野にいれねばなりませんわね。」


「…実際に今朝2人程その噂について聞かれてる。

事実ならば候補の辞退も考えたいってな。」


確かにルシウスとの婚姻は王妃となるという意味でもあった。


だがそれがひっくり返ったならば王妃を狙っていた者からすれば辞退したくなる話かもしれない。


もしそうなればルシウスと婚姻したとしても長子なのに王になれなかった者の妻として義弟家に仕える事になってしまうのだ。


なかなか厳しい選択だ。


「…私は殿下が王になると信じておりますけどアグネス様は可能性は五分五分、現時点で言えば殿下が劣勢だと仰っておりましたわ。

あっだからと言って辞退しようとは思っておりませんわよ?」


「まー確かに悩ましい状況っちゃ状況ですよね。」


「…私の実家でも意見は割れておりますわ。

アグネス様は状況が変わったからと掌を返すような真似は不誠実でしょうと迷いはないみたいでしたけれど。」


さすがフェアプレーの精神の塊である。


もはや騎士の域だ。


「でもキャロル様は大丈夫なんですの?

一応お手付きという立場ですから辞退も出来ませんでしょう?」


フワリー嬢が心配そうに聞いてくる。


「…そもそも辞退とか全く考えてなかったですね。」


何故だろうか。


面倒な事になると分かっているのに安全な場所に逃げようとは思えなかった。


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