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『王の子よ。

お主も呪われたのだな。』


ルシウスは何も答えない。


ただ藍色の瞳を歪め龍をただ睨み付けている。


『そなたへの呪いは数は多いが1つ1つは強力な物ではない。

呪術というよりも悪意と言える程度の物だ。

ただ数が多すぎた。

お主は全て受け止め長きにわたり跳ね返してきた。

強い子だ。

…そなたは今呪われているのではない。』


「…れ。」


『そなたが世界を呪っておるのだ。

今のままでは正気のまま王にはなれまい。』


「黙れ。」


『だからお主は怯えておるのだろう。

いつか皆を殺めてしまうであろうと。

狂気に呑まれる前に死ぬべきではないかと。』


「黙れ!!」


ルシウスが怒号を上げ腰の刀を龍に向ける。


龍は焦る事もなくルシウスを見詰めたままだ。


「…これ以上戯言をほざくならばその首貰い受ける。

過去が見えようが未来が見えようが構わない。

だがそれで何もかも見通す様に語られるのが私は大嫌いでね。」


片手で脂汗を拭いながら憤怒の形相で龍に向き合う。


普段のルシウスらしくない。


魔王モードとも違う狂気に包まれた空気を纏っている。


1番触れられたくない部分に触れられてしまったのだろう。


龍は暫くルシウスと見つめ合っていたがふっと目を細めた。


『お主達2人が救われる方法は共に同じだ。

抗う事。

娘は生きる事を諦めず抗い、王の子は自らの狂気に抗え。

それがこの老いぼれが言える事の全てだ。』


龍はそれだけ言うとぽかんと口を開けたままにしているレオンとリアムに話かける。


『その2人はもう動けまいて。

お主等は少々頼まれて貰えぬか?』


「えっと、はい!」


ルシウスとキャロルの事は気になるが龍からの頼まれ事と聞きテンションが上がったのだろう。


レオンの返事が上ずっている。


『そこに水晶があるのが見えるであろう?

それに手を当てて溜まった負を浄化して欲しいのだ。』


「お言葉ですが龍様。

俺達に浄化の力などありません。」


リアムが眉間に皺を寄せている。


ただでさえリアムには魔力がないのだ。


浄化など出来るはずがない。


『出来るようにそなた達には死を経験してもらったのだ。

いわば今のそなた達は仮とは言え死の世界と繋がった存在、巫女に近い。

今のそなた達なら出来る。』

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