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夏の過ごし方のススメ

「おっはよーキャロルー。」


「おはよーございます。」


今日も今日とてレオンが塔にやって来る。


朝ごはんの入った籠を抱え胸元をパタパタと扇ぎながら。


バヌツスから戻って1週間。


ルシウスとリアムはまだバヌツスの街にいる。


後は国の支援とバヌツスの住民でなんとかし、これ以上魔術に頼り切るのは良くないとレオンとキャロルは先に王宮に帰って来ていた。


2週間の休暇はまだあと少し残っている為2人で日がな一日ダラダラと過ごしているのである。


「キャロルー何か暇潰しないのか?」


いい加減何もない事にダレて来たのかレオンがクッションに寝転がりながらぶつくさと呟いている。


昨日も全く同じ事を言っていた。


キャロルは毛玉に干し草を与えながら答える。


「ありませんよ。

昨日も言いましたけどここには何もないです。

暇ならお父様の所へ行って仕事を貰って来てはいかがです?」


「それじゃ休暇の意味ねえだろ。

来年の夏季休暇は忙しいんだしのんびり出来る最後の夏なんだぞ!」


「来年何かあるんですか?」


「はあ?

来年の秋には俺達学園に入学するだろ。

その準備で夏季休暇は潰れるに決まってんじゃん。」


そう言えばそうだったか。


この国では14歳から貴族は学園に通う事が義務付けられている。


また平民であっても魔力がある者や学力に秀でた者、資産がある者は学園に通う事になるのだ。


「あぁ、そう言えばそうですね。

すっかり忘れてましたが。」


「だろうなとは思った。

まっお前なら特別講師とかやってる位だし余裕だろ。」


「魔術に関してはそうなんですけどね。

座学も一通りはいけるつもりですし。

ただ女子生徒は淑女のマナーとやらのテストもあるらしいのでそこが難点です。」


「あーなんだっけ。

レース編みとか刺繍とか提出するってやつか。

キャロルやった事あんのか?」


「いや全くないですね。

刺繍糸とか多分触った事もないです。」


「もう赤点覚悟するしかねえなそりゃ。」


レオンが籠のサンドイッチを咥えながらケラケラと笑う。


キャロルが刺繍をしている姿でも想像したのだろう。


失礼な話である。


「まっそれはいいんだよ!

とにかく、夏休みらしい事しようぜキャロル!」


「そもそも夏休みらしい事ってなんなんですか。」


キャロルの問いかけにレオンが腕を組んで唸る。

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